オリジナルSS
BL、ギャグ、ショタ攻め注意!
グダグダ注意www
*…*…*
…今年のクリスマスは
去年のクリスマス辺りはラルが母さんの所から来て、バタバタしてたから
『クリスマス』って感じの事も出来なかったし
だから………今年は土曜日がクリスマスだし派手にパーティーをしよう、なんて姉さんが言い出して。
………ボクもその意見には賛成だった。そう言う楽しそうな事も好きだし、みんなも楽しそうだし。
………うん
その準備中に、ラルがあんな事を言うまでは。
「……で…クリスマスプディング用のドライフルーツ。………ケーキは……何が良い、ラル?」
「……Cake?Cakeも作んの?」
「うん。寧ろ日本のクリスマスはケーキの方が一般的。
……あぁ…でも、クリスマスならイチゴのホールケーキかな…それでも良い、ラル?」
「オレは良いよ、ミキが作るお菓子なら」
「よし、決まり。あとは……」
「………Christmas、か……」
「…………?」
ぼそり、とそう呟いたラルを見てみると
何故だか、少し怪訝そうな表情を浮かべていて。
不思議に思っていると…今度は、こんな事を呟いた。
「………サンタ、ちゃんとPresent届けてくれんのかな」
「…………。………は?」
…………。…今…何て言ったのかな、この仔は…?
「……さ…サンタ…さん?」
「うん。Present頼んどいたんだ。………けど、どうだろ。ミキ、届けてくれると思う?」
「……………。
………え…えーっと…。………待って、ラル…サンタさん信じてるの?…本当に?」
「………。…え…ミキ、何言ってんの?
サンタ、本当にいるの知らないの?」
「…………。……え…あ………うん………そっか…そうだよね…。
あ、あはは…ごめんね。ちょっとそう言う存在を忘れてた、って言うか………」
「忘れてたって………サンタを?
………明後日がchristmasなのに?」
………内心まずい、と思いながらも、引き攣った表情を隠す事すら出来ず。
精一杯、その表情についての言い訳を口にするも………訝し気なその表情から視線を逸らす事しか出来なかった。
……だって。
この歳の割に生意気でマセてて、しかも現実主義の弟が実はサンタさんを信じてるなんて、家族の内の誰が想像しただろう。
…………否、多分誰も想像してない。だから当然プレゼントは用意されてないし、誰もプレゼントの下調べもしてない。
例に寄ってボクだって、恋人や家族としてのプレゼントは用意してあっても、『サンタさん』としてのプレゼントなんて用意してない。
そして今日はイヴの前日で。
………もう既に、下調べとかしてる余裕も時間的にない。
………要するに、サンタさんを演じるには少し………時間が足りな過ぎる気がする…。
だって、待って?………ボク達、サンタさんなんて12歳の時に信じてたっけ?
………いや、絶対信じてなかった。だって………ボクも由希も凪亜ちゃんも、流石に小学校の中学年あたりになると周りの友達とかから教えられて、それぞれ自然と『サンタさんは父さんと姉さんだ』と覚えた気がする。
………まぁ日本とイギリスでは、そう言う文化がかなり違うのかもしれないけど。
…どちらにしろまずい。凄くまずい。
必死で明日の夜までにプレゼントを用意しなきゃ…な雰囲気だよね、これ。
………。…どうしよう。
「と言う訳なんだけど…どうしたら良いと思う、姉さん?」
「あちゃー…サンタさん、ねぇ……ぶっちゃけ忘れてたわ、そんな存在……」
「………うん、ボクも。ってゆーか…もし覚えてたとしても、まさかラルがサンタさんを信じてるとは思わなかったと思うよ………それに、ラルってもう12歳だし」
「あー…でも、そうね……そう言えば、あたしがJunior high schoolに上がったばかりの頃にもいた気がするわ、サンタさん信じてる仔……お国柄、ってやつかしらねぇ…」
「………。……ね、姉さん…それ、出来ればもっと早く思い出して欲しかったかな…」
……どうしよう。
今更ラルに欲しい物を聞いたらバレちゃう気がするし…聞けない、よね?
「………ねぇ、姉さん…じゃあ今、ラルが欲しがってるものとか、知らない?」
「そうねぇ…ラルが欲しがってるもの、よね?…………まぁ…ある事にはあるわよ。今あたしの目の前に」
………そう呟くと同時に、じーっとボクを見て…その後、綺麗な笑顔。
……それは…まさか、要するにボクだって言いたいのかな、姉さん…。
「……あ…あのさ姉さん。この場合、ラルは一応本気で信じてるみたいだし………サンタさんがナマモノ、しかも人間をプレゼントにするのはまずいんじゃないかな…。
寧ろ夢壊れちゃうよ、そんな人攫いみたいなサンタさん…。
だから、ほら…他を考えよう?ラルの夢を壊さない様なやつ………ね?」
「……まぁ…それもそうよね……………チッ」
……チッ、って…姉さん…絶対楽しんでるでしょ…。
「…じゃあ…仕方ないわね。
ラルってお菓子大好きだし、お菓子を沢山買ってきてそれをサンタさんのプレゼントにしましょう?それならすぐ用意出来るでしょ?」
「……うーん…まぁね。クリスマスだし…確かにお菓子なら大丈夫かも、ラルが大好きなものだしね。
………じゃあ、ボクがラルが寝た後にベッドにプレゼントを置く…って事で良いかな?」
「そうねー…………あ、じゃあ良い事考えたわ♪」
………少し考えた素振りの後、また綺麗な笑顔で。
にっこり微笑んだまま…ボクの肩を優しく掴む姉さんに、はっきり言って凄く嫌な予感がした。
「……な…何かな、姉さん…」
「いやー。あたし、あんた達にプレゼント渡す時に毎回思ってたんだけどさ?
もしプレゼントを置く瞬間にあんた達が起きちゃったらー、って考えたらいつもドキドキだったのよねー」
うんうん、と当時を思い出しているのか、懐かしそうに頷きながら呟く姉さんが………さっきから、凄く楽しそうに見えるのは何でなんだろう。
………いや、「何で」って…そりゃあ、この顔はさ。
……「何か企んでます」って顔、だもんね…。
「だからね?バレない様に工夫するのは大事な事だと思うのよね、あたし」
「…………。…うん、そうだね…ボクもそう思うよ。
………ごめん姉さん、だから何?」
「だから………もしラルが起きても大丈夫な様に、サンタさんのコスプレして枕元に置けば良いのよ、プレゼント♪」
「……………」
………そしてその提案は予想通り………いや、予想以上にくだらなかった。
「…コスプレ」
「そうよ。衣装もちゃんとあるのよー、明後日のクリスマスパーティーでナギちゃんに着て貰おうと思って」
姉さんがほら、と言う言葉とともにクローゼットから取り出した衣装は………… ベアトップ………って言うのかな。胸から上の部分のない……『(148cmの)凪亜ちゃんが着るとしたら』膝下5cm位までの長さのあるワンピースだった。
………ってゆーか姉さん……いくら姉妹同然とは言え、余所様の娘さんに何を着せるつもりなの…。
「………だ…だから……姉さん、あのね?
サンタさんって………普通の人が想像するのは優しそうなおじいさんだと思うんだよね」
「まぁそうよね、普通、一番最初に想像するのはそう言うサンタよねー」