以下は時期を逸して記事として上げていなかった文章である。
題名は『春疾風(はるはやて)』


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染井吉野が盛りを迎えているらしい。
生憎(あいにく)僕は未だ見ていない。

花時(はなどき)は兎角強い南風が吹く。
春の風と桜は一揃えなのだ。

万朶(ばんだ)の花を咲かせたかと思うと、一陣の風の狼藉に呆気なく散っていく。
花、と云えば桜花を指す程、その風情は万人に好かれている。


果たして、嵐がなければこんなにも桜は愛されただろうか、
などと、強南風(つよごち)を感じながら、見ぬ桜の事を想うばかりである。


話題:桜