遊戯がお花畑に着くと、その狼は丸くなりながら寝ていました。
胎内の中の赤ん坊のように縮こまっているその姿を見て何故だか微笑みが浮かんできます。
狼を起こさないようにそっと頭を撫でていると遊戯の目にあるものが映りました。
「…お花の冠?」
それは白と桃色の花で作られた花環でした。
所々結び目が緩くなっているところもありますが、狼はそれを握り締めてしまわないよう大切そうに抱いて寝ています。
遊戯は、カワイイところもあるんだな…と思わず笑ってしまいました。
それから何故か狼の花環が遊戯の笑いのツボに嵌まってしまい、狼を起こさないように笑うのは大変でしたがひとしきり笑ったところで遊戯はその狼の肩と腰に手を置き前後に揺すってみました。
「ねえ、キミ、起きて」
二、三回揺すると眠りが浅かったのか狼は直ぐに目を覚ましました。
けれど狼は遊戯の姿を見た途端、薄く目尻を滲ませて遊戯に抱きつきました。
狼の突然な行動にびっくりした遊戯は「どうしたの?」と聞きました。
「…なんでもねぇえよ」
とだけ狼は答えて遊戯をぎゅっと力強く抱きしめます。
遊戯は柔らかく微笑み、狼の背中にそっと腕を回しました。
「ボクね、まだ君の名前聞いてなかったんだ。それでね、君の名前を教えてくれる?」
狼は遊戯の肩に顔を載せて暫く間を置いた後ボソリと呟きました。
耳を凝らさないと聞こえないような音量で。
「そう、君の名前はマリクっていうんだ。ね、マリクくんて呼んでもいい?」
「くん付けしなくてもいいぜえ…」
「うん、じゃあ、マリクだね」
遊戯に名前を呼ばれたときから、マリクの尻尾は大きくはためいています。
パタパタとせわしなく動くマリクの尻尾を見て、遊戯の心に何か暖かいものが流れ込んでくるのでした。
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取り敢えず此処まで…闇マリク難しいよこのやろ……!←
つぎの話はパス掛けます^^^
あやしいお話に突入なんだぜ!←