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【
この退屈は贋物
】
23:51/13/Jul
the Other
リボーンの恭弥さんと公娼の娼婦のお話。
明治初期のイメージです。
「浮羽、君はとても美しい。」
「ありがとうございんす。」
「顔を上げて、もっとよく見せて。」
「あい、雲雀さま。」
「浮羽は素直だね。」
「わっちは褒められているのでしょうか?」
「さぁね。自分で考えて御覧。」
「あい。」
「良い妓だね。」
「あい。」
「人形みたいだ。」
「ありがとうございんす。」
「褒めてないよ。」
雲雀さまはそう言うと、お顔に何の感情もあらわさないでお酒を大きく召し上がりました。こんなに若くて綺麗な顔立ちをしていらっしゃるのに、雲雀さまはこの郭で遊ぶだけのお金を稼いでいらっしゃいます。でもいつもつまらなそうにお酒を召し上がります。大層つまらなそうにお酒を召し上がります。わっちはいつも心の底で、そんなにつまらないのならいらっしゃらなければ宜しいのに、と思っています。
わっちも、人のことは言えんせんのですけど。
売れっ妓と言うわけでもないけど、お茶引きと言うわけでもない。大客といえば雲雀さまと他に二、三。身請けされる予定もなし。こうして老いて、死んで行くのでありんす。
「ねぇ。」
気付くと、雲雀さまの杯は空になっていました。
「申し訳ございんせん。」
わっちが慌てて注ぎ足そうとすると、雲雀さんはもう一度「ねぇ。」とおっしゃいました。
「あい。」
「君はいつでもつまらなそうにしているね。」
わっちは大変に驚きんした。わっちはこれでもお客様をお相手にお足を頂いてきたのです。玄人女として、年端も行かない頃から、もう長いこと生きてきたのです。
「雲雀さま、何ぞお気に召さないことがありんしたか?」
「いいや、むしろその逆かな。」
「へぇ?」
驚きんした。
この殿方は、わっちが思っていたよりもずっと変わり者でいらっしゃるらしいです。
「ねぇ浮羽。」
「あい。」
「君がご両親から頂いた名を僕にもくれたら、君をここから連れ出してあげよう。」
わっちはどう致しましょう。泣いてはいけない?いいえ、お客様の前です、泣いても良いはず。あぁでも、もし、今わっちの隣ではじめて微笑んでおられる殿方が、将来お客様でなくなる方なのなら、泣いてはいけないのでしょうか。でもそれは、わっちが受け取れる最大級のご褒美でありんす。
「雲雀さま。」
「恭弥、と呼んで頂戴。」
「きょ うやさま。」
「うん、上手だ。」
そうしてわっちの手を取って下さいました。
何か大切な玉を扱うかのように、扱って下さいました。
「さぁ、次は君の番。」
小さく息を吸って、わっちもはじめて微笑みました。
「わっちの名前は、 」
BGM
【月天心】一青窈
例えば夜空の真ん中に月が昇るなら、君と一緒に歩いてみたいと思うんだ。
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読むこと書くことハリーポッターのシリウスをこよなく愛する女子大生。書きたいことを欲望の儘に書き散らしています。