その言葉を耳にした政宗は、盛大に眉を顰めた。
「ワリイ小十郎。よく聞こえなかった」
『もう一度言ってくれ』と、目の前に座する側近に言えば。
「ハッ。ですから政宗様。群雄割拠の今、人力は大切でございます」
それは分かる。
「ya,確かに大将だけが残っても国が栄える事はねーしな」
政宗の言葉に小十郎も頷く。
「その通りにございます。国とは民がいてこそ。その民の、つまり兵士達の中心は政宗様にございます。政宗様の一挙一動足で兵士達の士気は向上致します」
成る程。全くその通りだ。それも分かる。
軍の奴等(もちろん小十郎も)は、オレのEnglishを理解しちゃいねーだろーが、取り合えず呼応してくれっし、それは軍全体の鼓舞に繋がる。
良い事だと思う。
「しかし兵士たち皆が政宗様の様に無双の強さを誇っている訳ではございませぬ。皆、政宗様のお姿を見、お言葉を聞き、己の力を存分に奮っておるのです!」
うん。それもワカル。
ただ、問題はここからだ。
「故に政宗様。そのお姿をより皆に…否!伊達軍全員が政宗様のお姿を何処に居ても見える様、是非ともこの小十郎と契約して魔法少女とならせませ!」
「ワリィ、無理」
オレは再び小十郎の言葉を一刀両断した。
………………………………
まどまぎネタ。「小十郎と契約して魔法少女になってよ!」の台詞が書きたかっただけ(笑)
.
食べたい。
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衝動的、って奴なんだろうな。きっと。
「なっ…!ま、政宗殿?!一体、ななな何を…??!」
慌てる真田幸村の声が耳に響く。
―――コトの発端は、真田の腕だった。
真田と手合せし、井戸場で汗を流していた時にオレはまじまじと真田の腕を見た。何時もは赤い戦衣に包まれているから、見る事なんて滅多に無い。
思えばアレが初めてだったんじゃ無ェんかと思う。
んでまあ、ふと思ったわけだ。
ああ、コイツの腕美味そうだなッて。
――がぶっ
思わず噛んじまったワケだ。
そりゃあ、慌てるだろうな。きっとオレだって慌てるぜ。
だけど――。
「その…政宗殿からそのようなコト…」
『我慢出来なくなるではないですか』
そのまま真田の腕がオレを抱き竦め、オレの項に真田が口付けてきた。
「――さ、真田…!??」
皮膚に歯が立てられ、プツリと皮膚が弾け其処から体液を吸われるように、真田が舌を這わしてくる。
「政宗どの」
食欲と性欲は比例するって誰かが言ってたよな…。
この場合オレが喰われるンだろーな、と他人事に思いながらオレは真田の手を許してしまった。
………………………………
幸村の腕って政宗さんも抱き上げられるから、筋肉キレーについてそうって話。幸村はそうじゃないけど(笑)
カタチは違えど、同胞。
…………………………
熱い。
熱い。
マッタク以て、何故我が此のような事をしなければならぬ。
幾ら可愛い長の為と云えど、何故だ。
「全く、総てアヤツの所為ぞ…」
悪態を吐きながらモトナリは、灼熱の砂漠に足を踏み出す。
幾百年ぶりのヒトの躯は、モトナリにとってひたすら不快だった。
あの後、手駒共とモトナリが呼ぶ小海竜達が薬草を運んできたのだが、如何せん海に生きる海竜が生息する場所から採れる薬草の量などたかが知れていた。
それに、元よりモトチカは陸に棲む龍だ。
水に棲む竜と違い、応急処置程度しかならない。
『忘レ人の処へ行けば何ぞ手立てがあるかもな』
『…竜人か。じゃあオレが』
『良い。長は此処でコヤツを見ているといい。それに、忘レ人になぞ長を逢わせる訳にはいかぬ』
(未だ長を恐れ、憎む人間なぞに)
「逢わせて堪るか」
ポツリ、呟いてモトナリはその場に倒れこんだ。
………………………………
熱さに弱い。ちなみに忘レ人は竜人の方々。マサムネさんが昔滅ぼしかけた方々。
ゲームでたぎったんで、つい。
………………………
「石田殿が悪いでござる!」
そう、いきなり怒鳴られた石田三成は盛大に顔をしかめた。
「……貴様、いきなり何を言い出す。斬られたいか」
「それはコチラの台詞でござる!石田殿こそ某に殺されたいのでござるか!政宗殿を――…!」
「政宗?」
いきなり言われた言葉に再び三成は顔をしかめた。
一体何を云いだすのか、この男は。
訝しんだ目付きで、目の前の男――真田幸村を見れば、こう答えてきた。
「石田殿が変な時に訪ねてきたお陰で政宗殿に疑われるわ!全力で切り付けられるわ!挙げ句、政宗殿の誕生日を祝いに行ったら…!!うおおおお!!!」
「越中を越えた辺りから、伊達軍の皆さんに追っかけ回されて、奥州に入る事すら出来無くってねー」
真田付きの忍が、へらッと笑いながら話す。
「だが、それと私なんの関係が「関係オオありでござる!某、政宗殿に嫌われたままなど真っ平御免でござる!」
言葉を遮られたかと思えば、そのまま三成は幸村にがっし、と腕を掴まれる。
「な、何をする!貴様!」
「某と一緒に政宗殿に謝るでござる」
「ふざけるな!何故、私が……!」
幸村に向かって異論を唱え掛けた三成は、この世とも思えない形相をした人間の、正確に云えば眼前にいる真田幸村の顔を見て直ぐ様口をつぐんだ。
後日、『凶王が真田幸村と一緒に土下座をしている』と云った伝聞が奥州一帯に広まった。
……………………………
石田サンに嫉妬しちゃう政宗さん。だから奥州に入れてやんねーよ!的な感じで書きたかったけど撃沈。
あと、幸村は西軍より政宗さん大事で(笑)
書き始めたら長いから、きっと。
…………………………
雨が。
雨が、降る。
静かな雨音は、柔らかく木々を、石を、人々を、そしてこの世界を取り巻く空気すらも包み込んで。
涼やかな音色を奏で、地上に溢れかえる。
心地よい水の音。そう言えば、あの日も確か雨が降っていた。
平素ならば好ましい音だ。昔は厭うていた彼が、最近になり好きだと言った。
言われて気付くのも可笑しな話だが、同じ理由で好きになった。
でも。
でも今は違う。
ひとり、だ。
たったひとり。
………………………………
どーしてもシリアスが書きたくて、しょうがなかったんだよ…!!!
政宗視点、小十郎視点、幸村視点、誰からでもスタート出来る。