ぶわー。
またお久しぶりです。
日記すら書いてない。
サクラちゃんの誕生日も見事にスルー。
日記の合間に妄想の産物である小話を載せるスタンスでやってるつもりがもはや何もしていないという怠慢さに泣いた。
さて、追記からサクラちゃん誕生日とか一切関係ないけどカカサクです。
カカリンの過去捏造もありますご注意を。
「先生はいつも、懺悔してるよね。親友だったり、四代目だったり」
白い花束をそっと置いて、サクラは手を合わせながら呟いた。
親友の名の刻まれた慰霊碑。一緒に訪れるのは初めてだった。
「でも、一人だけ。先生は懺悔じゃなく感謝してる人がいるわよね」
「・・・よく知ってるね」
「顔を見れば分かるもの」
ほんとんど隠れてるのに?と茶化してもサクラは動じることなく顔をあげ、翡翠色の意思の強い瞳が誤魔化すなと訴えかける。
ああ、困ったなと天を仰ぐととても綺麗な青空だった。
「・・・いー天気、だな」
「・・・先生?」
「ん?いや、なんていうか・・な」
眉間に皺を寄せて乗り出してくるサクラを制し、空を見上げたまま右眼をニ、三度瞬いてみれば容易く浮かぶのは彼女の笑顔。
最期に見た顔。
「あいつが死んだの、こんな晴れた日でね」
そう。本当にこんな綺麗な青空が広がる日。
十五年前の今日。
彼女は、死んだ。
『ごめんね・・・カカシ』
オビトが死んだときも、先生が死んだときも、彼女は俺のそばにいて俺の手を握って俺の左眼を真っ直ぐに見つめて「私がいるよ」と笑ってくれた。本当は泣きたかっただろうに笑ってくれた。
死に際まで笑うことないのに。謝ることなんて何もないのに。
彼女は小さく口元に笑みを乗せて、俺の手を握って俺の左眼を真っ直ぐに見つめてまた謝った。
『俺のほうこそ、ごめん』
血だらけの手で縋ると、彼女は無言のまま首を振った。
でも俺は謝らずにいられなかった。
無力でごめん。守れなくてごめん。
君の想いに、応えてあげられなくて・・・それでも君を放せなくて、ごめん。
せき切ってあふれ出した懺悔の言葉は、彼女をどれほどにまた追い詰め、困らせただろう。そんなことにも気付けないほど俺は子供で、無知で、そして必死だった。失いたくないのだ、と伝わって欲しくて。それが都合のいい想いだと己で分かっていたはずなのに、どうしても言わずにいられなかった。赦して欲しいわけじゃない。ただ、知っていてほしかった。
『俺は、俺は・・・』
『カカシ』
『・・・・・リン?』
『私が、カカシのそばにいたかっただけだから・・それだけだから』
言葉一つ、紡ぐのでさえもう激痛に違いないけれど、彼女は笑みを乗せたまま囁いた。
『もう、謝るのはナシね。カカシのごめんは聞き飽きちゃった』
そう言って、目を閉じた彼女はそのまま息を引き取った。綺麗な顔だった。俺が触ったせいで付いてしまった赤い血の跡は服の裾でぬぐっておいた。人を、俺を、救ってくれた医療忍者。やっぱり彼女には血は似合わないとぼんやり思った。
事切れた彼女を腕に抱き上げて、オビトが死んだ夜に彼女がしたように、今度は俺が空を仰いだ。
あの夜と違って、真昼の空は馬鹿みたいに爽やかで澄んでいた。
(・・・リンみたいだ・・)
空を仰いだまま、頬にすぅっと雫が伝うのを感じたが、視線を下げることは出来なかった。もっと溢れ出しそうで怖かった。
彼女もきっと、あの時こんな気分だったのだろう。
愛してくれて、ありがとう。
赦してくれてありがとう。
そばにいてくれて、ありがとう。
俺にとって、君は、確かに特別な人だったんだ。
話し終えて暫くしても、隣に立つサクラからは何の反応も無かった。
顔を覗き込み無理矢理に視線を合わせようと試みるが、それすらも逃れようとするかのようにユラユラとその翡翠色に輝く瞳を泳がせた。
「何で逃げちゃうの」
「・・・ごめんなさい、すべて打ち明けてくれるとは思わなくて」
少し、驚いたのだ。とサクラは曖昧に笑った。
「そう。でも、サクラは聞きたかったんじゃない?」
「ん、そうだけど・・・先生は嫌だったんじゃないかなって」
「俺は本当に嫌だったら喋らないよ」
「そうよね。ありがとう」
そう呟いたサクラの表情は思ったよりも固く、視線はすぐに地に落ちた。
墓石をじっと見つめ、綺麗な瞳はいつもよりくすんで見えた気がした。
「って、言いながらその表情はなんなのかな?サクラさん」
「うん、なんか、勝てないなって思った」
どこの誰と、いったいなんの勝敗を競ったというのだろう。
呆ける俺にサクラは小さく息を吐いて、そして墓石に刻まれた彼女の名前を指でそっと辿る。
「本当に、カカシ先生のこと、大事で、大好きで、そして想っていたんだね。先生のすべてを赦せるほどに寛大で。こんな素敵な人に、私は多分一生勝てない」
息が詰まった。切なさで、喉の奥が唸る。
そして同時に溢れ出したのは、サクラへのどうしようもない愛しさ。
「サクラは、俺の中でリンより劣ってる、って思う?」
「・・・思いたくないけど」
「じゃ、思わないでいい」
「・・・・・」
「俺はね、正しい愛し方とかそんなの知らないけど、サクラのことは本当に大切だと思ってる。リンのことも・・・大切だった。リンはもういないけど、サクラは今俺のそばにいて俺と一緒にいてくれる。その時間がどれだけ続くか分からないけど、俺はその時間を何よりも大事にしたいと思ってるし、出来れば長く続いて欲しいと願ってる」
リンの想いと俺の想いが交差することは無かったけれど、そこには確かに愛があった。
俺はリンがくれた愛を忘れない。
忘れることはできない。忘れてはいけない。
けれど、今、ひとつだけ言えること。
「俺はサクラを愛してる。今、生きてるサクラと共に生きたい。それだけだよ」
【過去】と比べる必要なんてない。
だって、俺は【今】を、サクラと共に生きているのだから。
―――――
私はどうもカカサクにリンをからませるのが好きなようです(笑)
このカカシ先生とリンちゃんの間にはなにがあったのだろうか。
(↑おい)
リンはカカシを男として慕っているがカカシはリンをそんな風には見てなくて・・・それでもそばにいてほしくって愛のな(ry
というなんともアダルティーな話なのかも(かも?)しれません。
いや、そんな馬鹿な。
先生は過去を胸に刻みつけて生きているよ。