◆ストーリー
霧の中、リュックを抱え逃げ惑う葛西。「謎取リ扱イマス(□に斜線のマス)」というチラシを見て四条探偵事務所へ赴く。

宗助、四条に事務所を締めるか問うがまだ誰か来る予感がした四条。
予想通り煙山と同僚の竹下がワインを手土産に訪れる。
煙山と竹下がグラスを取りにいっている間にもう一人の客、葛西が事務所を訪ねる。
葛西「僕の親友が、殺人を犯してしまったかもしれないんです・・・。」
さらにその親友を手にかけてしまったという葛西。
煙山、竹下も交え、4人で葛西の話を聞くことに。

斉川との出会いは中学の頃。
関西から転校してきた葛西は早速イジメの標的に。
同じクラスの日吉、藤沢に目をつけられ、本屋での万引きを強要される。
母子家庭だった葛西は母親に心配をかけたくないということもありイジメのことを話せないでいた。
盗んだ本を家に置いていくこともできず、ついにカバンは盗んだ本でパンパンになった。

そんなある日同じクラスの菊名に万引きのことがバレたが、どうせあいつらがやれって言ったんだろ?一緒に謝りに行こう、とあたたかい言葉をかけられる。
それが嬉しかった葛西は泣き崩れ、書店に菊名と共に謝罪に向かうが、先に書店の事務所にいたのは日吉と藤沢だった。
なんとふたりの言い分は、葛西にやれと言われた、というものであった。
呆然とする葛西。菊名が放った言葉は、俺もそれ聞きました、という葛西を裏切る言葉だった。
そのうちに母親が呼び出されたが、母親も葛西をビンタし、親子ともども店長に土下座。
背後で笑う日吉、藤沢、菊名。

その後もイジメはエスカレート。机の上に花瓶が置かれる、関西弁を外国語と言われる、ノートも破られいたずら書きをされる。
追い詰められた葛西は自殺を考えた。
閉まる踏切を越えようとしたところ、
「あぶない!」
という声とともに一人の少年が葛西を救う。
その少年こそが斉川昇であった。
斉川にいじめられていることを話すと、友達になってくれるという。
それからは毎日葛西の家で遊んだ。斉川といると気持ちが楽になる。
母親に一度会わせたが、よそよそしい態度を取った。それが引っかかったが特に気にも留めなかった。

高校は全寮制のところに通ったため、イジメにも合わずに平和な日々を過ごす。
そして大学に入り、アルバイトも始め、順調に日々を過ごしていた矢先、街で偶然日吉、藤沢、菊名と再会してしまう。
それからは地獄だった中学の頃に逆戻り。一緒に遊びに行っては財布にされる日々。
そんなあるとき、一番会いたかった人物、斉川とも再会を果たす。
偶然近くに住んでいると聞き、またあの頃のように葛西の家で遊ぶ。
葛西の心の均衡は、斉川で保たれているようなものだった。

ある日、日吉、藤沢、菊名と軽井沢の貸別荘に遊びに行くことに。
一週間分の費用30万を払わされる葛西。
軽井沢に行き、別荘で飲んでベロベロに酔う日吉、藤沢、菊名。
すると女の子が引っかからないことで軽くモメ出す3人。
結局葛西のせいにし、土下座を強要。
酒が切れたからといって、駅前のコンビニまで、徒歩で往復2時間の距離を葛西に買いに行かせる。
両手で持てるだけの酒を買い、やっとのことで別荘に着いた葛西は、部屋の静けさを奇妙に思う。
玄関にはノボルの残したメモ。
部屋に入ると、血まみれになって横たわる3人が。
死んでいるのは一目瞭然だった。
何がなんだかわからない葛西はとっさにその場から逃げ、気付いたらもう朝方。
始発で東京の自分の部屋に戻ると、玄関に斉川が立っていた。
あのときお前を助けなきゃよかったんかもしれへんな、俺を殺してくれ、と迫る斉川。
斉川の首を絞める葛西。
そうしたほうがいい、そんな気がしていた。

そして葛西は探偵事務所を訪れたというわけだ。

疲労が溜まっている葛西を自室で休ませるよう宗助に指示した四条。
煙山からさらなる情報をもらい、四条の脳の中で、点と点が線となっていく。

ついに架かった、真・四条大橋。
「すでに事件は明解です。」


〜ここで2分間のスーパー推理タイム〜


葛西も起き、四条の謎解きが始まる。
斉川の犯行と考えると計画殺人となるが、別荘への侵入方法、凶器、どれを取っても計画性がない。
そして葛西が自室で手をかけたという斉川。彼の遺体は葛西の部屋にはなかった。

斉川昇という人物は存在しなかったのだ。

葛西が想像上で創りあげた人物、いわゆるイマジナリーフレンドであった。
10人中2〜3人は幼少期に同じ現象がみられるという。
しかしこの現象が成長してもみられることは稀で、葛西はそれほど精神的に負荷がかかっていた。
絶句する葛西。
ここで舞台上に役者が揃う。葛西の母親真里が探偵事務所に到着した。
過去2度斉川を紹介された真里であったが、何もない空間を指して友達と言い張る息子の姿を見るのが耐え切れなかった。
最初は触れずにいたが、二度目に斉川を紹介されたときに息子の精神状態を知った。
ここで四条が真犯人を指摘する。
母親の真里であった。
何がここまで息子を追い詰めているのか調べるため、盗聴器を仕込んだお守りを息子にプレゼントし、原因があの3人であることを初めて知った真里。
軽井沢までついていった当初は殺害予定はなかったが、おそらく土下座の強要が引き金となったのだろう。
開いていた窓から侵入し、備え付けのナイフで3人を刺した。何度も、何度も。
殺害後冷静になった真里は、今度は息子の犯行に見せかけようと、あのメモを書いた。

土下座をさせられている際に初めて、あの万引きは仕組まれたものだと知った真里は、息子を疑ってしまったことを酷く後悔した。
それと同時にダメな母親だと罵られている気分になった。
殺害は息子のためにやった。少しでも息子を楽にしてやりたい一心で。


煙山たちに真里が連行されたあと、葛西を励まそうと、煙山が置いていったワインを開ける四条と宗助。
そのワインの意味は「一緒に」。
四条、宗助、葛西、そして斉川は、ワイングラスを持ち、乾杯する。




◆くだり
・ワイングラスを取りに行くとき煙山「(手下に言うときのテンションで)行くぞ竹下!」竹下「同期な!!」
・四条の服ださい→葛西の服ださい。四条「なんですか、02って」葛西服を伸ばす。四条「いや、82かーい!」
・真四条大橋、今回は高いところからお届け。竹下「俺、四条大橋生で見るの久々だよ!」煙山「生以外に何があるんだよ!録画か?」隣の部屋から駆けつけた宗助「先生!架けるなら言ってくださいよ!見たかったな〜架かる瞬間!」
・四条「私と友達になりましょう」葛西「ほんと、ですか・・・!」宗助「僕も友達になります」葛西「宗助さんはいいです。なんか小物感するんで。」宗助「そういうとこな!友達いないの!デブ!デブ!」四条「やめなさい、今デリケートな時期なんだから・・・」葛西「そうですよね・・・母親が殺人犯で、それを息子のせいにしましたしね・・・」四条「まあ、でも、それをひっくるめて友達っていうか!悪口も言える、みたいな!」

<20日(金)>
・煙山が探偵事務所に入ってくるときの勢いがよすぎたと主張する井下。それで笑ってしまった井下だったがそう思っていたのは井下だけ。
・無粋(ぶすい)からの無印良品(ぶじるし)のワイングラス
・煙山「あれだろ、he, his, him」四条「・・・・守秘義務」宗助「よくわかりましたね・・・・!!!」
・四条の格好を変だと言ってしまう葛西を封じる宗助。首絞め?呼ばれる鑑識。竹下「いや、鑑識何すればいいんだよ!」
・中学生の斉川と葛西。両手でコップを持って何かを飲む葛西。斉川「何飲んでんの?」葛西「・・・コーラ。」斉川「ホットココアみたいに飲むんやめてくれる?」葛西「ホットコーラ。」斉川「コーラをチンしてんの?炭酸抜けてまずいやん」遠足の写真が貼りだされたが、自分の顔だけ画鋲で穴が開けられている。「お前の顔だけモコモコになっとるってことやろ(文字がモコモコになるペンの要領で)。女子はモコモコが好きやねんで。パジャマとかもモコモコやし。お前普段視線感じひん?それ女子やで。女子に人気なんちゃう?」からの「騙されへんぞ!」×2。斉川「情緒不安定やな」
・竹下「日吉、藤沢、菊名、うーんどっかで聞いたことあるな・・・」煙山「日吉、藤沢、菊名・・・あ!長野オリンピックのスキージャンプの団体メンバーだろ!」竹下「それ岡部、斉藤、原田、船木な!」煙山「団体メンバーに入れなかった恨みで殺した!そうだろ!」竹下「いや確かに入れなかったの葛西やけど!」
・四条が思考タイム、橋がかかる。葛西、変なの、と言ってしまう。煙山宗助オーバーリアクション。「あわわわ!」四条「煙山くんの顔が変だってさ」煙山「いや、お前が変なんだよ!」四条傷つく。葛西「竹下さんが変です」竹下「そうです!わたすが変なおじさんです!」これを2〜3回。その後葛西「煙山さんが変です」煙山の変なおじさんCメロ
・大学生の斉川と葛西。斉川「このネックレスほしいやろ?」葛西「いらない。」斉川「髑髏のこれ、あげるわ」葛西「いらない。」斉川「その反骨精神、ロッ クやな」男はロックな斉川。実は金属アレルギー。革ジャンと見せかけて革じゃないジャンバー。騙されへんぞ!の流れになるが、長年の月日を経てスカしを覚 える葛西
・別荘に行こう、のくだり。藤沢が巨人師匠でドラえもん。
・四条「葛西さん、決してヨダレを垂らさないでください。私は自分のベッドに誇りを持っている。マットはテンピュール、布団は最高級の西川の布団。洋と和の絶妙なコンビネーション、言ってみればオリエンタルなんです。あなたはよく眠れるでしょう。」「宗助くん、一応枕にタオルを敷いておいてくれ」宗助「わかりました、バスタオル敷いておきます」葛西「四条さん、私は、おとといの朝家を出て、軽井沢の別荘に泊まり、夜通し歩いて今日まで、1回も風呂に入っていません」四条「・・・!!・・・宗助くん、板間に寝かせてあげてくれ」
・四条「宗助くん、彼はちゃんと床で寝ていたか?」葛西「起きたら四条さんのベッドでした」

<21日(土)>
・リュックを抱えて入ってくる葛西に対して、冷静な口調で四条「そのカバンは背負うものです」背負ってみるが、ベルトの調節がうまくいっておらず背負えなくて諦める葛西。宗助「買ったままなんですね」
・煙山「あれだろ、キュビスム」四条「・・・・守秘義務」宗助「よくわかりましたね・・・・!!!っていうかキュビスムってなに!?」ピカソの用いた画法
・ワインと紙袋が射的
・四条の格好を変だと言った葛西の口を葛西のシャツでふさいで窒息させようとする宗助。鑑識のくだり長め。2度目の「変ですね」で拗ねてはけちゃう四条。宗助「先生泣いちゃったじゃーん!」戻ってくる四条。宗助「いい大人がそんなことで泣いちゃダメだよ」
・中学生の斉川と葛西。遠足の写真。顔に七つ穴が開いている。「顔どんだけでかいねん」顔の周りに画鋲7個あったら目立つ→すぐお前を見つけられるように女子がやったんちゃう?→騙されへんぞ!
・ブリッジ中誘ってくる四条(舌を出す)
・変なおじさん竹下のみ。煙山に宗助「ナオコ研のポジションやらなくていいから!」
・大学生の葛西と斉川。革ジャンのくだりとロックのくだり。日吉、藤沢、菊名とスノボに行った葛西。「あいつらひどいんだ、僕だけキーボードで滑らされたんだ」/「キーボード『履く』!?」/「小室哲也が弾いてるやつやろ?」/「ピーとか音鳴った?」「電源は入ってなかった」/「どの部分に足の指挟むの?」「左足はレで右足はシ」「めっちゃ歩幅狭いやん」「一個キーの高いとこね」/「まだホワイトボードのほうがよかった」「実はお前スノボめっちゃうまいんちゃう?」
・別荘に行こう、のくだり。藤沢がドラえもん→日吉がキテレツのメロディーで「クレジットカード」

<カテコ>
・文田「俺らいつまでもバカやってるんで、また観にきてやってください」くさいこと言うノリ
・安部ちゃん怒り出す。大波「・・・まあでも、お前主演やからな」安部「まあな!わはははは!」
・枝村さん「騙されへんぞ!!」文田「くだりの匂いがプンプンした」「くだりの匂いでツンとした」好井と枝村さんのくだりはツンとする
・大波「これまで犯人役、殺される役、死体役、いろんな役やってきましたけど、ついに存在しなくなった」毎回大波にピンスポが当たる、大波スポットが存在する



◆感想
・大波の演技が尋常じゃなくイケメン
・煙山が毛利小五郎でしかない
・霧の文字で霧を表す。3人の狐のシャツにもそれが映っていて、まさに霧の中にいる感じでよかった。一番最後の場面で、斉川のハケと同時に霧が晴れる演出もよかった。
・OPのタイトルの出し方かっこいい。砂嵐的な
・斉川の登場シーンだけで泣いた。「俺が友達になったる言うてるやろ?万引きなんて絶対にさせへんから。」
・斉川が葛西に殺され、斉川床に寝たまま暗転→探偵事務所の面々板付きのときの、四条が斉川を起こすシルエットがかっこよかった。あの演出天才。
・四条「私の脳は、謎に飢えて踊っている」葛西「ちょっとよくわかんないです」ここの安部ちゃんの感情のふり幅が鬼畜だと思った。母親連行されたあととはとても思えない感情の切り替え。
・お守りの中に盗聴器はなんて下荒井兄弟
・真里を連行するときの、煙山「四条」四条「ああ」で、二人にしかわからない行間の会話がなされていたのがグッときた
・舞台の大道具小道具、赤白黒で構成されているが、弁当に入れた砂が赤いのがとてもよかった。狂気を感じた。
・タモンズの関係性といい、安部ちゃんの演技といい、小浪のときを思い出す。安部ちゃんほんとにいい演技をする。安部ちゃんにあんなことされたら泣かないでいられない
・安部ちゃんがいじめられるところは見ていてとてもつらい。大波の役は絶対かっこいいからズルい。
・四条が変って言われて拗ねて何も言わなくなっちゃうとことかすごく夢水。奇抜なところもすごく夢水教授で、もう神保町で夢水シリーズやってほしいぐらいでした
・官房長官いいお話書きますね。終盤の謎解きシーンは、実は斉川はやっていなくて、さらに斉川なんていう人間は存在しなくて、さらにさらに真犯人は母親だった、なんていう何重にも驚きの事実が後追いしてくる感じで、観ていてとてつもなくワクワクしました。またタモンズ好きにはたまらない配役でしたし、たとえフィクションでもタモンズがもっと好きになりました。
・タモンズが好きになったのはいいことではありますが、また勿体無いなあと思ってしまった次第であります。神保町観て、何度勿体無いと思ったことか。これはもう神保町の本質に問いかける事だからこれを言ってはおしまいなのかもしれないけど、やっぱ四条司は四条司というキャラを降りないでほしい。ミニコントする四条も面白いけどそれとはまた別に最初から最後までずっと四条、っていうのも観てみたい。斉川もかな。演者がどうとかじゃなくて、芸人が芝居やったらこうなるよ、ってのを観てるわけだからね。でもせっかくお芝居してるわけだから、ずっと芝居してほしいなって思う。極端に言うと、その役の人ならそんな面白いこと言わないよ?ってことで。官房長官の書く本が面白いからなんかね。
・奇抜探偵の永久なる不滅を願って。


※各文言は本人たちの言ったとおりではありません!かなりデフォルメされてます!こんなような雰囲気のこと言ってたな〜程度で書いてます!