カカサクエアオンリー幸せすぎてどうしましょう。
企画参加する勇気はないチキン野郎なので、ここでひっそりとお祝いさせてもらうことにします(笑)
カカサクエアオンリー便乗小話。
結婚してるカカサク。
好きなタイプは、無口でクールで、ミステリアスで、真面目だけどちょっとシャイな人。
けれど、今サクラの傍で笑う男は、理想とはまるでかけ離れた人だった。
「サクラー!無事か?まだ生まれたりしてないだろうな!」
帰還報告は聞いていたが、こんなに早く帰ってくるとは。サクラが驚いて玄関まで駆けて出ると、傷やら埃やらもそのままのカカシが、蒼白な顔で立っていた。
「先生!もしかして火影様に報告もしないで帰ったの?」
「サクラ!生まれてないだろうな!」
まったくかみ合わない会話に、サクラがうんざりしながらため息をつくと、カカシはサッと青ざめて片方の目を思い切り見開いた。
「まさかもう生まれたのか!?」
「先生にはこのお腹が見えないの!?」
ドン、と大きく膨れたお腹を指差して眉を吊り上げたサクラとそのお腹を交互に確認して、カカシはやっと冷静さを取り戻す。
「ああ・・・・まだか」
「んもう!お願いだからもっと落ち着いてよ。それじゃコピー忍者の名が泣くわよ」
「そんなこと言われても・・・俺の子供が生まれるんだぞ?父親として立ち会うのは当然でしょ」
そのために急いで任務を片付けてきたんだ、と力説するカカシにサクラはがっくりと脱力する。
子供ができたと知ってからのカカシは、舞い上がり方が結婚した時の数倍パワーアップしてしまった。その反動か、当事者であるサクラのほうが逆にリラックスしており、万全の態勢で出産に望めそうなのではあるが・・・。
「陣痛きてないか?予定日まで一週間だぞ。綱手様に付いててもらったほうが・・・」
「ハイハイ。馬鹿言ってないで!怪我がないならさっさとシャワーでも浴びてきてよ」
押し留まろうとするカカシの背を叩くように押し出し、風呂場に引っ込んだカカシを確認し、サクラは呆れたようにもう一度大きなため息をついた。
「あ!サクラ、いいよ。俺がやるから、座ってなさい」
風呂から上がったカカシは、髪から滴る雫もそのままにサクラへ駆け寄ると彼女が手に持っていた大皿を素早く奪い取った。頬に散る水滴に気づき、サクラの眉間に皺が寄る。
「先生、髪の毛濡れてる!風邪引くわよ」
「そんなヤワじゃないよ。それよりサクラこそ安静にしてなきゃだめでしょう」
「大げさだってば!」
「いいから。あと盛るだけなんでしょ、俺がやるよ、ほら」
にっこり笑って手際よく料理を並べるカカシにサクラは唇を尖らせるが、促されるままテーブルの前に腰掛けた。任務から帰還しお腹をすかしているであろうカカシのための料理だったのに、その本人に仕事を奪われてしまうなんて妻としては複雑だ。
しかし、忙しなく台所を行き来するカカシの背中を眺めているうちにサクラの口元は緩やかに弧を描いていた。
こうして彼の背中を見るのは、任務の時だけだと思っていたのに。
部下であった自分達を命がけで守ろうとする大きな背中。
カカシの逞しい背を見るたび、自分の心は安心感に包まれていた。
それは、理想だった人を追い駆けていた時も同じだった。
――ああ、そうか。それで、なのか。
「せんせー?」
「んー?」
台所に立つ彼の背中に呼びかける。
背を向けたまま呼びかけに答えたカカシに、思わず笑みが零れた。
「先生の背中って、いいわね」
「はあ?背中?」
「うん、だから私、先生のこと好きになっちゃったんだわ」
その背中をずっと見ていたい。
そして、その背中を支えたい。
そう。理想とは違うのに。これは口に出さず心の中で呟いて笑う。
「背中だけ?俺はサクラの全部が好きなんだけどなーあ」
臆面もなく言い放ったカカシに、サクラは顔中を綻ばせて笑った。
――――――
今までプロポーズ話は幾度か書いたけどよく考えたら結婚してるカカサクって書いたことなかったようで。
サクラちゃんはたけサクラちゃん!
カカシがすごく残念な感じなのが、残念です(笑)
素敵な作品をありがとうございます!