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管理人の日常や作品世界など。
──パタン。小気味良い音を立てて阿実の日記を閉じる。
それと同時に我に返ったらしい三人は、何処か現実味の湧かない様子で顔を見合わせた。
「もう終わりなのか?」
まだ肝心なことが語られていないじゃないか。
そう目で訴えてくる彼らに向けて先ほど閉じた日記を開き、延々と続く空白のページを見せつけた。
この空白が埋まることは、もうないのだ。
「阿実サンの意向や俺の諸事情で省いた部分もありますが、これで終わりですね」
嗚呼、苛々する。
物語の朗読でも聞くように話に聞き入っていた彼らの惚けた様子が腹立たしい。
皮肉の一つでも言ってやろうと開いた口から出てきた声は、自然と普段よりも数段低くなっていた。
「分かっているとは思いますけど、これは物語ではありませんよ」
最も、この部屋へ来るまでにさんざん死体は目にしたでしょう。
それでもあれを贋作だと思える楽観主義者が居るなら見てみたいものですね。
最後にそう付け加えた。
そう。あくまで見るだけで、関わり合いたくはない。
幾ら自分から言い出したこととは言え、こうして彼らと関わりを持つ自体かなりの異例なのだ。
そしてその異例も終わりだ。
若干不本意ではあるが、あとは彼ら自身に任せなければ。
恐らく彼女もそれを望むだろう。
「‥で、結局この屋敷で何が起こったこととか真実っつーのは何なんだ?」
「──さあ」
不満や消化不良があからさまに顔に出す彼らが、先ほどとは打って変わって可笑しく思えてきた。
一時は、彼女の抱えていたものの大半を明かして彼らを彼女の世界へ引きずり込もうと考えた。
けれども彼らはそれを知るべきじゃない。
そもそも俺に彼女が守ろうとした存在を壊す権利はないのだ。
「さっきは答え合わせがどうとか言ってたじゃないですか」
「気が変わりました」
「は?」
「あとは三人で好きに過ごしてくれて構いませんよ」
それよりも彼らは、ただゆっくりと彼女と最後の別れを惜しめば良い。
彼女の過ごした彼らの知らない時間が詰まったこの部屋なら、少しは自分たちがどれだけ彼女に思われていたか伝わるだろう。
止まる時間と刻む時間と
(彼女の時間は止まっても、彼らの時間はまだまだ刻まれていく)
(ならばせめてその彼らの時間の中で少しでも長く彼女の記憶が消えずに在ることを願う)
(彼らへの干渉も、こんな感傷も、自分の柄ではないのだが)
性 別 | 女性 |
年 齢 | 29 |
誕生日 | 10月30日 |
地 域 | 栃木県 |
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病み・黒歴史は私の誕生日4桁
王国心夢は異端の印を4回連続
夢主の名前は基本的にアミで固定です
ごめんなさい