2016-12-27 01:57
ずっと作ろう作ろうと思いながらもめんどいめんどいと思ってサボッてたハノーク文字をようやく完成させたので、今回はエマニュエルの文字文化の話。
さて、『
子連れ竜人のエマニュエル探訪記』の中でチラッと触れていますが、エマニュエルには全部で22文字のアルファベットがあります。「22」という数字からお察しの通り、これらのアルファベットは天界の二十二大神――その神璽を元に作られました。上がその22文字とついでに数字、それからエマニュエルでの度量衡を表す記号です。
しかし文字と記号の見分けがつかない件(^q^)
現在エマニュエルで使われている上の文字は、古代ハノーク人たちが使っていた古代ハノーク文字にルーツがあります。古代人たちが用いていた古代文字は、始世期前期、中期、後期〜末期で少しずつ変化を遂げていますが、元は表意文字でした。
つまり文字1つ1つが漢字のように意味を持ち、音として発音できないものだったのです。メールやSNSでよく使われる絵文字やスタンプみたいなもの、と考えていただければ分かりやすいでしょうか。
たとえば笑顔の絵文字なら「嬉しい」とか「楽しい」とか、そういうイメージを連想しますよね。
古代ハノーク人はそうした絵文字をずらずら並べることで文章を綴っていました。しかし絵文字だけで文章を書こうと思ったら、相当な種類の文字が必要です。
現代ハノーク文字は上のとおり数字・記号を入れてもたったの50字足らずですが、当時は5000種類くらいの文字がありました。おかげで文字の読み書きができたのは、きちんとした教育を受けることのできた富裕層や特権階級の人間だけ。ハノーク大帝国時代、エマニュエルの民の9割は非識字でした。
けれども時代を経るうちに、識字層は「こんな大量の文字使って文章書くとか苦行かよ……もっと楽に読み書きしたい」と思うようになり、また非識字層も「特権階級の連中は地位や金だけでなく文字まで独占している。ずるい」と不平等感を抱くようになります。
そこで間に立つ聖職者たち(当時は神殿の神官たち)が「だったらもっと楽に読み書きできて、なおかつ教育環境がない人々でも修得しやすい文字を作ろう」と立ち上がり、少しずつ文字の形が変わっていったのです。
そんなこんなしてるうちにハノーク大帝国は《大穿界》により滅亡してしまいますが、その後も生き残った聖職者たちの間で文字の改良が進んでいきました。
彼らはやがて「自分たちが話している言語と文字を紐付けすりゃいいじゃん!!」と気づき、大量にあった表意文字を表音文字へ変換していくことにしました。
その過程で表音に頼れば5000字もの膨大な文字は要らないということになり、最終的に上の42文字に集約されたというわけです。
しかし上の対応表を見ていただくと分かるように、ハノーク文字には母音がありません。子音しかないという点ではヘブライ文字に似てますね。
それじゃあこれらの文字でどうやって表音するのかというと、母音がつく場合は子音の上に記号で表記します。フランス語なんかにある「´」とか「¨」みたいなやつです。
ハノーク文字における母音記号は、「a」が「○」、「i」が「−」、「u」が「・」、「e」が「v」、「o」が「^」となってます。発音する際の口の形を記号で表現しているわけです。
これを使って『
黄昏の国と救世軍』に出てくる3人の名前を書くとこうなります。
【カミラ(Camilla)】
【イーク(Eke)】
【フィロメーナ(Filomena)】
自分でも書いてみてびっくりしました。フィロメーナとか、ハノーク文字だとたった4文字なんだ……(笑)
しかしお気づきになった方もいるかもしれませんが、例として取り上げたイークの名前。
これ、アルファベットで書くとハノーク文字には存在しないはずの「E」が頭文字になってますよね。
このように母音が頭文字となっている際に使われるのが↑の対応表で「※」となっている22番目の文字です。この文字は自由文字と呼ばれ、頭に母音記号をつけることでa,i,u,e,oの発音を補えます。
ちなみに二十二大神の末っ子、神位第22位にいるのは自由の神ホフェスです。だから「自由文字」(笑)
なお数字の表記の仕方はアラビア数字と同じです。「二十二」であれば「22」といった感じで表記します。
すごーく分かりにくいのですが、この0〜9までの数字はエマニュエルの創世の神話を文字にしたものです。
・0……初めは「無」があった。
・1……そこに神鳥ネスが現れて種を撒いた。
・2……種はやがて芽を出し、
・3……そして青い葉を茂らす天樹エッツァードとなった。
・4……ネスはその樹の上に巣を築き卵を産んだが、
どこからともなく飛んできた流れ矢に当たり割ってしまう。
・5……そのときネスが流した血から《白きもの》と《黒きもの》が生まれ、
・6……ネスが流した涙から《母なるイマ》が生まれた。
・7……《白きもの》と《黒きもの》は《母なるイマ》と交わり、
それぞれ11人の子を生した。
・8……ところがそれをきっかけに《白きもの》と《黒きもの》は
《母なるイマ》を奪い合い、戦争が始まった。
・9……2神の争いはやがて天界戦争へと発展し、
長きに渡る戦いの末、力を使い果たした神々は眠りに就いた。
といった感じです。
ちなみに「6」はイマの母たる象徴である女性の子宮≠意味しています。
この形が馬の蹄鉄に似ていることから、エマニュエルの聖職者たちはキリスト教でいうところの十字架の代わりに蹄鉄のアミュレットやロザリオを所持している――という話は『
宣教師トビアスの日記』で触れました。たぶん(うろ覚え)
加えて「6」という数字は神界戦争終結後、地上に降り注いだ《嘆きの雨》(浴びたものをすべて灰に変えてしまうという滅びの雨)がイマの慈悲により6日後に晴らされた――という神話もあって、エマニュエルでは大変縁起の良い数字です。
逆に縁起が悪いのは挫折や喪失を意味する「4」と、争い・死を連想させる「8」。「4」が縁起悪いっていうのは日本と同じですね。狙ったわけではないのに不思議ですw
記号に関しては……もう説明不要かな。まんま葉、枝、幹、卵、果実です(笑)
最後の「圃」だけ分かりにくいですが、これは畑に実る作物を表しています。穂麦とかそんな感じの。
またエマニュエルにおける共通貨幣「赤銅貨」「青銅貨」「銀貨」「金貨」は、それぞれ「ペラフ(花)」「ペニナ(宝石)」「ノツァ(羽根)」「シール(歌)」と呼ばれていることから、記号はそれを表してます。最後の金貨だけ一見意味不明ですが……アレです、「0」の部分は肉体を、「V」の部分はそこに収まる「心(ハート)」を表しているのです。ということにして下さい(震え声)
ハノークアルファベットについては大神刻のデザインがきちんとできてればご紹介できるんですが、これについては全然できてない……。
「D」は豊神アサーの《蝶斧》(刃の部分が蝶の翅になった豊穣の印)が元だったり、「X」は太陽神シェメッシュの《太陽を戴く牡牛》が元だったりで分かりやすいのですが。
唯一デザインが固まっているものだけ紹介すると、
【義神刻《蛇巻きの剣》】
これが変化して「N」に。
【永神刻《尾を噛む蛇》】
これが変化して「G」に。
【命神刻《星樹》】
これが変化して「Q」になってます。
この辺も分かりやすいですね(笑)
あ、ちなみにハノークアルファベットの順番は二十二大神の神位に同じです。それぞれの神名と神璽については
こちらで軽く解説してます。
なおこのハノークアルファベットと数字・記号は
こちらからPC用のフォントとして無料でダウンロードいただけます。DLキーワードは「es78」です。
絶対誰も使わないと思うけど、せっかく作ったのでww
そんなこんなで、今回も与太話失礼しました。
次の更新ではエマニュエルの国家群について触れたいです(ただし予定は未定)。
世界観が濃厚で、なんかグインサーガや指輪物語なんかを彷彿とさせます。
フォントまで作ってしまわれるなんて……すごすぎます。
エマニュエル、陰ながら応援してますので、執筆頑張ってくださいね。
久々にお名前見られて嬉しいです。だけでなく、コメントまでありがとうございます!
フォントはですね、本当は1文字1文字画像化したのでそれでやりくりする予定だったんですが、いちいち画像を切り貼りするのがめんどくさくてムガーッ!!となり、「だったらフォント化してPCにインストールすればいいじゃん!」てことで作成しました(笑)
そこに辿り着くまで色々苦労しただけに、裏設定まで楽しんでいただけて光栄です。
温かいお言葉ありがとうございます。そして今年も1年お世話になりました!
年の瀬でいつにも増してお忙しいかと思われますが、体調など崩しておられませんでしょうか??
どうぞつつがなく良い年をお迎え下さいませ。来年もよろしくお願いします!