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大紫

今年は季節の足取りが鈍(のろ)い様に感じていたが、昨日は一変、“春暑し”の感が堪えなかった。
僕は他人より暑さに対して過敏であるようで、薄暑であっても堪えられなく、法外に汗をかいてしまう程である。


戸外を歩くと、庭木や公園、歩道脇等至る所で、五月の名の通り皐月躑躅が咲き誇っている。
栽培が楽で、品種改良がなされて様々ある事から、一般に人気なのだろう。
よく目に着くのが、濃い赤紫の大輪で見栄えの良い、その名も「大紫」。
父曰く、この種が嘗て盛んに持て囃されたらしいが、僕はこの派手な色がどうも退屈で好みではない。


帰路の途中で書店に立ち寄り、月並みな思量乍ら、暑いなら肝でも冷やそうという目算で、何やらおどろおどろしい表紙と帯文句に期待して一冊小説を購入した。
残念ながら思った程の内容ではなく、目算は外れてしまったが。


歯黒・追記

要望があったので、レポートを続行する。


「赤ちゃんにカルシウムを取られて歯がぼろぼろになる」、「赤ちゃん一人につき歯が一本駄目になる」という様な俗説は迷信である。

先回の記事で、母体の歯のカルシウムが溶け出し胎児に取られる事はないと説明した。
妊娠したからといって、必ず歯が脆くなる事はない。

しかしながら、妊婦は虫歯や歯周病が初発、或いは再発、増悪し易い事は、実は嘘ではない。
今回は、これを説明しようと思う。


先ずは、妊娠初期は悪阻(つわり)の影響が多々ある。

悪阻のある時期はブラッシングをし難(にく)い。
特に臼歯部(※奥歯)のブラッシングに於いて悪心や嘔吐がある。
その理由としては、口腔後方部の迷走神経の反射が過敏になっている為と説明されている。
因って、ブラッシングを怠り勝(が)ちになる事から、口腔清掃が不良となる傾向がある。

また、悪阻に因って胃酸が逆流し、口腔内の酸性度が高まり歯牙を浸蝕する。
食べ物の好き嫌いが変化し、酸っぱいものを好んで食したくなる事も酸性度を高める。


次に、唾液の分泌量についてである。
唾液には緩衝作用があり、酸性に傾いた口腔内を元に戻す働きがある。
しかし妊娠期間中は、耳下腺唾液の分泌量が減少する。
緩衝作用が低下し、この事からも妊婦の口腔内は酸性に傾き易い。


更に、女性ホルモンの影響である。
妊娠期間中は女性ホルモンの分泌が活発となる。
これによって菌種が増加し、妊娠性歯肉炎を引き起こす事がある。
ブラッシングに伴う出血が認められるようになる事から、出血を嫌い口腔清掃習慣が崩れやすい。


妊娠中期から後期にかけては、胎児の発育に伴い消化器官が圧迫されて、一度の食事で食べられる量が減少する為、食事回数が増加する。
食事の度に口腔内は酸性に傾く為、口腔内が酸性下に曝(さら)される時間が長くなる。


長く説明してきたが、
つまり、妊婦は様々な要因から、
@虫歯・歯周病になり易い環境になる
A口腔清掃が疎(おろそ)かになり易い
因って、口腔衛生が悪くなり、虫歯や歯周病になる確率が高くなると云う事である。


話題:健康

歯黒

先日、読書していた際、気になった個所があった。
下記の台詞である。

――――――――――――――――――
「妊娠すると体内のカルシウムが胎児に取られていく。そうすると歯がもろくなって虫歯になりやすくなる。(後略)」

石持浅海 『人柱はミイラと出会う』より
「お歯黒は独身に似合わない」から
平成22年2月1日発行 新潮社
――――――――――――――――――


僕は大学時代、歯科衛生学を専攻していた。
余談だが、当の本人は副専攻の教育学を本命としていたのだが、教育実習に出るにあたり本学では事前の二学年の冬に何故か選考試験があり、僕は「社会性が著しく欠ける」といった理由で履修する事すら拒まれたのである。


閑話休題。


さて、
抜粋した文の内容は間違いである。

確かに、妊婦の摂取したカルシウム等の栄養は胎児にも回されるが、母体の骨や歯のカルシウムが胎児に取られる事はない。 

また、骨の場合、古い骨単位は壊されまた新しく形成される事を繰り返し、絶えず改造(リモデリング)を行っているが、歯にはその改造は見られない。

つまり、骨は血中とのカルシウムの出入りがあるが、歯に関してはカルシウムが血中に出ていく事はないという事である。
結論として、妊娠に因って歯がもろくなる事はあり得ないという事になる。


但(ただ)し、妊婦が虫歯や歯周病になり易い事、カルシウムの摂取が必要な事は事実である。
それは別の理由があるが、今回は割愛する。


□参考文献
・新歯科衛生士教本 栄養指導・生化学
・新歯科衛生士教本 歯科保健指導
・最新歯科衛生士教本 保健生態学
以上全て全国歯科衛生士教育協議会編集 医歯薬出版発行


話題:本の感想

一個

――――――――――――――――――
血は、煮え湯のように滾(たぎ)らねば、忽ち滞って変色し、凝固してしまう。肉は、苦痛を伴うほどに激しく行使されねば、生温(なまあたたか)い倦怠の底に沈んでしまう。 

平野啓一郎「一月物語」
――――――――――――――――――

◇宿痾(しゅくあ)
長い間治らない病気。持病。痼疾(こしつ)。宿疾。宿病。 

◇痼疾(こしつ)
容易に治らないで、長い間悩まされている病気。持病。
「幼時からの−に悩む」 

◇漸漸(ぜんぜん)
@事が少しずつ進んでいくさま。
「砦柵(さいさく)を構て、−と城下に逼近(ひっきん)し」〈竜渓・経国美談〉
A[副]だんだんに。徐々に。
「−形勢を切迫させて来た」〈漱石・彼岸過迄〉
「判断が−に訓練せられ」〈西田・善の研究〉 

◇高揚・昂揚(こうよう)
精神や気分などが高まること。また、高めること。
「士気が−する」「自主独立の精神を−する」 

◇苛烈(かれつ) 厳しく激しいこと。また、そのさま。
「−をきわめる戦闘」「−な生存競争」


話題:今読んでる本

impassioned(情熱)

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一体、真拆の悪と云うものに対する考えは甚だ凡庸である。そして、それが故に、当たり前のように悪を為すことを肯ぜない。 

平野啓一郎「一月物語」
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◇火玄火玄(ゲンゲン) ※火が偏で玄が旁
光りかがやくさま。 


◇新体(しんたい)
新しい体裁や形式 

◆新体詩(しんたいし)
明治後期に口語自由詩が現れる以前の文語定型詩。 


◇先鞭(せんべん)
他に先んじて着手すること。
「現地法人設立の−を着ける」 


◇就中(なかんずく)
その中でも。とりわけ。
「すべての学科にいえるが、−語学は重要だ」


話題:今読んでる本
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