いつも高杉晋作が亡くなるお話になると何故だか途端に筆が止まります、はとりですこんばんは。


これも不思議ですねえ。
宗摩伝のときも、高杉の死ぬ話でだいぶ停滞しました。今も、なっかなか進まないんですよねえ。

なんだか、なんとなく高杉晋作という男のスケールのでかさにやられちゃってる節があるような気がします。

彼が死ぬところなど、到底書き上げられないというか__だから納得いかなくて書き直したり、とか。


ま、今回はこの間迎えましたお彼岸のときのお話。



今までお彼岸はずっと九月の二十三日にやっていましたよね。今は連休にするためにいろいろ変わっちゃってますが…

二十四日、ほとんどのご先祖様があの世へ帰られている途中だったと思います。


うちの父の実家は、妙に古臭くて未だに家長制度とか重んじてました(祖父が亡くなってからはだいぶ薄れましたが)。

父は五人兄姉の長男でしたから、必然的に総長でした。祖母の実家がわりと名の知れた家なのも、世間体やらなんやらを気にしたせいでしょうか。

祖父は、満州に戦争に行ったとかいろいろあったようですが、とにかく頑固で怖い人。
そんなイメージしか残っていません。

満州で何があったかなんて、絶対に口にはしなかったようで、兄姉たちでさえも聞くことなく全て墓に持って行ってしまったようですね。


で、そんな頑固な祖父。
その息子である父も当然偏屈で頑固。

当然相容れる仲になるわけなくて、父は十六から一人暮らししてたそうです。


父は、母と結婚してから、すごく性格が丸くなったと聞きます。
「親父のようには絶対になりたくなかった」なんて言っていたそうですが、結婚当初は似てた部分も大いにあったそうですけど。


だから当然、父は祖父と最期まで腹を割って話すことが出来なかったそうです。
男同士なんて、ましてやあの二人の性格じゃあなかなか難しかったんでしょうかね。

祖母が亡くなったとき、父は黙ってずーっと遺影を見つめてました。



だから、この間のお彼岸の次の日。
見た夢に出てきた祖父母。

祖父は、夢の中でもやはり家長でしたから、厳しい表情で黙っていました。
祖母は穏やかに黙っています。父はいなくて。

でも、なんだか不思議とリアルでね〜
急に祖父が言ったんです。


「よく頑張ったな」って、父に。



そんなこと、本当なら口が裂けたって言わないだろうに。
それを聞いて、あたしは夢の中で嬉しくて泣いてました。


なんだか、父が還暦を迎えた今年、そんな夢を見たのがすごくすごく嬉しくて、たかだか夢の話なんだけど、妙に現実味があったから。


もし。


もしも父と祖父が一度でもいいから腹を割って話すことが出来ていたなら、父はもう少し、楽だったのではないかなあ。

母に夢の話をしたら、「有り得ないけど、もしそんなことを言われたらパパは泣くだろうね」って笑ってました。



あの祖父の血が色濃い父を変えた母は、まあ基本的に能天気な部分が多いのですが、きっと父はそんなところに惹かれたんだろうな〜、なんて。

そして、年をとるにつれてさらに父はフランクになってきております。


いつか、父にこの夢の話をしたら、父はなんて言うかなあ。



「馬鹿じゃないの」って、笑われちゃうかもしれませんね。






今日の一言
「眠いのに寝られなくて」





家族って、大切。