冬休みも明け、とんでもない節分を終えて…
中間考査を、近々に控えた某日。
林部のiPhoneの画面が光り、着信音が鳴る。
林部は、着信音から…相手が彼女、古市 琴巴。である事に気づいて、iPhoneに手を伸ばす。
件名 林部
あぁ。久し振り、古市。
俺の空いてる日だがーー…
画面に表示された彼女からのメール内容に、視線を落として黙読すれば…指先を動かして、返信内容を打ち込んだ。
が、打ち込んだは良いが…送信ボタンを押そうとした所で、林部の指先は躊躇した。
彼女、古市 琴巴ーーー…との、確実に重なる日のみを…再度入力し直す。
件名 林部
あぁ。
俺の空いてる日は、ーーー…
彼女との、確実に重なる日を入力し終えると…林部は、再度送信ボタンを押した。
画面に、先程の文が送られたのを見終えると…林部は、iPhoneを置いて…突っ伏した。
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後日、林部は確認のため…自身のiPhoneの画面を開いた。
前日、確実に重なる日を入力し…送信してから、数回のやり取りをし……
再び、打ち合わせをする運びとなったのだ。
やり取りが記録された画面に、視線を落として…林部は、更に履歴を遡る。
そこに表示されていたのは、再従兄弟である佐々木が送信した内容と…其れに対する、彼女からの返信。
『……ないよな、…流石に…。』
同級生らや、周囲に漂う…バレンタインデーへの変化を感じ、流石の林部も……感化され始めた。
林部は、自身のiPhoneを伏せるカタチで机の中に片付けると…黒板に書いてある授業内容を、ノートへ書き写す作業へ戻った。
所詮、林部もーーー…思春期の男、である。