2017-4-13 12:54
よっしゃあついに追いついたー!! 本編第50〜55話までの用語解説です!
一時はどうなることかと思ったけれど、やっぱりスランプに陥って良かったかもしれないですね(笑)でないと執筆優先でブログ関係は後回しになってしまうので……。
今回は後半、古代ハノーク文明関係の用語がガンガン出ます。別に知らなくても支障はないけど、知ってるとこれから本編が楽しくなるかも?
なればいいな、と思いつつ、他にも放置している国家紹介とか年表とか色々書き進めたいです。ただしばらくは仕事がハードモードなので、死なない程度に頑張ります……。
あ、あと今更ですが、実はPC版画面だと右のカレンダーとかの下にGoogle検索ボックスが表示されるかと思います。こちらは当ブログ内を検索するボックスとなっておりますので、知りたい単語を入力すればそいつが載ってる記事へジャンプできるという寸法です。
ただ動作が不安定なときがあるみたいなので、検索結果が上手く表示されない場合は時間を置いて再度お試し下さい。たぶん一番使うの作者だけどね……(笑)
【第51話】
◆華酒
アマゾーヌ女帝国の名産品。リキュールに生花を沈めた酒で、見た目の美しさと香りを楽しむ。無色透明のリキュールが花弁の色によって淡く色づいている様は観賞するだけでも楽しい。ただし安くても一本十金貨(剣が買えちゃう)もする上、輸入しようとすると輸送費などが嵩んでとんでもない額になるため、一部の富裕層にのみ許された贅沢なお酒。
◆アマゾーヌ女帝国
北西大陸中部に位置する大国。暗黒期から存在する数少ない国の一つ。代々「華族」と呼ばれる王族の中から《
美神刻》に選ばれた者(女に限る)が華帝(女帝)となって国を治めている。建国は792年。現在の統治者は第四代華帝サンドリアーヌ・ベ・レーヌ。
700年近く続いているのに歴代華帝が4人しかいないのは言わずもがな華帝=神子のため。美の神ヤッフェは醜いものを嫌うことから、女帝国では男は醜く穢らわしい存在として忌み嫌われる(これは有名なヤッフェの神話による)。このため大抵の男は去勢させられ奴隷となり、美男子だけが華族の愛人または男娼として生きることを許される。なお華都ペラヒームは花で溢れた美しの都だが、入り口に審美館と呼ばれる入都審査局があり、「美」の基準値を満たしていないとここでバッサリ入都拒否。実際トビアスが一度拒否されて泣いてるので詳しくは『
宣教師トビアスの日記』を参照。
なお女帝国は華帝(神子)の力と強大な軍事力によって周辺諸国を庇護する代わりに毎年貢ぎ物を要求する朝貢関係を結んでいる。この関係にある地域を『華封諸国』と呼び、南のルエダ・デラ・ラソ列侯国も実は何度も「属国になれ」と催促を受けている。
【第53話】
◆監査官
トラモント黄皇国の中央から地方へ抜き打ちで派遣される監視役。その名のとおり地方政治を監査する官僚で、統帥や郷守がその対象となる。もっとも最近では監査官も郷守たちから賄賂をもらい、彼らの不正に目を瞑るという行為が蔓延しているためほとんど形骸化。というか逆に汚職の温床になっている。
◆泰平洋
北西大陸と北東大陸の間を縦断する海洋のこと。神話の時代、この海には
大海蛇と呼ばれる恐ろしい主(魔物)が棲んでおり、常に波が荒れていた。そのため船で航行することが非常に困難であったが、大海蛇が人を喰らっている間だけは波が鎮まり、安全に海を渡ることができた。
大海蛇は中でも若い娘(特に処女)を餌として好んだために、当時次々と乙女たちが生け贄として海へ投げ込まれることに。ところがある日、恋人がこの生け贄に選ばれてしまった青年は何とか彼女を救いたい一心で天に祈る。「自分の命と引き換えでもいい、だから彼女を助けて下さい」と。
血を吐くような青年の祈りに応えたのは平和の神シャローム。シャロームはツェデクやカドシュでさえ敵わなかったこの化け物を前に一計を案じた。兄神ホフマの知恵を借り、自らが生け贄の乙女に化けて大海蛇に喰われたのである。
果たして丸呑みにされたシャロームはしかし、大海蛇の腹の中で矢を射ちまくり、やがて絶命に至らしめた。このためこの海はのちに「泰平洋」と呼ばれるようになった。なお恋人を救うため己が身を捧げた青年は天使となり、天空から恋人を見守り続けたという。
【第54話】
◆シャローム
二十二大神が一。平和を司る神。神位第7位。争いを嫌う神として知られるが、同時に弓の名手でもあり、神弓コハブヤヴァルの使い手だった。争いを終息させるためならば自ら戦地に立つことも辞さない。多くの宗教画では平和の象徴である天樹花の花冠を被った姿で描かれる。略称は「泰神」。
◆トーラ
二十二大神が一。秩序と永遠の神。神位第5位。時の神マハルが紡いだ縦糸と運命神エシェルが紡いだ横糸で《母なるイマ》が織った『理』を世に布き、秩序を保つと言われている。また不変(永遠)を司る神でもあり、眷族である掟の神ツェファト、天秤の神シェワ、悟りの神ビーナーの三柱神に「変わらずの法(神々の教え)」「揺るがぬ均衡(世界のバランス)」「不動の真理(理)」を守らせている。略称は「永神」。
◆
神々の目覚め
神界戦争の終結を意味する《
神々の眠り》の対義語。深き眠りの最中にある神々が目覚めたとき、新しい時代が幕を開ける――という太古の予言をこう呼ぶ。この《神々の目覚め》がいつ訪れるのか?という議論はエマニュエル史を通してされ尽くしてきたが、未だ判然としない。
中でも有力視されているのは「神々の御魂である22の大神刻がすべて地上に出揃ったとき」説と「人々が争いをやめ、地上から血の穢れが拭い去られたとき」説の2つ。エレツエル神領国は前者の神霊全集説を信じてガンガン行こうぜ!という敬虔なんだか短慮なんだかよく分からん国。
なお《神々の目覚め》が実現し新しい時代が訪れると、世界は神に選ばれた者だけが辿り着ける《
楽園》になると言われている。これは神々が眠りに就く前に自ら予言したことらしいので固く信じられているが、その一方で選ばれなかった人間がどうなるのかは言及されていない。お前、消えるのか……?
ちなみに《楽園》に辿り着ける人間の条件は@敬虔であることA正直・誠実であることB善行を積んでいることの3つ。重い罪を犯している人(殺人とか)はアウトっぽい。ただしきちんと償ってナーサー様のお許しを得られたら旅立てるかも?
◆ヤレアフ
魔界の二十二邪神が一。夜を支配する神。魔界の神位第19位。太陽神シェメッシュの宿敵で、シェメッシュが疲れたり弱ったり出掛けたりしている隙を狙っては世界を夜で包んでしまう。そのため神話の時代にはよくシェメッシュと取っ組み合いの喧嘩(殺し合い)をしており、未だ決着はついていない。というか眠りに就いてなおシェメッシュは夢の中でヤレアフと戦っており、この二神の力が拮抗していることから現在のエマニュエルでは昼と夜が交互に訪れている(神話の時代は昼や夜が何日も続くことがあったらしい?)。
なお月の神は別にいて名をホデシュと言い、かの神は元々ヤレアフの力を固めた黒い鏡であったという。ヤレアフはそれをシェメッシュの玉座と対極の位置に置き、夜が来ればシェメッシュの光を反射するようにした。ホデシュはシェメッシュの光を魔の力に替えて地上へ注ぐ変換器なのである。この変換器のパワーがMAXになる満月の夜は魔物たちの活動が活発になり、逆に地上を守護する星の光が薄れるので要注意。
◆
神璽/邪印
神璽とは天界の二十二大神がそれぞれに持つ紋章のこと、邪印とは魔界の二十二邪神がそれぞれに持つ紋章のこと。邪神のそれは大抵神璽をもじって侮辱したもので、たとえば作中に登場した夜魔神ヤレアフの邪印《
墜角の雄牛》は太陽神シェメッシュの神璽《
太陽を戴く雄牛》をモチーフにしている。シェメッシュの神璽が額に太陽のマークがついた雄々しい雄牛なのに対し、ヤレアフの邪印は角が下を向いた禍々しい雄牛の骸骨。額には三日月形のヒビが入っていて、何もかもが《太陽を戴く雄牛》と正反対。
【第55話】
◆神理学
神刻がもたらす神の力を利用した科学のこと。古代ハノーク時代、最も盛んに研究が行われ、
火刻の力で燃料がなくても明かりがともる
常灯燭やら、
水刻の力で中に入れたものを常時ヒエヒエに保てる
氷結匣、
風刻の力で無風でも回り続ける
永久風車等々、便利な道具がたくさん作られた。しかしやがてその力は軍事利用されることとなり、
神術砲等の大量破壊兵器が登場。ハノーク人は数々の神術兵器を開発・運用し、破竹の勢いで領土を拡大した。
ところがハノーク大帝国の滅亡と200年以上にも渡る《大穿界》の混乱で当時の技術の大半が消失。長年に渡る調査研究の末、エレツエル神領国がその一部を復元したが、未だ多くが謎に包まれている。
なお亜人の一種である
角人族がこの神理学の知識を伝承しているというが、彼らは基本的に人間を見ると逃げる&言語を持たず意志疎通が困難なため、詳しいことはよく分かっていない。
◆竜騎士も己の舌は御しきれぬ
竜の谷発祥の諺。巨大な竜を意のままに操る竜騎士でさえ自分の口は操りきれず、つい失言をしたり秘密を漏らしたりしますよーという意味。現在では広くエマニュエル中で使われる。「人の口に戸は立てられぬ」と同義。
◆ライモンド海賊団
トラモント黄皇国南海にあるピエタ島を根城とする海賊団。大小19隻の外洋船からなる艦隊で、熟練のトラモント海軍をも寄せつけない無法者の集まりである。
海賊旗は黄皇国に敵対することを意味する《墜角の雄牛》。構成員は1000人近くに上り、これを団長のカルロッタが率いている。なお彼らは代々海賊を生業とする者たちの集まりで、実に500年以上前からピエタ島近海を縄張りとしている。「ライモンド」は初代団長の名前。先代団長はカルロッタの義理の父親イスラー。
ちなみにピエタ諸島はその半分以上が岩場のため、あちこちに天然の洞窟がある。ライモンド海賊団はその洞窟を船隠しとして利用しており、作中ジェロディたちが戦ったのは艦隊の半分。
◆魔砲
作中、カルロッタが神術砲を指して言った言葉。実はこれ、神術砲とは似て非なるもので、現在では主にアビエス連合国で製造されている兵器。神刻の力を使わずに神術まがいの力を使える禁断の兵器で、人はその背徳的な力を非難の意味で「魔砲」と呼ぶ。つまり「魔の力によって動く大砲」の意。
まあそんなことはジェロディたちの知ったことではないのだが、邪神の信奉者であるカルロッタにとってその差は非常に大切……らしい。なおカルロッタの船に積載されている魔砲にはハノーク大帝国製のものと連合国製のものがある。前者はライモンド海賊団がクアルト遺跡を盗掘して入手したもの。
◆クストーデ・デル・ヴォロ号
ライモンド海賊団の団長が代々受け継いできた旗艦。船首に雄牛の頭蓋骨を掲げ、船体を黒と赤で塗り分けた趣味がいいのか悪いのかよく分からない船。艦隊の中で唯一魔砲を積載しており、旗艦であると同時にいざというときの切り札的存在でもある。
なお、実はこのクストーデ・デル・ヴォロ号も古代人の遺産。『クストーデ・デル・ヴォロ号』という名は船に元々記されていた古代ハノーク語をそのまま使ったもので、その正体は
順風船と呼ばれる古代船。これは風刻の力(もしくは魔の力)を利用した船で、帆を開けば無風でも思いのままに海上を走ることができる。そのため船足が速く小回りも効くというチート船。