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a's Instant サイト説明等々


携帯用サイトのため、PC時にはリンク等が見れなくなってしまいますので、トップに案内を設けたいと思います。
まぁ、タグだのなんだのの知識がないsilcです故、使いづらいとは思いますが、これからちょいちょい改善出来たらな…………出来たらいいな…………。





   【現在編集中】

不定期連載 習作:僕のいない日常、あるいは僕のいる(非)日常



試験前につき、この日記は衰退しました。
silcこと、絹飴の未来にご期待ください。



追記

7月、8月の公演に出演することが決定しました。1時間半くらいの劇ですわ。
忙しいです。
詳しくは後々。

不定期連載 習作:僕のいる(非)日常

当作品は、40%の事実と、50%の嘘と、10%のノリで出来ております。(しるく調べ)



 日41月6

 

 世界を救う旅に出ようと決意した僕は、早速準備に取り掛かることにした。

 基本的に必要なものは少ない。世界を救うにしても、『準備が必要なもの』で救うならば、それなりの量が要求される。ならば、この身、この僕自身で世界を救うほかあるまい。金欠なのである。

 ナイフ、ランプを鞄に詰め込むこともなく、韓国語の教科書を詰めて僕は家を出た。自転車を漕ぐたびになにか軋むような音がする。次の街で『高級自転車』でも買わなければならないのかもしれない。耳障りな音を、曲のボリュームを上げることでかき消した。

 途中、学生服の青年にレースを挑んだり、向かってくる肉壁(人×2)をカカッと避けたり、ミスもなくステージをクリアしていく僕は、まさに世界を救う勇者。何の障害もないのは何ともつまらないが、≪優しいモード≫であるならばまぁこんなもんだろう。

「君」

 しゃべりかける前にしゃべりかけられた。いつの間にイベントシーンに入ったのだろう。

「イヤフォン。危ないから」

 信号機[Unbreakable object]に引っかかって、交番の前で止まっていた僕に、駐在さん(Lv.30前後)が機械的に言ってきた。面倒そうな表情である。

「勘弁してください。このイヤフォンはCap13と馬鹿に軽い癖に、音ダメージ無効、コンディション低下半減、睡眠時間短縮と言う神性能なのです」

「はいはい」

 ものの四文字で神性能は無効化された。音ダメージ無効効果はどこかへ逃げ出したようである。僕は渋々イヤフォンをインベントリに収めた。信号機が赤から青へと変わる。

「では」

「次見かけたら用紙に記入してもらうからね」

「分かりました」

 二度と通らなければ良いのである。マップにチェックを入れる。

 しかし、今のは実にMPダメージが大きかった。これではメラゾーマはおろかマヒャド……イオナズンはもっての外であろう。なんとなくパルプンテは撃てる気がした。

「仕方ない。持ち合わせはあんまりないけど、回復アイテムを買っていくべきか」

 僕とコンビになりたいと抜かすショップに足を踏み入れる。いつもなら量は少ないが、味とHP回復効率の良いミルクティを選ぶところだが、今日はMPである。ジャスミンティ(1L:103円)を購入した。

 代金を丁度払い、品物を渡され、袋のなかを見るとストローが無い。

「すみません」

「あ、ストローですか?」

 分かっててやったのか。鞄に手が伸びる。確か戦場ヶ原キット(ホッチキスと鋏)は購入しておいたはずである。

「どうぞ」

「……はい」

 だが、装備タブを変更する前にストローを差し出されてしまったので、装備出来なかった。策士である。

 自動ドアを潜り、なんだか負けた気分で自転車にまたがる。不快な音はなおもカリカリと立っている。なんだよ。世界を救う勇者だぞ……。

 そうして今日も、勇者は魔城にたどり着く。

不定期連載 習作:僕のいない日常

 

 6月6日

 

 今日もネットに繋がらない。

 バイトがほとんど定時で終わり、≪アンハッピーリフレイン≫などを口ずさんだりしながら、途中でチョコアイスを買ったりなんかしていたのだが、やっぱり繋がらない。

 最早母親に声をかける元気もわかず、意味ないと分かりながら『切断』と『接続』を押してみるが、もちろん接続不良を示す黄色いマークは消えてくれない。ルーターの電源を切ってもみたが、どうにも駄目だ。

 詳しい人に聞かないとなぁ……と、布団に倒れこむ。ほかに何をすべきなのだろうか。取り敢えずつけたPSPが正解でないことは確かだろう。

 よく分からないうちに繋がらなくなったのだから、よく分からないうちに繋がるようになるだろ……。

 朝、画面の暗くなったPSPが枕のわきに転がっていた。セーブはされていなかった。

 

不定期連載 習作:僕のいない日常



人に読ませる日記。練習中であります。


 6月5日

 先輩との講習会の帰り、ヨドバシカメラに寄って母と祖母と合流することになっていた。

 着いたよ、と言う旨のメールを母に送る。すぐさま、四階に来て――との返信があった。

 日曜日と言うこともあって人が多い。おじいさんにその子であろう男性が付き添っていたり、おばあさんが一人で洗濯機売り場を歩いていたり……生活家電売り場と言うこともあって子供の喧騒とは無縁そうでなによりだった。

 しかし、二人が全く見当たらない。空気清浄器だのエアコンだのの稼働音が低く唸るように聞こえてきた。――そんな小さな不安に答えるように、ポケットの携帯が震えた。

「もしもし」

『今どこ?』

母だった。

「エアコン売り場」

『掃除機売り場に来て』

 お使いイベントじゃないのだから……。ゲームの主人公になった気分だった。

 掃除機売り場は丁度真反対だった。通路をカウンター待ちの列が塞いでいる。溜息が漏れた。隙間をすみませんと声をかけつつ通り、掃除機売り場にたどり着く。しかし、二人の姿はない。奥の方かと行ってみるも、やはりいない。……通路側だろうか。速足でエリアを抜けると、二人が電池の売り棚の前に立っていた。足元に大きな段ボール箱が置いてある。

「お待たせ」

 声をかけると、母が顔を上げた。

「ありがとね」

 箱には大きく、食器洗浄機と書かれていた。社名はパッと見わからない。

 ――重いよと祖母が言った。持ち上げてみる。なんというか重いと言えば重いのだが、機械独特の浮くような重さが腕にかかった。

「今って便利ねぇ」

 ヨドバシからの帰り道、祖母が口を開く。

「携帯でどこどこにって連絡が出来て」

「そうね。『吉祥寺に』って言っておいて、着いてから合流できるし」

 ……それは面倒じゃないか? 最初から『ヨドバシ四階、掃除機売り場』の方が楽だろう。……などとは言えず、巨大な箱を前かごに乗せた自転車を、黙々と押して家へ向かった。

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