失業してから一年も経ち、病状も落ち着いてきたというのに、僕が一向に懶(ものぐさ)をしているものだから、父は箸が転んでも面白くないようだ。
当然の報いであることは承伏(しょうふく)しているのであるが、気が揉める日々である。


然れども、こちらにだって言い分が無い訳ではない。

成程(なるほど)、昨年の様な狂人の言動は鳴りを潜(ひそ)めた。
但(ただ)し、“気が触れる前”に戻ったのであって、健常人になったのではない。

他人に隠し自分を騙し、傍目(はため)には愚鈍で散漫な奴に見えるだろうが、常に緊張を孕みながらの生活を送ってきた頃に返っただけである。


再び独りで藻掻(もが)く日々。
今の憂患は屹度(きっと)、嘗(かっ)てより強い。


話題:メンタル