大切なお知らせ (2017/12/1)



 突然ですが、ネット作家として活動されている甲姫様が各種サイトにて掲載中の作品に『きみの黒土に沃ぐ赤』という小説がございます。
 こちらと拙作『エマニュエル・サーガ―黄昏の国と救世軍―』(及び本作からの派生作品)の間にキャラクター、シチュエーション、台詞等の類似点が多数確認されたので心配になり、第三者の検証を交えて話し合いをさせていただきました。
 結果として甲姫様からは、両作の類似性はほとんどが偶然の産物であること、また拙作に「影響を受けた」部分もあるかもしれないが、いずれも「無意識」にしたことであるとのご回答をいただきました。
 念のため作者間で話し合い済の事項としてご報告しておきます。


(問い合わせた類似点まとめ)

1.ヒロインの設定や性格、言動。
(検証)
【ESヒロイン:カミラの設定】
・非常に珍しい赤い髪の持ち主。
・かなり過保護な兄がいる。
・武術の心得があり、勝ち気な性格。感情豊かで喜怒哀楽が激しい。
・かしこまったり照れたりすると何故か敬語になる。
・馬が好きで、作中でも馬に語りかけたり労るシーン(第72話(2017.6.7更新)第73話(2017.6.11更新)など)がある。

【黒赤ヒロイン:セリカの設定】
・非常に珍しい赤い髪の持ち主。
・かなり過保護な兄がいる。
・武術の心得があり、勝ち気な性格。感情豊かで喜怒哀楽が激しい。
・かしこまったり照れたりすると何故か敬語になる。
・馬が好きなのか、馬を優しく労るシーン(2017.8.25更新)がある。

2.ヒーローが身に付けている青い装飾品が「母親の形見」という設定。ヒーロー初登場時、容姿を下から上へ描写していくくだり。
(検証)
ESのイーク登場シーン】(第9話 2016.9.4更新)
 身長は、三十五葉(一七五センチ)程度といったところか。すらりと脚が長く、引き締まった脚衣の線が太腿あたりのしなやかな筋肉を見せつけている。
 上体には淡い青色の、前を合わせるタイプの衣服と左胸を守る革の胸当て。肩から背中にかけては更に濃い青の外套が下がっており、腰には剣を佩いている。
 (中略)
 相手が放つ気配だけではっきりとそれを感じ、やや緊張しながら視線を上げる。すると途端に視界へ飛び込んでくる、茶色がかった黒髪とそこから垂れる青い羽根飾り。……羽根飾り?

黒赤のエラン登場シーン】(第1話 2017.2.22更新)
 黒染めの革の長靴を、眼差しでなぞる。膝当てまで付いているとは珍しいデザインだ、ちょっとかっこいいな、なんてぼんやり思った。
 視線は更に上った。裾を長靴に仕舞い込んだ黒いズボン。それを覆うのは、白く縁取られた紺色――膝丈の薄い羽織り物のようだが、左右のどちらかを上に重ねるのではなく身体の中央に緩く引き合わせる、見慣れないタイプだ。
 羽織り物を留める細いベルトは靴と同じ黒い革。そのベルトから細長いものが提げられている。美しい彫刻の施された鞘に見えた。
 (中略)
 正面から見据えて、また驚くこととなる。
 なんと目線の高さが同じくらいだった。差は一インチ未満だろうか、首を曲げることなく対応できる。
 確か、ゼテミアンの女は大陸中の他の国よりも平均身長が高いと言われていた。


3.ヒーローとヒロインのイメージカラーがそれぞれ青と赤。

4.侍女(メイド)キャラの性格・言動。
(検証)
【ESメイドキャラ:マリステアの設定】
・第2主人公ジェロディのお世話係。
・主人に心酔しており、傍を離れたがらない
・主人のこととなると熱くなりやすく、目上の者にも強めの発言を辞さない

【黒赤メイドキャラ:バルバティアの設定】
・主人公セリカのお世話係。
・主人に心酔しており、傍を離れたがらない
・主人のこととなると熱くなりやすく、目上の者にも強めの発言を辞さない

5.成人の年齢が15歳。
※この件のみ、黒赤と同じ世界観の作品が甲姫様のES読了前に存在していたことから偶然の一致と判明済み。

6.妹キャラの「おおきくなったら(兄)のおよめさんになる!」という言動。実兄1人・血の繋がらない兄的存在1人・妹1人という関係性も類似している。ES黒赤

7.大衆浴場の話題から人目を避けて入浴し女性キャラの裸体を描写するという一連の流れ。当該シーンでの「抱いて眠ったら気持ち良さそう」というキャラの台詞。
(検証)
ES第77話(2017.6.25更新)
 と、ときに頭の上から声がして、カミラはふと視線をやった。するとすぐ横を長い脚がすらりと跨ぎ、湯船へ滑り込んでくる。
 カミラに続いてやってきたのは、同じく草色の髪をまとめたケリーだった。彼女は目の前で惜しげもなくうなじの後れ毛を晒しながら、ゆっくりと湯に体を沈めていく。
 (中略)
 ……女性にしては日に焼けてる方だと思ってたけど、脱ぐと意外に白いのね。
 まず初めにカミラが思ったのはそれだった。しかしその一方で、ケリーの体はいかにも歴戦の戦士らしく引き締まっている。
 きゅっと絞られた足首や腰のくびれ……まるで戦うために生まれてきたと言っても過言ではないような、洗練された体つき。
 それでいて女性らしさを失っていないのは、つまりなんというかその……アレだろう。うん。
 (中略)
「なんていうか……あれですよね。マリーさんて食べたらおいしそう」
「たっ、食べる……!?」
「あ、すみません訂正します。おいしそうというか、抱き心地が良さそうです」
「だっだっ抱き心地……!?」
「ああ、それ、何となく分かるね。抱き枕にしたら気持ち良さそうだ。あ、抱き枕と言えばこの間、遺跡で罠に落ちたときティノ様が……」

黒赤第8話(該当部2017.8.4〜8.17更新)
 あの柔らかい足が冷たい水の下に潜ったのか。旅をしていた間ずっと編んで結い上げられていた長い髪は、解かれたのだろうか。
 髪と言えば、滑らかな項や肩を思い浮かべた。女性らしく華奢だが頼りないほどでもない、名状しがたい曲線美を。触れてみたいと思ったのは一度や二度ではない。
 何と言っても、普段は隠れている肌部分を想像してしまうのである。
 (中略)
「とんだ思い違いだな。お前は誰にも物怖じしなくて、勇敢だ。聡明で情に厚い。更に挙げるなら……いつもいい匂いがするし、柔らかいし、抱いて眠ったら気持ち良さそう――」

8.ヒーローが突然目の前で服を脱ぎ出してヒロインが赤面し慌てる。そののちヒーローの服の丈をヒロインが背中側に回って調整してあげるというくだり(こちらは本作番外編『誰が為に花は咲く』(2017.8.6更新)のシーン)。
(検証)
【ES:誰が為に花は咲く 第6話より】
 ならば早速修繕後の着心地を確かめてみよう。そう思いその場で寝間着を脱ぎ捨てたら、隣でカミラが奇声を上げた。
 何だと思って目をやれば、彼女は椅子に座ったまま思い切り顔を逸している。髪も赤いので分かりにくいが、よくよく見れば耳まで真っ赤だ。……下まで脱いだわけでもあるまいし、何を過剰反応しているんだこいつは。
「おい。何だよ、急にカマトトぶって」
「かっ、カマトトぶるって言うか、イークこそもうちょっと考えたら!? わ、私だって来年から成人なんですけど……!?」
 (中略)
 激しく地団駄を踏むカミラを余所に、イークは薄青い上衣へ袖を通した。前開きのそれは身頃にいくつか留め具がついていて、いつものように一番上のものだけ除きすべてきちんと閉めてみる。
 そうすると生地が突っ張るかもしれないとカミラは言ったが、特に違和感や動きづらさは感じなかった。その旨を伝えれば彼女はぶつくさ言いながらも後ろへ回り、改めて縫い目を確かめている。

【黒赤:第8話(該当部2017.8.4〜8.17更新)より】
 それからゆっくりと岸へ歩を進める。水辺の縁に立つと、何ら疑問を抱かず脱衣し始めた。
「ちょっとォ!? 脱ぐなら脱ぐって一言断ってよ! あっち向いてるから!」
 必死な抗弁に、我に返る。この時点ではもう上半身が惜しげなく夜風に晒されている。
 (中略)
「タバンヌスが数年前に着ていたものでも大分布が余るな」
「結んであげようか」
 ちょうどセリカの手元に髪紐があった。自身の髪はまだ乾かしていたいので、結わないつもりだ。
 その紐は人の腰を一周できるくらいに長い。じゃあ頼む、と言ってエランは緩慢に両腕を持ち上げた。
 彼の背中側に立って、紐を緩く巻いた。それを境目に、腹や腰周りから裾を引き上げて折り返す。

9.ヒロインの台詞の一部がESと一致。
(検証)
【ES:第79話(2017.7.2更新)】
「あ、あの、えっと、ただいま、フィロ。勝手に人を連れ込んでごめんなさい。だけどこれにはナンディラの滝より深い理由があって……」

【黒赤:第9話(2017.8.29更新)】
「うっ、うるさいわね。これにはランディヴァ湖よりも深い理由があるの。それより何であんたがいるのよ、オクタヴィオが飛んでたからお兄さんが来たかと思ったじゃない」

※「ナンディラ」と「ランディヴァ」で固有名詞の母音まで完全に一致。

10.ヒロインが戦いで人を傷つけることに葛藤する一連の流れ。


(その他類似点)

・幼児キャラが感動したときの「ふわあ」という感嘆詞(こちらは拙作『子連れ竜人のエマニュエル探訪記』のルルの口癖)
(検証)
【子連れ竜人:第5話
 その黒鬣と共に、少女がまとう白い貫頭衣の裾がひらひらと揺れる。
 やがて無邪気にグニドを見上げたその瞳は美しい淡黄色。
 最近になってようやく竜人の子らと身長が並んだその少女こそ、十年前、グニドが砂漠で拾った仔人、ルルアムスだ。
『ふわあ、ドライフルーツ、たくさん……!』

※他にも「ふわあ!」という感嘆詞が複数回登場するものの多すぎるので割愛。

【黒赤:第4話
 リスをのせた掌が、幼児の顔に寄せられた。
 アダレムは一瞬の逡巡を見せたが、すぐに毛並への欲求に屈して手を伸ばした。おそるおそる、頭から撫でている。彼が「ふわあ! ほんとにもふもふです!」などと感心している間、セリカは小声で問う。

・ヒロインの台詞や思考の類似性。
(検証@)
【ES:第74話(2017.6.14更新)】
愛してるわ、神様!
 ニヤリと口角を上げ、一気に走る速度を上げた。そうしてまっすぐ正面の憲兵たちに突っ込む――と思わせておいて跳躍する。
 狙ったのは道端に積まれた木箱の山。カミラは軽やかにその山を登ると勢いをつけ、山頂から飛び降りた。そうして落下した先にはもちろん――憲兵。
 先頭を走っていた男の顔を、カミラは容赦なく踏みつけた。「ぐえっ」と足の下から声がして、けれどお構いなしに次へ飛ぶ。

【黒赤:第6話(2017.6.28更新)】
 これもまた気を紛らわせるいいきっかけとなった。「さむぼさ」の正体に想いを馳せている内に、手探りで地上への階段と出口を探り当てられたのである。
 セリカは空いた手の指先だけでかんぬきを外した。手先が器用な人間でよかった、ありがとう神々――と変な方向性の感謝をしながら。

※どちらも追っ手等の危機を脱するシーン。

(検証A)
【ES:第107話(2017.10.8更新)】
 彼はまだこんなに小さいのに、フィロメーナの死に責任を感じて震えている。自分が彼女を殺した、と思っている。
 そして恐らくこの先も、彼はフィロメーナの命と引き換えに生き残った自分を責め続けるのだろう。
 (中略)
「いいえ、あなたには分かるはず。フィロメーナさまはね、ジョンに生きてほしかったの。私たちがフィロメーナさまにもっともっと生きていてほしかったって思うのと同じくらい――ジョンにも、生きていてほしかったのよ

【黒赤:第10話(2017.10.18更新)】
「おそとはこわいところです?」
 あぐらをかき、先ほどの言葉を繰り返すも、今度は疑問符がくっついていた。
「世界は怖いけど、怖いだけじゃないわ。あなたにひどいことをしようって思う人がいるのと同じくらい、あなたを守りたい人がいるはずよ
 ――我ながら、安易な気休めだと思う。けれど子供に届くのはきっと、冷たい現実よりも心のこもったきれいごとの方だ。そう信じたかった。

※どちらも幼い子供を説得するシーン。

・パワータイプキャラの武器の描写が類似。
(検証)
【ES:第12話
 と、突然敵の姿が視界から消えた。いきなり横からすっ飛んできた大剣が、革の兜を被った相手の側頭部にめり込みそのまま吹き飛ばしたのだ。
 出鼻を挫かれたカミラは唖然として地に伏した敵の姿を見た。
 頭が潰れている。安い革兜は鋭い剣先くらいなら防げるが、鈍器にも似た鉄の塊で殴られたらひとたまりもないというのが、そこからはっきりと見て取れる。
 (中略)
 ウォルドはずいぶんと刀身の分厚い両刃剣で、バッタバッタと豪快に敵を殴り倒している。どうやらやたらと重量のある彼の剣は、肉を斬るというより叩き潰すことに特化しているようだ。

【黒赤:第9話
 先にイルッシオが両手で長剣を振るう。
 セリカは本能的に後退った。
 あれは刃物としては鈍い分類で、敵に叩き付けるようにして切るのが主流だ。軽装備のエランにまともに当たったら、骨折はまず免れない。


(以下疑問点)

・甲姫様は自作のファンアートをもらうと必ずこのようにブログや活動報告で報告するが、黒赤連載中に長谷川が贈ったエランのイラストだけは何故か紹介しなかった。絵の送り主として長谷川を紹介する過程で、ESの存在を読者に知られることを恐れた?(FA贈呈時の甲姫様の反応→@ A

・そもそも話し合いの段階で明確な根拠を提示して「盗用ではない」と否定されたのは成人年齢の項目のみ。あとは具体的な論証の明示はなかった(スクリーンショットあり)

・黒赤が完結したらあとがきにこの件を記載するということで合意したが、その際、あとがきにはESの作品ページへのリンクを貼ってもらう約束だった。しかし完結直後、あとがきにリンクはなし。長谷川による指摘を受け「忘れていた」ということで修正されたものの、リアルタイムで黒赤連載を追いかけていた読者がESに辿り着けないよう工作した?

こちらはESについての会話。2017年8月時点ではES3章(第71〜108話)連載中だったが「楽しく読んでいる」と発言している。しかし盗用疑惑について問い合わせたところ、返ってきた答えは「ESは正直44話から94話まで飛ばし飛ばし目を通していてその先は読んでないのですが、77話が更新された時期を思うと、影響を受けたのかもしれません。内容は今なろうを開けて確認しましたところ、読んだ気がするようなしないような… 思い出せないということは、無意識に影響されていても憶えていないということになります」(原文ママ)。楽しんで読んでいるのに飛ばし飛ばしで途中から読んでいないとは?? なお「読んだ記憶がない」と主張された77話の前後の回は甲姫様自身が読了ツイート流しており、ツイートの内容を見れば物語の前後関係をきちんと把握している(熟読している)ことが窺える。

・なおこの件に関し、「無意識に影響された可能性」を認めつつも甲姫様からの謝罪の言葉は一切なし。


 以上を踏まえ、この件についてどのような判断を下されるかは、読者の皆さまに一任いたします。

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