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新年のご挨拶。と、2011年第一作目





明けましておめでとうございます。


混雑を見越しての若干のフライング投稿。大丈夫だ。問題ない。




今年も私、色鳥 水鳥と【a's Instant】を、どうぞよろしくお願い致します。







以下小説



【ヘタレな君の口実に】

寒いからポケットに手を突っ込む。先客がいらっしゃった。私の冷たい手にビクリと反応して、ポケットから抜けそうになる………が、すぐにもそもそとポケットに戻り、暖かい手が私の手を掴んだ。
ゴォーン、ゴォーンと鐘が響く。
見上げると、彼と眼が合う。彼は力無く笑い、「今年こそは手袋無くさないようにしような」そう言って、しっかりと指を絡めた。―――だから私は手袋を探さない。




あなたの今年が良き年であることを、お祈り致します。

雪、君



クリスマスも終わりますし、たまにはラブラブしても良いよね。たぶん。



【雪、君】


ダウンのポケットに手を突っ込み、マフラーに口元を埋める。だが、足下、特に太股辺りが寒い。ダウンじゃなくて長めのコートにすべきだったか。ブーツで指先はまだ良いんだが。
風が髪を揺らす。それだけなら良いのだが、冬らしい冷たさが、体を無意識に縮こまられた。
「喫茶店待ち合わせとかにすれば良かった」
ボソボソと独りごちる。口から白い煙のような吐息が漏れた。
しかし、喫茶店………特に思い至らないな。マックとか言って幻滅さるのを防いだ分を、外で待つ辛さに置き換えたと考えよう。前向きが一番である。
「しかし寒いな」
「ホント。もうちょっと考えて決めてよね」
返事があった。見れば、旋毛。
「近い」
真琴は僕に抱き付いていた。………気付かなかったかって? 気付いてたに決まっている。だから彼女に話しかけたのだから。
「イブに会いたかったな」
「無茶言わないでくれ。一応此処にいるのだって奇跡なんだ」
まさかイブにまで授業を入れてくれるとは、全くあの塾長は変わらない。採点までやらせるとか。恨みがあるとしか思えない。あるか。恨み。
「で? 昨日会えなかった分寝かさないでくれるの?」
「女の子がはしたない事を言うもんじゃありません」
僕は煙草を一本取り出して口にくわえた。火は点けない。飴をくわえるくらいなら煙草にしろと言われたのだ。逆だろ。
「それはいつでも出来るから、今日はクリスマスしか出来ないこと」
「クリスマス的な目合はないのー?」
「的ってなんだ的って」
そんな下らない会話をしながら、僕らは歩き出す。駅前のイルミネーションは無駄な煌びやかさを誇っているが、別にそんな事をしてもこんな僻地に人は来ないって。僕らは駅の中へ向かった。
「どっか行くの? 今から?」
真琴が携帯を開くと、時刻は0時を回ろうとする位だった。とは言え、まだ一応時間はある。
「いや、駅だよ。電車は止まってるだろうしね」
「じゃぁ入れなくない?」
「入れるんだなこれが」
バッグからカメラを取り出し、駅員に説明する。少々嫌な顔をされた位で、あっさりとホームに入れた。僕にとって、少し懐かしいホームだった。
「僕さー。此処で初めて煙草吸ったんだよ」
「へー」
「あれ、ご機嫌斜め?」
「こんな所行くなら家で寝てても良かった」
「そう言うなよ」
薄く積もった雪を踏みながら僕らはホームの端にたどり着いた。当たり前だが箱なんて落ちてない。
「なぁ真琴。写真撮ろうか」
「へいへーい。好きにしてくだせー。ついでに私の体も好きにしてくれたら良いよ!」
「はいはいそのうちね」
「起たなくなるまでやってやるからな。絶対だからな!」
「はいはい。どうせ真琴が寝落ちて終わるから」
カメラをいじりながら僕は投げやりに答える。こう言う事を言わなければ美人さんなのに。まぁ、言うなら言うで可愛いけど。ダメな所なんて僕を好きな所くらいか。
「あのさ」
「なーに?」
「クリスマス的なプレゼントとか欲しい?」
「思い出だ! とか青春な物以外なら」
「あー」
マジかよと、真琴が叫んだ所でシャッターが落ちた。残念なカップルである。
「思い出………まぁ、物ではないなぁ」
「何々。プロポーズでもしてくれるの?」
「うん」
マジかよと、真琴が叫んだ所でシャッターが落ちた。残念なバカップルである。
「サンタさんにプロポーズする勇気を貰ってたら、今日になっちゃって」
「サンタさん便利だな」
確か告白する勇気も貰ったはずだ。サンタさんマジリスペクト。
「ねぇ音葉」
「なに?」
振り向いた所で真琴の顔が近付いて、シャッターが落ちた。バカップル……から昇進しそうだが、全く、幸せな限りである。




終わりだからこそ、敢えてこの言葉を。

メリークリスマス。

あなたにとって、今日が掛け替えのない日であった事を、お祈りいたします。
しかしながら、今日から過ごす一日も、特別であり格別である事を忘れぬよう。
それでは、珍しい語りはこの辺にして。

ご愛読、ありがとうございました。

12/25 Irodori Midori

メモ2


刀語解らない人にはまったく意味解らないメモ。


…………それって皆々様って意味じゃないか。





その折れぬ体を絶と名付け
その一筋の閃を斬と名付け
その多彩な技を千と名付け
その堅牢な盾を賊と名付け
その奔放な身を双と名付け
その絶妙な巧を薄と名付け
その絶大な力を毒と名付け
その愚直な魂を王と名付け
その未知の腕を微と名付け
その隠さぬ傷を誠と名付け
その底無き欲を悪と名付け
その燃える心を炎と名付け

今、刃は完成する。

I & WE & YOU


本日お誕生日を迎えました《木下ゆみか》様に、

si「お誕生日だそうですね。おめでとう」
ゆ「ありがとー」
si「すみません。僕には何もあげるものが無くて」
ゆ「言葉だけで十分だよー」
si「成る程。プレゼントは言葉と。任されました」


と言うわけでゆみか様からのお題、《女子校》で、一本書かせて頂きましたが、先に言います。

すみません。

女子校って何状態。
女子校じゃないだろ状態。
女子校じゃなくても良いやん状態。
女子校(笑)
しるく@が一時間で書いてくれました。



それでもよろしければ、こちらをお祝いの品に代えて、お贈り致します。







《I & WE & YOU》



「弥生さぁ」
椅子に逆向きに座る友人のアホ……こと、卯月が声を掛けてきた。中身見えてるけど良いのだろうか。
「お兄ちゃんいるって言ってたじゃん」
「いるけど」
「チューしたことある?」
シパーンと、肌と肌が触れ合う……と言うか、ぶつかり合う音が鳴った。一瞬、教室が静まり返ったが、叩かれた相手を見るや、一様に何か納得した様な表情になり元の教室模様に戻っていった。
「待て、私の扱いが酷すぎるうえに、弥生! 貴様乙女をぶったな!」
「乙女だとか思って欲しいなら恥ずかし気もなく下着曝したり、チューとか言わないの」
そう言うと、卯月は一度立ち上がり、椅子をこちらへ向け、内股に座り直した。
「お兄様と、キ、キスとか……した事あります?」
シパーン。
流石に二度目は誰も振り向かなかった。しかし、私も躊躇いが消えたな。私の右手が光って唸りそうだ。
「えー、無いのー?」
「漫画の読み過ぎだと思う」
「『ちょっとお兄ちゃん』『ぐへへ、嫌よ嫌よもなんたらかんたら弥生のなんたらかんたらうんたらかんたら』『だ、ダメだっ………待てシャーペンはやばい。」
「ピアスとか憧れない?」
「0.5cmのピアスなんざないと思う」
「あ、良いところに裁縫用の糸が」
卯月は逃げ出した。
………はぁ。私は溜息を吐く。
兄ねぇ。
『おい弥生。何とかお前の学校に潜入する方法を考えてくれよ』
ねぇよ。
『おい弥生。文化祭らしいな。よし、俺が行こう』
なんで私の代わりみたいに言ってんだ。
『おい弥生。………写、写メうぉぉぉ、俺のiPhoneがぁぁぁぁ!』
「弥生。ア……卯月が泣いて縋ってうざいんだが」
別の子が話しかけてきたが、いやはや全くア……卯月がどういう扱いか、解りやすい対応である。とは言え、何故私なのだ。
「耐えて下さい」
丁重にお断りだ。
ひたすらに苦い顔をされつつ、私は席を立った。とっとと帰りたい。まぁ、帰ってもアホ二号に絡まれるのだが。強力な攻撃を使える分楽だ。
家に着くなり、兄が土下座していた。
「何だよ」
「お願いします女の子紹か………」
頭を踏みつけて奥へ。嫌な踏み応えだ。
取り敢えずリビングへ向かい、キッチンで飲み物を回収して座る。その足下に兄が滑り込んだ。なんだこいつ。
「頼むよ! いや、別に付き合う様にしろとは言わん。それくらい自分でやる。だが、出会いが無ければ何にもならないだろ?」
「その出会いもものにしろよ」
「コネくらい使わせろよ」
「都合良いなぁ」
改めて兄の顔を見る。………憎たらしい事に整っている。少し細い眼が浮いているが、それを差し引いても見栄えは良い。黙らせた状態で連れていけば、免疫の無い子なら軽く落ちる気がする。20前後で、背が175以上あって、体重は65位で、スーツが似合って、収入がそこそこあって、一人暮らしで、料理が出来て、スポーツ万能で、眼鏡で、勉強が出来るなら誰でも良いとか言ってる人も居たしな。まぁ、彼女は現在その条件を完璧に満たした女性とお付き合い中ですが。本当に誰でもよかったらしい。しかし恐ろしい事に、残念を差し引けば兄は条件に当てはまる。危ない危ない。
「なぁ兄貴」
「なんだよ弥生。後呼び捨てろって言ってるだろ」
自分が呼び捨てで呼ぶから、お前も呼び捨てで良い。兄はそう言っていた。無駄な所で律儀である。
「妹とチューしたりしたいと思う?」
「………無いとは言えないなぁ」
「は? いやいやいや、とうとう女なら誰でも良い系に!?」
「いや。お前が懐いてくれるなら、兄としては嬉しいし、嫌われたなら仕方ないと思う事にしてる。だから、いや別に女として見てる訳じゃないさ。今だって、お袋に優しくされれば安心するし、親父に怒られりゃ凹む。俺は家族大好きだしなぁ」
そう言って兄は照れくさそうに頭を掻いた。
「ま、流石に弥生に手を出すほど飢えちゃねーよ。いや、すまんかった」
踵を返し、リビングを出ようとする兄に、私はとっさに声を掛けていた。
「私は、」
「ん?」
「……ほら、仲の悪い兄妹っているじゃん。私はそんな事ないから」
「知ってるって」
苦笑して、兄はリビングから出ていった。………兄のくせに生意気な。
「弥生弥生やーよーいー!」
翌日。懲りもせず長雨さんが私の席の前に陣取った。
「おい、なんか他人行儀になってる」
「気の所為ですよ。長雨さん」
「いや、今確信した」
「で、何のご用でしょう」
「男を紹介してくれ!」
全力で、拳を振り上げんばかりに卯月は言った。馬鹿だなぁと思っていたが、心なしか今日は教室が狭く感じる。………なんか寄ってきてる?
「良いか弥生。出会いとは待つんじゃ無い。作るものだ。かの有名な…………なんとかさんは言った。ボーイズビーアンビシャス」
「少年ですけど大丈夫ですか?」
「少年には女も含まれ」
「それ青年です」
少女あるだろ。少男が無いからなんとも言えない気もするが。
「よし解った! 弥生、兄を紹介してくれ! コネクションを作っておけば、もう貴女に用はないの。クシャクシャポイ出来る!」
これマジで言ってるのかな。殴って良いのかもしれないな。
………だが、私は少し笑みを浮かべて、ダメと答えた。
「なんでよー。ハッ! まさか弥生さん」
「漫画の読み過ぎ。現実、そんな事滅多に無いの」
じゃぁなんでさと、卯月は言った。
「あれを甘やかす訳にはいかないから」
「ん?」
出会いは作るもの。………まぁ、概ね合っているだろう。でも、私と兄の出会いが作った訳じゃ無いように、出逢う事だってある。作った出会いじゃ無くて、出逢ってから作っていくのも、良いと思うのだ。
「ま、どうせ文化祭には来るだろうし、自分で頑張ってね」
「成る程成る程。私の魅力で悩殺してやれと」
「魅力かっこ笑い」
まぁ、残念な友人を見せたくないのもなきにしもあらずだ。




ありがとう御座いました。おそらくお題を頂かなければ絶対に書けない話だったと思います。

ご満足頂けたら幸いです。



あ、リクエストは受け付けてますんで、なんか書いて欲しいのありましたらコメなりにどうぞ。

朝凪


コツと、私の頭に何かが直撃した。軽い感触ではあったが、当たったのが角らしかったのと、完全な不意打ちだった為、私ははしたなくも声を上げてしまった。急いで口元を押さえ、左右を見渡す。幸い人はおらず、どうやら醜態を曝す事は免れたらしい。
「いきなり、何?」
誰へのかは全く不明だが、照れ隠し代わりに独り呟き、私は強襲者を探した。それはすぐに見つかり、私はそれを拾い上げる。
「…………煙草の、箱?」
小さめの、少しデザイン的なパッケージではあるが、中身はどうやら煙草のようだ。振ってみるとカサカサと何本かが揺れた。しかし、なんでそんなものが上から降ってくるのだ。天気予報も曇り後煙草の箱などとは教えてくれなかったし、となると誰かが上から投げたのか。勿体無い事をする。別に私は吸わないが、煙草も値上がりしたと聞くし、投擲した人は余程裕福か、余程味が気に入らなかったのか。まぁ、私には関係ない。
「あれ?」
一瞬、全身の毛が立つのを感じた。え、さっきまで誰も居なかった筈なのに。しかも私は煙草の箱を握っているのだ。
「広瀬、今帰り?」
「うん。夏冬君も?」
「いや、僕はちょっと野暮用でね」
曖昧に私は頷いて、頭の中では手の中の白い箱をどうするかに全力を注いでいた。こんな事で不良少女的なレッテルを貼られるなど、くだらなすぎる。
と、夏冬君の視線が私の手に向いているのに気付き、私はとっさに後ろに隠した。
「あ、こ、これね、空から降ってきたって言うか、いや変な事言ってるけど、今そこで拾って………」
しどろもどろに私は言葉を発していた。夏冬君に言っても、意味なんて解らないと解っていたのに。しかし、意外にも夏冬君は苦笑気味だが優しい表情だった。それは別に哀れみ的な眼では無い。
「あー、それ、僕のかもしれないわ」
「え? 夏冬、君、の?」
「正確には彼女の、だった、かな。はっ、あいつがあっさりしてた分、こいつは粘着質だなぁ」
すいと、夏冬君は右手を差し出した。
「いや、欲しければあげるんだけど、広瀬が持ってるとなんか誤解されるだろ?」
「う、うん」
私は箱を彼の手のひらに乗せた。彼はそのパッケージをじぃと見つめていた。
「当たっちゃって悪かったよ。ありがとな」
彼は箱ごと手を上着のポケットに突っ込み、くるりと踵を返した。
「………夏冬君」
私はとっさに彼の背に声をかけた。
「何?」
「その煙草、女性用だよね?」
「らしいよ。僕は吸ったことないけど」
「一本、貰って良い? ―――って、私何を」
自分で何を言っているのか解らなくなり、私は顔を真っ赤にしながら手を振ったり、あわあわ言ったりしていた。そんな様子を、夏冬君は少し呆気に取られながら見ている。ポケットには、まだ手が突っ込まれている。
「良いよ。ま、僕のじゃないしね」
箱を取り出し、蓋を指で弾いて開けると、上下に軽く揺らして、夏冬君は煙草を一本出した。そして、箱の口をこちらへ向ける。一本だけ、白い棒が飛び出している。
「じゃ、頂きます」
指で摘んで、私はその一本を抜き出した。細いそれは、ちょっと力を込めれば真っ二つになる様な気がした。いや、実際そうなんだろう。
「まぁ、吸うなり捨てるなり、広瀬の好きにして」
そう言うと、今度こそ夏冬君はスタスタと歩き去ってしまった。私は煙草を一本摘んで、そこに立ち尽くす。どうして、こんなことにやったのやら。今や私には解らなかった。多分、この寒さの所為だろう。夏だったら暑さの所為にするだろうけど。
私は煙草を慎重にジャケットの内ポケットに忍ばせた。小さな悪が、私に開放感を与えてくれた気がした。

「雅! ポケットに――これ煙草? 新手のおまじない?」
「そう言う訳でもないけど、まぁ近からず遠からず」
「ふーん、捨てて平気?」
「うん、いらないし」
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