【気のボールをつくる】

  僕は、器具を用いて脳波をα波にしていく訓練と自分の意思で手足を温かくしていく自律訓練法などによって、掌の気の感覚を体感することや気のボールを作るための基礎を身につけていったのであるが、そのことによって、「気マガジン」に載っていた「気のボールを作る技」の練習に取り組んだ時も、指先から出るレーザー光線のような気の感覚や両手の間に挟んでいる風船のような気のボールの感覚も、映像によるイメージや強い意識の集中ではなく、副交感神経優位に伴う指や掌の感覚の変化の体感として練習して行くことが出来たのだ。
 それでも、数回の拉気(ラーチー)で気のボールを作れるようになるまでには半年近くの時間を要したのだった。

 そして、この気功の訓練としての最初の課題である掌感覚と気のボールをつくる取り組みのための理論とテクニックを獲得するまでには、更に十年を超える時間を要したのだった。
  そこには、α波の脳と副交感神経優位という生理的な変化をもたらし、その状態を体感するための媒介である体性感覚という感覚への気づきが必要だったのだった。