御風「かえりたーい」
シエル「お前のモンスターボールならそこにあるぞ。留守番頼まれた時に歩が置いていっただろう」
御風「いや違くて」
シエル「何がだ」
御風「最近さ、『かえりたい』が口癖の子多いじゃん?」
シエル「……そうか?」
御風「うん。で、ギルがこないだ仕事で行ったお屋敷のお坊ちゃまがね『かえりたい』をずっと連呼してて鬱陶しかったって」
シエル「それは確かに鬱陶しいな。というより自分の家に居ながら『かえりたい』ってなんだ」
御風「ねー。それでさ、ボク思ったんだけどさ…『かえる』にも種類あるじゃん?だからさ…どれなのかなーって」
シエル「?」
御風「彼は何かに『返りたい』のかな」
シエル「…………」
御風「それとも前の自分に『還りたい』のかな。それか家ではない本来自分が居るべき、存在したい場所に『帰りたい』のかな」
シエル「……さぁな」
御風「『かえらなくていい』もあるよね」
シエル「ああ」
御風「『かえりたくない』もあるよね」
シエル「そうだな」
御風「シエルはある?そーいうの」
シエル「……僕にはマスターと仲間が居る。それに一緒に産まれた兄も。『かえる』場所はいくつかある。『かえらない』は一つだけある」
御風「そか。じゃあボクと同じだね。ボクもマスターと仲間が居るし、ボクを心から想ってくれてる恋人も居る。『かえる』場所はいくつかある。『かえらない』…いや『かえりたくない』もあるし」
シエル「『それ』に気付けずに沢山のモノを見落とす奴も大勢居るがな」
御風「ね。少し視点を変えたり、深呼吸でもして落ち着いて周りを見れば意外とあるもんなのにね」
シエル「『生きる』上で必然的に何度かはそういうのに陥るモノだからな人間は。そしてわからなくなって、墜ちて、また這い上がる。…きっとそれを何度も何度も繰り返す」
御風「でも気付かない方が幸せなモノもあるよ?」
シエル「?」
御風「『かえれない』コト。昔のアイツそうだったじゃん、今は違うけど。要は何事もモノのとりようだよね」
シエル「…そうだな」
御風「ボクらはさ、見失わないよね」
シエル「さぁな」
御風「そこは断言してよ〜…あ、そうだ!ねぇシエル」
シエル「今度はなんだ」
御風「恋人作って『かえる』場所もう一つ作ってみたらその鞭持ってドSピンヒールが似合いそうな女王様気質と目つき治るかもよ?」
シエル「そんなに感電させられたいかそうかそうか。…こっちにこいまる焦げになるまで電撃を浴びせてやる」
御風「きゃーシエルこわーいっ!ルーク助けてーっ」
ルーク「…人が昼寝してる側で謎掛けみてぇな会話して睡眠妨げた上に今度は喧嘩の巻き添えかよ……」
御風「あ、そうだルーク!ルークはある?『かえりたい』とかさ」
ルーク「んー…俺は………『かえらない』と『かえりたくない』…あと『かえる』場所があるな」
御風「…今は幸せ?」
ルーク「…ガキにゃ教えねぇよ」
御風「一つしか年違わないじゃん!!」
シエル「いいから御風はこっちにこい」
御風「やだーっ!!絶っ対戦闘不能にしようとしてるじゃん!!」
ルーク「いーから離れろ抱き着くな!!そして昼寝の邪魔すんな他所でやれ!!!」
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かえる、かえらない、かえれない
『かえる』なんてその気になりゃ出来る
『かえらない』ならそのまま進めばいい
『かえれない』なら新しく探せばいい
『かえる』も『かえらない』も『かえれない』も
所詮全部、自分次第なんだ
どの『かえる』『かえらない』『かえれない』かは、自分以外の誰も知らないけど
きっと、『神様』ですら、