2017-9-20 00:43
ちょっとばかし遅くなりましたが、『
エマニュエル・サーガ―黄昏の国と救世軍―』がついに100話到達しました!
いつもお読み下さっている皆さま、本当にありがとうございます。
連載1周年に続き、またもめでたい節目を迎えられた……にもかかわらずご報告が遅くなりましたのは、すみません。案の定自分の企画(The Killer's Project)に出す原稿に追われて死んでいましたw
かく言う現在も21日更新の竜人の最新話に追われていまして、更新できるか否かの瀬戸際に立たされております……TKPの原稿に力を入れすぎて、書き終えたら精も根も尽き果てた感じですね。ファンタジーが書きたい!という欲求はあるのに頭が働いてくれません。
もしも更新日までに間に合わなければ、当日なろうの方で休載のお知らせを上げると思います。すみません……( ;´_ゝ`)
そんなこんなで今回は本編第90〜100話までの黄昏用語解説です。
本編はだいぶ佳境に入ってるけど、ブログは平常運転。なお現在連載中の3章はあと7話で完結予定です。ストックがやばい。わりとマジで。
【第92話】
◆夜光石
主にラムルバハル砂漠の地下洞窟から採取される特殊な鉱石。常に青白い光を放っており照明具などに使われることがある。
しかしその正体は正確には鉱石ではなく無機生命体。植物と同じく空気中の二酸化炭素を糧として生きており、吸入した二酸化炭素を体内で酸素に変えて吐き出している。
この呼吸を行う際に体内で発生している熱エネルギーにより光り輝いているとかいないとか。そのため密閉した箱などに閉じ込めると、やがて窒息して死んでしまう。死骸はなめらかで光沢のある黒い石となり、これはこれで『黒麗石』と呼ばれ宝石として重宝されている。
夜光石の宝石言葉は「神秘」「闇夜を照らすもの」。黒麗石の宝石言葉は「悲しみ」「憂いある美しさ」。
◆エマニュエルの星座
エマニュエルには全部で九十一の星座があり、このうち七十八種類の星座は二十二大神+五十七小神を表す星座である。特に二十二大神を表す星座はそれぞれの神の神璽の形を取っており、これらの星の結びはハノーク大帝国の時代に作られた星図が元となっている。
なおエマニュエルにおける星座はハノーク暦を理解する上で非常に重要な意味を持つ。何故なら古代人たちは帝都エアドネスから観測できる星座の動きに基づいてハノーク暦を作り上げた。すなわち賢神座が東の空に現れたら賢神の月が始まり、美神座が見え始めたら美神の月が始まるというわけである。他民族の使う暦はだいたい太陽の運行(ルミジャフタの天道暦)や月の満ち欠け(竜人族の玉輪暦)に基づいていることが多いので、実はハノーク暦は歴史的に非常に珍しい形態をしている。
◆アサー
エマニュエルの二十二大神が一。神位第三位。豊穣と再生の神。かの神が振るう《
蝶斧》は荒廃した大地に緑を芽吹かせ、枯れた泉をも甦らせる力を持っていたという。
南東大陸のパルヴァネフ豊王国はこのアサーの神子によって建国され、現在はその子孫にして同じく神子のアルーサ=マフムド=ハミデフが国を治めている。豊王国の領土はかつて大半が砂漠だったが、初代豊王イフサーンの力で緑豊かなオアシスになったと言われている。
◆蝶斧
豊神アサーの神璽にしてかの神の象徴たる神具。大地に豊穣をもたらしていた巨大な蝶パルモーンが寿命を迎えて死んだのち、その死を悲しんだアサーがパルモーンの翅を天界へ持ち帰り、豊穣をもたらす斧として甦らせた。以降アサーはどこへ行くにもこの蝶斧を持ち歩き、神界戦争で荒廃した大地に赴いては再生の種を蒔いたという。
◆星読人
ハノーク大帝国の時代、非常に優れた占星術の知識を身につけ未来を予言した者のこと。ハノーク人たちにとって占星術とはオカルトめいた占いではなく、長い年月をかけて発達した科学であった。
そのため熟練した星読人の予言は100%の的中率を誇ったと言われ、優秀な星読人は大抵の場合黄帝の寵臣や権力者の側近として取り立てられた。しかしそれだけ優秀な予言者を擁しておきながら大帝国は何故滅亡の未来を回避できなかったのか、その理由は未だ謎に包まれている。
【第94話】
◆三鬼将
正黄戦争前後に多大な功績を残した三人の老将のこと。具体的には黄都守護隊長のラオス・フラクシヌス、近衛軍団長のギディオン・ゼンツィアーノ、第一軍大将軍のオズワルド・リーヴを指す。
この三人の老将はそれぞれ『戦鬼』『剣鬼』『刀鬼』と呼ばれ、ラオスは用兵の達人、ギディオンは剣術の天才、オズワルドは偃月刀を持たせたら天下無双の英傑だった。正黄戦争以降の時代を担う将軍たちは皆この三鬼将によって鍛え上げられている。
なおラオス、ギディオン、オズワルドの三人は共に三十年以上黄皇国に仕え続けた戦友同士。
【第99話】
◆希石
祈りの力で様々な奇跡を起こす石。アビエス連合国に隠れ里を持つ口寄せの民が細々と生産している貴重品で、連合国内では様々なからくりの動力源として利用されている。連合国軍が誇る飛空船や潜水艇の動力源もこれ。神術の素質がない者でも祈るだけで神術と同等の力が使えるためかなり重宝されている。
ところが神の力によらないこの力をエレツエル神領国が「魔女の力」と糾弾したために、口寄せの民には世界からの非難が集中するように。彼女たちの操る妖術や希石は「魔術」「魔石(魔導石)」と恐れられ、国外では受け入れられないものとなった。まあおかげで希石の流通は連合国内だけに留まり、その結果連合諸国はどんどん高度な文明を築きつつあるんだけどね☆
ちなみに希石はいずれも透明度の高い宝石のような見た目をしているが、色によって発現する術の効果が違う。青希石は癒やしの力に特化し、黄希石は守りの力や灯火の力を宿し、赤希石は攻撃的な術を得意とする。他にも緑や紫など様々な色の希石が存在するが、その製造方法は未だ不明。
◆口寄せの民
アビエス連合国のどこかに隠れ里があるという謎多き一族。一説によると一族には女性しかいないと言われているが、里の場所を知る人間がほとんどいないため真偽の程は定かではない。
人前にも滅多に姿を現さず、外部の人間と接触するときは決まってベールで顔を隠している。希石の取引などは特定の商人としかしないため、一族の者と接触したことのある人間も極端に少ない。
また『希術』と呼ばれる摩訶不思議な力を操り、神術使いでもないのに神の力を操ることができる。まいわゆるサイコメトリーや未来予知、テレポートといった超能力を使う者も多く、一族の者の大半は不老不死で数百年の時を生きているとかいないとか。信心深い人々からは「魔女」と呼ばれ恐れられているが、今のところ魔物と契って人を襲ったことは一度もなく、正体、起源、文化、すべてにおいて謎に包まれている。
◆天露石
サファイアのような青い石。色味が神血石と非常に近いことから、装飾具などの飾りとして大変人気がある。ただし神血石と違って聖なる力は持たないため、当然ながら解呪や魔除けの力は持たない。宝石言葉は「信仰」「寛容」。
◆魔石(魔導石)
魔界で採掘されるという魔性の石。瘴気の塊のようなもので、人間が持っていると気が狂れたり腐乱の病を得たりする。闇を凝縮したような黒に血管を彷彿とされる赤の斑という非常にグロテスクな見た目。持っているだけで魔の力を増幅させるため、知性を持つ魔物(魔族)たちが好んで身につけている。
また魔物がこれを体内に接種すると爆発的に魔力が増し、更なる凶暴さを備えた化け物へと進化する。『子連れ竜人のエマニュエル探訪記』で登場したヤート・クラーブが突然第二形態を取って暴れ出したのはこのため。あのときヤート・クラーブの周りを飛び回っていた魔物たちは魔石を運んでいて石ごと喰われた。
なお口寄せの民の作り出す希石も魔石と呼ばれたりするが、本物の魔石とはまったく性質が異なるため明らかに魔石ではない。
◆ハイム
エマニュエルの二十二大神が一。神位第十三位。輪廻転生を司る生命の神。天樹エッツァードの実に宿る死者の魂を導き、再び地上へ下ろして新たな肉体を与えることを役目としている。また死んで間もない者ならば甦生させられる力を持ち、神話の時代には何人もの英雄を死の淵から救い出した。
無機物にも命を与え使役することができたため、神界戦争時には無人の城をたったひとりで守り抜くという伝説を残したことでも有名。『千刃の計』と呼ばれる伝説では文字どおり千の剣に命を吹き込み、それを自在に操ることで魔物の大軍を退けた。
【第100話】
◆死の谷
ラムルバハル砂漠の南に広がる赤茶けた岩石砂漠のこと。エマニュエルで唯一の竜人の棲息地として知られ、一度入れば彼らの餌食となって帰れぬことからこのように呼ばれている。
いくつも転がる巨大な岩石群は中が空洞になっているものが多く、竜人たちはその空洞を巣穴として利用している。彼らの巣は大抵の場合砂漠の下の地下迷宮へとつながっており、そこを抜ければ暑い砂漠を渡ることなくシャムシール砂王国の砂都シェイタンまで行けるらしい(ただしそこも竜人たちの縄張りなので、人間が通り抜けることはほとんど不可能)。
また竜人以外にも砂漠狐や砂漠猫、コック鳥といった珍しい生物の宝庫であり、南端のシャールーズ河畔にはわずかながら乾燥性植物の群生も見られる。竜人たちが「エスィプス」と呼ぶ香辛料の実や様々な用途に使える樹液を出す樹木等々、その利用価値を知る人間にとっては垂涎の土地。このため欲に目が眩んで谷へ忍び込む者が稀にいるが、まあまず生きて帰ってくることはないという。
なお竜人たちの巣の中に古代ハノーク文明の遺跡が眠っていることは、今のところ誰も知らない。