031.繋いだ手【学園的な100題】



なんの根拠もなく信じていた。

愚かしいほど一心に、
痛ましいほど真剣に。

どうしてなのか、わからない。
けど、確かに信じていた。

ずっと手を繋いで、あらゆる困難を乗り越えていけると。

それはとても幸せな夢だった。




何もかもが希望に満ち、
順調に進む気がしてた。

でも、気付いてしまった。

その理想の稚拙さに。

現実は希望を奪い、
全ては移り変わりゆくことに。





ねぇ、それでも
繋いだこの手を、離さないで。





そしたらきっと、
どんな困難も耐えていけるから。

希望がなくとも、
一緒に創っていけるから。





あの頃から、私たちは大きく変わってしまった。

人は皆、誰しもが孤独だと知ったとき、この手はいつだって君と繋がっていると知り得たから。





ねぇ、だから
繋いだこの手を、離さないで。
繋いだその手を、離さないから。




ふたり一緒に歩いて行こう。
目の前に転がる、幸せを分かち合おうよ。





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