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彷徨いて

カタチは違えど、同胞。

…………………………


熱い。

熱い。

マッタク以て、何故我が此のような事をしなければならぬ。
幾ら可愛い長の為と云えど、何故だ。

「全く、総てアヤツの所為ぞ…」
悪態を吐きながらモトナリは、灼熱の砂漠に足を踏み出す。
幾百年ぶりのヒトの躯は、モトナリにとってひたすら不快だった。

あの後、手駒共とモトナリが呼ぶ小海竜達が薬草を運んできたのだが、如何せん海に生きる海竜が生息する場所から採れる薬草の量などたかが知れていた。
それに、元よりモトチカは陸に棲む龍だ。
水に棲む竜と違い、応急処置程度しかならない。

『忘レ人の処へ行けば何ぞ手立てがあるかもな』
『…竜人か。じゃあオレが』
『良い。長は此処でコヤツを見ているといい。それに、忘レ人になぞ長を逢わせる訳にはいかぬ』

(未だ長を恐れ、憎む人間なぞに)


「逢わせて堪るか」
ポツリ、呟いてモトナリはその場に倒れこんだ。


………………………………
熱さに弱い。ちなみに忘レ人は竜人の方々。マサムネさんが昔滅ぼしかけた方々。

狩りヒト

狩るのも刈るのも趣味。

………………………

「――?!今、なんて…ッ」
男の言葉に幸村は弾かれたようにして、体を振り返らせた。
「ですから『蒼い龍』と言ったのです…ククッ。人間は耳も悪いのですか?」
男は尚も体を揺らし、面白げに幸村を見つめている。
「……。『蒼い龍』を、貴殿は知っているのか」
「えぇ!勿論知っていますとも」
憎々しげに、低く言葉を発した幸村に対し、男は声高らかに愉しげに応えた。
「『蒼き龍』は古の塔に棲む竜たちの長。《祖龍》に愛された龍ですよ」
「…《祖龍》??」
「ああ!人間は分からなくても良い事です。どうせ遭う事など一生掛かったって無いのですから」
男は幸村の疑問付を一蹴するが如く、掌を払う。

何処まで神経を逆撫でる男なのか。
さすがの幸村もこれ以上付き合う気が失せた。
止めていた足を再び進める。
背後から呆れた男の声がするが、幸村は足を止めなかった。
「おやおや、怒らせてしまいましたか。しかし、本当の事です。貴方達人間は《祖龍》に謁る事なく…私に狩られるのですから!」

「――ッ!?」
おぞましい殺気。狂気にも満ちた視線に晒され、幸村は後ろを振り返った。
幸村は目を疑う。先刻まで男が居た場所には、見た事もない大型の翼竜がいた。

………………………………
二度目のバトル。おかしいな。バトる予定はなかったんだけどなー。

姿非ずは君

馬鹿げた事だ。

…………………………….
「――――龍?」
青年が言い放ったコトバに、幸村は驚きを隠せなかった。
問うように聞き返せば、青年は面白そうに、
「ええ、龍です。アナタ方人間が『古龍』と呼ぶものですよ」
クックッと、笑いながら答えた。

(政宗が古龍?)

「おや、その顔は信じてませんね?まぁ、無理もありませんが」
青年は尚も面白そうに笑う。

「そもそも『龍』と云うモノはアナタ方、人間が思っている以上、複雑な生き物なんですよ」
青年の笑みが深くなる。
「ましてや古龍なんて特に、です」
青年がくっくっ、と嗤う。
「『古龍』とは…。冗談も程々にしてくれないか」

(政宗がそうだとでも云うのか、この男は)

人を馬鹿にした男の態度に幸村は怒りを覚える。
知らないのなら知らない、と素直に云えばいいのだ。それなのに、事もあろうに龍などと――。

幸村は男を無視し、足を進める事にした。構ってなどいられない。政宗の無事を早く確かめなくてはいけないのだから。

「ああ、そうだ…」
すると男は独白じみたように、幸村の背を指差し呟いた。

「その武器は、龍に見せないほうが良いですよ。…特に蒼い龍には、ね。クックック…」


………………………………
考えたら、この時点で人間確定してんのって幸村と佐助だけだ!(爆)

探しにきたよ。

何処迄も、どこ迄も。


………………

「何処へ行くのです?」
いきなり投げられた言葉に幸村は顔を上げた。
ゆっくりと顔を上げると、何時の間に居たのか。痩せた青白い青年がいた。
透き通る、雪のような長髪は薄ら寒さを覚えさせる。

「何処へ行くと云うのです?」

青年がもう一度問うてきた。
その言葉に幸村は初めて周囲に目を向けた。
何処?そう云えば何処だろう。
煤けた風景が幸村を包む。
狩場ではない。来た事が無い。
幸村が周囲に目をやってると、再び男が話し掛けてきた。
「此処から先は古の土地。古きは龍の棲み家です」
人間が足を踏み入れようものなら、死にますよ。まぁ、自殺希望の狩者と云うなら止めませんが。
などと、不吉な事を言ってきた。

「自殺など…。それより貴殿に聞きたい事がある」
「なんでしょう」
「オレと同じ背格好の青年を見なかっただろうか?何やら、こう…不思議な蒼銀の衣を身に付けておるのだが」
幸村が身振りで説明すると、青年は蠅蛇の如くニタリと、眼を細めるとこう言った。





「―――それは、【龍】ですねぇ」

青年の声に、幸村の思考が停止した。


………………………………
白髪の幽霊青年(笑)明智。正体はもうちょっと後で。


.

深淵の龍


すべては我が手の内よ

……………………


「……は?」
友人の言葉と同時に上がった水柱に、マサムネは呆気に取られた。
水柱が立った後から現われた《モノ》

「……何でアンタが」

水面を山のように割って現われたのは深殻龍【ナバルデウス】
普段は海底の奥。光も届かない【死淵】と云われるヶ所に沈んでいる遺跡を住居としている。
その龍の背にモトチカが乗っかっていた。
―――ただ。

「アンタ…何でモトナリと居るんだ…?」
深海を統べる主が、モトナリと仲がいいなんて聞いてない。聞いた事もない。

『………グゥ』
一言、深く唸った深海の主は、ゆっくりと背に乗っているモトチカを岸辺に下ろした。
………何があったか知らないが、話したくないらしい。

マサムネは慌ててモトチカに駆け寄る。
息はある。気絶しているだけのようだ。
マサムネは友人の生存に、安堵の息を吐いた。
『……こやつが幾ら頑丈といっても危険な事には代わりはない』
モトナリの言葉に顔を上げれば、何百年ぶりに見るであろう。人型のモトナリが其処にいた。
『このままでは人間共の餌食に為りかねんからな。我が何とかしよう』
モトナリの言葉を解したのか、ナバルデウスは一際長く伸びた觸髭で水面を叩く。すると、水面に小型水竜達が(それでも大分でかい)顔を覗かせる。

『薬草を持って参れ』
モトナリの一言を耳にするやいなや、水竜やナバルデウスは海中へと姿を消した。


………………………………
深海の主もモトナリさんにゃ適わないってコトで(笑)
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