2001年から2010年にかけて月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス)で連載され、アメリカやヨーロッパ各国など21の国と地域で、シリーズ累計発行部数7000万部超を記録し、日本での映像化は不可能と言われていた荒川弘の人気コミック『鋼の錬金術師』の実写映画化が決定。主人公のエドワード・エルリック役をHey! Say! JUMPの山田涼介が演じ、本田翼、ディーン・フジオカ、松雪泰子ら豪華キャストが出演することが正式発表された。

エドワードとアルフォンスの兄弟は、母親を生き返らせるために“錬金術”の最大の禁忌“人体錬成”を行い、失敗。その代償としてエドワードは体の一部を失い、右手と左足が機械鎧に。アルフォンスは体全てを失い、魂を大きな鎧に定着させた体になってしまう。やがてエドワードは国家錬金術師となり“鋼”の錬金術師と呼ばれるように。人体錬成の対価として、失ったすべてを取り戻すため、兄弟は絶大な力を秘める“賢者の石”を探す壮大な冒険の旅を繰り広げるー。

『鋼の錬金術師』通称“ハガレン”は、03年にMBS・TBS系でアニメ化されて人気を博し、劇場版アニメも製作され、09年4月〜10年7月に新シリーズのアニメが放送された。 少年誌での連載にもかかわらず、オリジナリティあふれる設定とストーリー、そして鮮烈なビジュアルが熱狂的な女性ファンをも虜にさせ、深いメッセージ性が幅広い層からの支持を得ている、まさに日本漫画界を代表する伝説的コミックだ。

錬金術とは、物質の構成や形状を変化させ、新たなものに作り替える技術で、無から有を生む万能の術ではなく、「等価交換」を原則とする厳正科学。この錬金術が存在するファンタジーな世界観は日本での映像化は不可能と言われ、ハリウッドでの映画化もウワサされていたが、[ハリー・ポッター][るろうに剣心][デスノート]といった、人気シリーズの実写化を実現させてきたワーナー・ブラザース映画が、世界も視野に入れ映画化に挑む。

監督を務めるのはジェームズ・キャメロン監督の[タイタニック]でCGを手掛けた経験もある、[ピンポン][あしたのジョー]の曽利文彦氏。CGと実写の巧みな融合に定評のある曽利監督だが、本作において、デジタル技術を前面に押し出した映像を手掛けるという。また全108話に及ぶ原作を1つの映画にするにあたり、06年から構成を練り、13年に映画化に向けて本格始動し、世界との融合の末、初映画化にこぎ着けた。

実写映画ではキャストは全員日本人を起用になる予定で、曽利監督が全員を口説き落としたという。国家錬金術士のエドを山田涼介、ヒロインでエドたちのと幼なじみの機械鎧(オートメイル)技師のウィンリィ・ロックベルを本田翼、兄弟の良き理解者で軍の士官で“焔(ほのお)の錬金術士”と呼ばれるロイ・マスタング大佐をフジオカが演じるほか、マスタング大佐の親友ヒューズ中佐役に佐藤隆太、マスタングの側近ホークアイ中尉役に蓮佛美沙子、ロス少尉役に夏菜、重要な役割を担う「合成獣の権威」と呼ばれる国家錬金術師のタッカ―役に大泉洋、ドクター・マルコー役に國村隼、そしてハクロ将軍役で小日向文世が出演。

エドとアルの冒険に立ちはだかる敵役も豪華キャストが集結し、ホムンクルス(人造人間)である謀略に長けた“色欲”のラスト役に松雪泰子、“嫉妬”のエンヴィー役に本郷奏多、“暴食”のグラトニー役に内山信二、ホムンクルスと共謀するコーネロ教主を石丸謙二郎が演じる。

エドワードの弟で魂を鎧に定着させた鎧姿のアルフォンス・エルリックはCGか出演者を立てるのかはベールに包まれている。

“錬金術”を駆使したアクションシーンなどでのCG映像について曽利監督は「昨今の映像技術で、今まで映像化不可能だったものがハリウッドだけでなく日本でも映像化できる時代に入ってきました。ハリウッドに肉薄する技術力で、素晴らしい作品を映像化したいと意気込んでいます」と話し、「なるべく原作に沿った形で描きたい。キャストはすべて日本人だが、文化背景はヨーロッパ。しかし人種や国を特定する形では表現しない」と説明。そのほか、鎧をまとったアルフォンスの描写については「今は言えないが、ファンの方たちに十分満足していただけるものをお見せできる。アルフォンスに自信があるから映画化に踏み切ったと言ってもいいくらいかも」と自信を覗かせた。

ブレイク前からディーンさんに着目していたという曽利監督は、「キャラクターとしての一致感や、ディーンが演じるマスタングを見たいというのが、早くから念頭にありました」と告白。さらに「実際に全員を口説き落としたので、全員思い入れが深い」と胸中を語り、「原作が有名であればあるほど、役者さんとしてもためらいがあると思う。そこを乗り越える勇気を持ってもらうために、具体的にディスカッションしながら納得していただきました。皆さん前向きで、一緒に作り上げていこうというチーム感が、今盛り上がっています」と説明した。まりました。

映像化不可能と言われた世界観に挑戦。曽利監督は「日本のコミック文化が世界に誇る作品。実写化できることは監督冥利に尽きる」と同時に、「(原作は)物語が素晴らしい。それに尽きる。このストーリーを映画にしたいというのが自分の悲願」とまずは心を打つ物語が大事だと強調。「全力投球以上の思いでのぞみたい」と意気込んでいる。

19世紀の欧州の世界観をモチーフにしており、6月より世界観の表現を追求してイタリアロケから撮影が開始され、日本での撮影を経て8月下旬に撮影終了を予定。2017年12月に全国公開される。アクションやCG映像にも巨額の予算が投下されるとのことで、日本映画の枠を超える破格のスケールの映画が期待できそうだ。


▼山田涼介コメント
●原作について
僕自身も小さな頃から読んでいたのですが、現実離れした世界観でありながらもヒューマンドラマがちゃんと描かれている、そこに多くの人が心を惹きつけられているのだと思います。今回主演という立場を頂いた時は、原作が好きだからこそ、どんな作品になるのか疑問と想像が膨らみ、自分がこのプレッシャーに勝てるのか?という気持ちもありました。

●アクションについて
できる限りスタントは入れず、自分を追い込んでやってみたいと思っています。CGなどの技術の発達がある今この時代だからこそ、実現できる。原作ファンの方には勿論、原作を知らない方にも、この作品の凄さをスタッフ・キャスト一同で作り上げていけたらと、身体を鍛え役への理解を深めることで、今は決意が固まる思いです。

▼本田翼コメント
(原作は)連載当初から読んでいて、単行本も完全版も大切に持っている本当に大好きな作品。プレッシャーが凄いです。原作ファン、そして私たちの世代にこそ観て欲しいし、観たいと思わせる作品にできたらと思っています。海外での撮影は初めてなので、しっかり準備をして臨みたいと思います。

▼ディーン・フジオカ コメント
人気のマスタング大佐を演じさせて頂くプレッシャーはありますが、原作ファンの皆様の大きなご期待を背負えるようにまずは身体をひとまわり大きく増量して、役作りに望みたいと思います。学生時代にはボクシング、俳優のキャリアを始めてからは中華武術やテコンドーを含め日常的に練習し、過去の仕事でもアクションを撮影してきたので、その経験が今回の新しいチャレンジに活かせるよう頑張ります。

▼松雪泰子コメント
世界中にファンがいる今作。演じさせて頂くキャラクターは原作ファンの方々の思い入れも強いキャラクターだとお聞きし、身の引き締まる思いです。曽利監督とも実写の映画では初めてですので、どんな作品作りになるか、楽しみにしております。

▼原作・荒川弘コメント
色々なメディア展開をしてきた鋼の錬金術師ですが、なんと実写化!マンガでは豆粒ドチビのすぐキレる主人公なので、山田さんに演じていただくのは、なんだか申し訳ない気分です……!!(あ、ヒロインもすぐキレますね。すみません……)曽利監督はマンガ表現とリアル部分をつなぐCGを上手に使われる方なので、アニメやゲームとはまた違った表現を見せていただけそうで楽しみです!

▼曽利文彦監督コメント
「ピンポン」は企画段階から参加し、自らの想いが強く反映された作品ですが、今作はそれ以来となる、自らが立ち上げた作品であり、特別な思い入れがあります。「鋼の錬金術師」の世界観やテーマ性、そして“生きていくことの真実"を描いた、この素晴らしいストーリーを幅広い世代にご覧いただけるよう、チーム一丸となって全力で取り組んでいきたいです。