リザフィックバレー。
それはジョウト地方にある、熟練の猛者たるリザードン達が居る場所。
私はそこに居た。
毎日毎日強くなる為に皆に修業の相手を頼むけど、「お前まだここに来たばかりだろう?本格的な修業の前に環境に慣れる事だな」って一蹴される。
確かにその通りだろうけど…何よ子供扱いして。私だってもう擬人化だって出来るし、それなりにバトル出来るのに。
自分でも「ああだから子供扱いされるんだ」ってわかるくらいの拗ね方をして、ゲートを見つめてた。
その時、珍しくお客さんが来た。
亜麻色の髪に碧眼の女の子と、擬人化した私達より少し髪の色素が薄いリザードンの男の人。
女の子は何やらジークさんと楽しそうに会話してるみたい。
思わず聞き耳をたててみる。
「…へぇー、またポケモンリーグ制覇しちゃったんだ!相変わらず強いねぇ」
「ルーク達が頑張ってくれましたから」
「本っ当、このリザフィックバレーのカップルから生まれた卵がまさかこんな大物になるなんてね…外見もなかなか……」
「バトルに外見は関係ねぇだろ…俺適当に時間潰してくるわ」
そう言って、私の居る方へ歩いてくるルークと呼ばれたリザードン。
どうしよう隠れようかな…って、なんで私が隠れなきゃなんないのよ!!とか自問自答してたら…
「…何やってんだお前」
話し掛けられてしまった。
「べっ、別になんだっていいでしょ!よそ者が話し掛けないでよ!」
「残念ながら俺は一応ココ出身なんでね。よそ者じゃねぇんだよ」
…なんか偉そうでムカつく。
それが第一印象だった。
「…お前ココに来たばっかなのか」
「なっ…なんでわかっ…」
「周りの奴らの様子。お前に無関心っつかまだ認めてないのがモロにわかる」
その言葉につい肩がピクリと動く。
知ってるわよ…まだ私が弱いからっ…だから私はっ……
「アンタ…ここ出身ならバトル得意だしそれなりに強いんでしょ!?なら修業の相手してよ!!」
「やだね」
「なんでよ!!!」
「俺、ここ出身ではあるけど今は雪華のパートナーだから関係ねぇし」
「何よそれ…私がまだ未熟だからって馬鹿にしてんの!!??ナメてんじゃないわよ!!!!!」
私は全力で火炎放射を放った。
けどルークは難無くひょいっと避けて余裕だった。
レベルの差も歴然だから当然だ。勝ったバトルの場数も。
「阿呆。下手に周りの奴ら刺激するような事すんな。ボコボコにされんぞ」
「アンタのせいでしょ!!??アンタが馬鹿にするからっ…」
「馬鹿にはしてねぇよ。お前は修業より先にやる事あんだろ」
「は?」
「まずはここの環境に慣れて、徐々に自分の存在をアイツらにわからせる。で、環境に慣れた所で素直に修業の相手お願いする。ただがむしゃらにやるだけじゃアイツらは認めてなんかくれねぇよ。そんな甘くねぇんだよココは」
「……っ」
「気持ちはわかる。けど焦んな。アイツらは敵じゃなくて仲間なんだ、いつか認められる日がくる」
そう言って、ルークは私の頭を撫でた。
大きくて暖かい、優しい手で。
「ま、お前は俺の妹みたいなもんだしな。応援してやるよ。…お前なら強くなれるさ、絶対」
そう優しく微笑んだ後、雪華というトレーナーに呼ばれてルークは歩き始めた。
私は咄嗟に叫ぶ。
「まっ、また会える!?」
私の言葉にルークはビックリしたみたいで、目を点にして振り返った後、また笑って。
「お前がちゃんとコイツらと仲良く出来るようになったらな」
「絶対!?約束出来る!?」
しつこく問いただす私にルークは参ったな、と言わんばかりの表情をした後、何か思いついたような顔をして自分の首にある首輪みたいなチョーカーを外して私に渡してきた。
「え、な、何」
「コイツらと仲良くなって、認められたら会えるだろ。そんな不安なら約束の印ってことで持っとけ。じゃあな」
「あ……」
ルークはひらひらと手を振りながら、雪華と共にリザフィックバレーを後にした。
私はルークから手渡されたチョーカーをじっと見つめた後、それを抱きしめた。
「また…会えるよね、ルーク兄様」
ぶっきらぼうでたまに偉そうで、でも本当は優しい
私はいつの間にか彼を『兄』と認めていた。
私は今も、ルーク兄様から貰ったチョーカーをつけている
************
昔ちらっとだしたツンデレっ娘とルークの出会い
漫画にしようとしてるけど…まだわかんない(笑)
追記にてオマケー
睡魔MAX状態で書いたので追記のも含めて明日書き直す…かもしれない