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先に、先に謝ればなんとか………




かむにゃーーん!
すまんかったーー!





よし。これで大丈夫。
心の広いかむにゃんなら許してくれる。


あ、かむにゃんが解らない方はリンクからどうぞ。

………良いのかな?
良いよね!


追記はイラスト。
1、2を見て、『なにを勘違いしてるのかしら』な方は回れ右でお願いします。


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『Prologue:2』


Mabinogi G:EX
《Lost World[忘却世界]》


――現実を見た


僕は何も出来ない事を知った。絶望が体を苛み、希望がしかし心を軋ませる。地獄の中で希望を持つ事がどういう事か、僕は身を持って知る事になったのだ。
血に塗れ、剣は欠け、杖は折れ、弓は切れ、筒は割れ、拳も壊れた。しかし心が折れない。あぁ、こんな時にも僕はあの顔を思い浮かべてしまうのか。淡い思いだったのかもしれない。切ない思いだったのかもしれない。しかしそれは悲しい思いだったんだろう。
死体から剣を奪い取り――刃が欠けて使い物にはなりそうもない――僕は立ち上がる。いや、立ち上がるなんて格好良く言葉にするのは烏滸がましいだろう。血と土でグチャグチャになった体を引きずり、肉と泥の混ざった塊を踏み潰し、1mm先へと指を這わす。地に刺さる剣を掴み、体を持ち上げた。そうしてやっと、僕の視界は地獄を目の当たりにするのだ。
慣れた筈の臭いが鼻を突く。こみ上げる吐き気を抑え込んで、僕は呻いた。
あぁ、醜く呻く事しか、僕らには許されないのか。

『―――どうして立ち上がるの?』

耳鳴りの様に小さく小さく声が聞こえた。そうだな……なんで立ってしまったんだろうか。あのまま眠ってしまっても良かったかもしれない。滅び往く世界を、共に戦った仲間達と感じるなんてのも、実に乙なものだろうに。何故僕は立ったんだろう。
―――ハハッ。
薄く笑いがこみ上げる。
何で?
馬鹿だなぁ。解りきっているだろう。
――それが僕の役目だからだろう。
呟く事も今は出来ない。でも届くだろ。
役目だなんて格好付けたけれど、いや違うな。ただ単に諦めたくないだけか。


まだ――まだ、心は折れていないから。


「ああぁあ゛あ゛ぁぁぁあ゛ああ゛ぁぁぁ゛!!!」
枯れた喉から叫びが生まれる。壊れた拳を握り締める。欠けた剣を振りかざす。

さぁ、神に刃向かう時だ。

『Prologue:0』



Mabinogi G:EX
《Lost World[忘却世界]》


The Another:side


――目が覚めると地獄だった


血で血を洗う、まさにこの世の地獄であった。
見覚えのある風景は何一つとしてなく、見栄えのする情景は一つとして残らず、見せ掛けの雰囲気すら漂わせる事なく、見せしめの如く曝された惨状が存在し、見損なう点など数え切れない程あって、見逃すなんて出来ない程均一に最悪で、それはつまり、地獄だった。
目を閉じよう。――あぁダメだ。眼が見てしまう。視えてしまう。私には見ないなんて事すら出来ないのか。
体中に液体の様に何かが回っていく。それは染み渡る様でも、押し流す様でもあった。しかし、あぁ、その《何か》は実に心地が良い。思考を全て奪われていく様な、骨が溶けていく様な、体が崩れていく様な、そんな感覚が体中に流れていく。
体が熱い。熱い。
思考を全て奪われていく様な、骨が溶けていく様な、体が崩れていく様な、そんな《何か》が体を走る。
とろけ出しそうな思考が、しかし緩やかに冷めていく。覚めていく。醒めていく。
あぁ、成る程。


―――成る程、これが《怒り》か。


そうして私は壊れた。

『Prologue:2』

現在執筆中のMabinogiオリジナルストーリーのプロローグ部分を公開します。
color'sが落ち着き次第、こっちも進める予定です。




Mabinogi G:EX
《Lost World[忘却世界]》


――夢を見た


いや、夢と言うより現実を見た。と言う方が正しいのかもしれない。夢現なんて言葉もあるが、やはりあれは現実と言う他ないだろう。
人々が倒れ伏す中、一振りの石刃を片手に私だけが立っていた。見渡す。誰もいない。死体を人とは数えない。誰も居ない。神も人とは数えない。だから、誰も、居ない。―――――否、一人。たった一人。死屍累々の中から立ち上がった。違う。立ち上がるなんて格好の良いものじゃない。血の海に這い蹲り、死肉を踏みつけ、意地汚く、腕を伸ばす。落ちていた剣を支えに、血塗れの体を立たせる。体がガタガタと、足がガクガクと震えているのが見える。肩で息をしていた。明らかにもう刃を向ける力は残っていない。
なのに、どうして立ち上がるんだろう。
絶望しか見えない世界で、絶望としか言えない状況で、どうして《彼》は立ち上がっていくんだろう。

『それが、僕の役目だからだ』

そんなの諦めれば良いじゃない。貴方にも見えるでしょう?
鎧は赤く染まって、剣は欠けて、杖は砕けて、弓は切れて、筒は割れて、拳までも壊れた。もう、立ち上がらなくたって良いんじゃないの?


『―――まだ、心は折れていない』


解りきった事の様に、《彼》は言う。いや、ただ口がそう動いただけだ。もう声を絞り出す力も残ってはいないのだろう。でも、私には耳元で言われた様に響いた。
慟哭が響く。枯れた喉から、戦慄する程の叫びが鳴り響く。《彼》の体が、心が眩く光る。
あぁ、これが救いの―――





以上です。
因みにこちらは夜白野サイドで、メインは別キャラで進んでいきます。
連載の折には、よろしくお願いします。
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