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危膨

警鐘。

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ちかちかする、まるで稲妻みたいな光が目蓋の奥からやっと抜け出ていった。
涙の滲む眼をゆっくり開く。
細めた眼で生温く、湿った暖かさの先を見遣れば、それはユキムラの手だった。
「――…!」

初めて触れた、ニンゲンのテ。

―――熱い。

厭なまでに、熱い。

皮膚の真下を、まるで虫が這いずるような気が一瞬でマサムネの全身をゾワリと駆けた。
マサムネが幸村の手を振り払おうとしたが、その前に幸村の手が離れた。
そして、
「政宗、下がってろ…!」
幸村はマサムネを庇うかのように、モトチカとの間に立ち、ソレを構える。

――――『ソレ』

『ソレ』は見た事もない武器。
『…なん…だ…!?』

マサムネの背筋に緊張が奔った。
あの武器は。多分、あの武器は自分に向けられているモノじゃないけれど。


《アレは、すごくイヤなモノだ!》

マサムネの何かが、激しく警鐘を鳴らす。


「政宗、クシャルの隙をつくからその間に」
「――ッ、寄るなァ!!」
「政宗!?」

気が付けば、マサムネはその場を駆け出していた。

早く!早く!


《アレ》から離れなくては!
「政宗!」
幸村の声を背に、マサムネは巨大な影と暴風に向かって走る。

『――乗れ!マサムネ』
傷めた翼がマサムネを迎える。
ばさり、と大きな羽噴と同時に傷口から流れ出た体液が風に舞う。
そしてそのまま風と共に。
赤い雨と共に。

「政宗!」


――龍は空を駈けていった。
………………………………
危うさが膨らむ。動物的本能と申しましょうか。

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