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文化祭だ!B

未希:(イラッ)……………さっきから大人しく聞いてれば………。
だから正真正銘、男なんです、ボク等は。揉んでも大きくならないし、胸がないのが普通なんです。………って言うか、いつまで触ってるんですか(眉を顰めて自分の胸を撫で続ける宙翔の右腕に素早いチョップをかます。←)
由希:Σちょっ…兄貴!!(ヤバい、キレる一歩手前だ…!!汗)
窃夜:わぁ、お見事〜っ☆(ぱちぱちぱち、と拍手をしながら。←)
宙翔:Σってぇな!!
おい、未希!!空手かじってた奴が、バスケ部のキャプテンにいきなりチョップかましてんじゃねぇよ!!
お前、もし俺の右腕がバスケで使い物にならなくなったらどうする気だ、ボケ!!(怒)
和泉:あっはぁー☆ヒロちゃんはぁー、セクハラって言葉と自業自得、って言葉を覚えた方が良いねぇー☆
由希:………あ…兄貴?お…怒るな?落ち着け、落ち着け…?
ほ、ほら、深呼吸ー、深呼吸ー!!!!(怯えた笑顔のまま未希の肩に手を置き、恐怖から自分が深呼吸を繰り返して。←)
未希:(……………チッ。←)人の事とやかく言う前に自分が落ち着きなよ。手、すっごく震えてるよ?(にこにこにこ。←)
窃夜:あはははっ、由希とブチョー、ダサぁい〜っ(笑)
宙翔:…ださっ……(ぶちんっ。←プライド逆撫でされたらしい)
……人が下手に出りゃ調子に乗りやがって…犯すぞクソチビ!!(ガンッ、と未希をロッカーに押し付けると、ギロリ、と未希を睨み)
未希:あはっ、別に良いですよ?
これだけ目撃者がいれば、警察にも行き易いですし……第一、大人しく襲われてなんてやりませんけどv(←超笑顔)
由希:Σだから兄貴、やめとけって!!(泣)
つーか、ラルにはこれ位されてもキレないじゃん!!何で部長にはキレんの!!(汗)
未希:何馬鹿言ってるの?それ(年下・可愛がってる弟・生意気だけど甘えん坊・ちびっ仔・我儘なラル。※ただし未希から見て)とこれ(年上・偉そう・女たらし・俺様な宙翔)は別だし、危険性が全然違うよ(にこにこにこ。←実際はラルの方が数段危険)
和泉:Σちょっとぉー!!もぉー!!やめなよぉー!!
未希ちゃんが女の子扱いされるの嫌い、なんて高等部では有名な話でしょぉー!?なのに度が過ぎた意地悪するヒロちゃんが悪いんじゃぁーん!!
窃夜もぉー!!どんなに心の中で思っても良いけどぉー、ヒロちゃん本人にダサいとか言っちゃダメぇー!!余計面倒臭くなるでしょぉー!!
窃夜:え〜っ、これ位で怒るブチョーが男気に欠けるんだよっ。←
宙翔:おとっ…(ぎろり、と窃夜と未希を睨み付け)
由希:(ヤバいヤバいヤバい…!!)あ、兄貴、窃夜っ!!ほら、みんな練習行っちまったし、早く体育館行こうぜ;;!!
窃夜、兄貴と1on1やるからジャッジやってくれよ!!なっ;;!?
楽しく練習しようぜっ;;!!何だったら今回は、ジュースとかお菓子とか、兄貴の好きなモン賭けても良いし!!(すっげ笑顔で二人の肩を掴み、ズルズルと二人を引っ張っていく。←)
未希:(むすっ、とした表情のまま)………良いけど…ボク、今『気楽に楽しく』練習とか出来ないと思うよ?………寧ろ、普通に本気でいくから(←ウサ晴らしwww)
何賭けても良いんだよね?…じゃあ負けた方が家事当番一週間追加、って事でv(「よし、絶対負けない☆」とキラキラした表情で。←)
由希:………い…一週間…な…?………お…オッケ…(……ヤバい…今回、気迫でボロ負けるかも…!!泣)
窃夜:うーん…もう既に未希のが勝つ気配満々だねっ、普段互角なのが不思議なくらい☆←
宙翔:……っ離せ和泉!!待て、コラ双子!!俺もその賭けに参加させろ、お前等が二人共負けたら文化祭で女装を…!!(和泉を振りほどき猛ダッシュで双子を追い掛け。←)
和泉:あーあ、行っちゃったぁー…。
(…って言うか、双子ちゃん対ヒロちゃんならともかく、1対1でヒロちゃんに勝てる訳ないじゃんねぇー…一応ヒロちゃんが1番の実力だから、このバスケ部の部長なんだしぃー…。………あーあ、このままじゃバスケ部に多少は双子ちゃんをとられちゃうの、覚悟しとかなきゃなぁー…)………うぅーん、文化祭実行委員って結構たいへぇーん。やだなぁー、客引き、どうしよっかなぁー…(ぶつぶつ)



  グダグダなまま終わる。



*-*-*-*-*


姉妹校の文化祭ネタがやりたい(爆)
とりあえず10月いっぱいで第1週目土日が月林、第2週目土日が雛宮、第3週目土日が霧桜、第4週目土日が宝欧に設定して
姉妹校キャラがお互いの姉妹校文化祭に遊びに来ました!的な小話が書けたら良いな!と言う願望を込めて
布石な感じの小話書いてみた(爆)
本当にやるかどうかは微妙だけどwww

文化祭だ!A

和泉:もぉー、雛宮の3-Dに張り合いたいんだったらぁー、自分のクラスで張り合えば良いじゃぁーんっ!!
ヒロちゃんのクラスにもぉー、ちゃんと下弦センパイと朧亜センパイって双子がいるでしょぉー!?
何も未希ちゃんと由希ちゃんじゃなくても良いじゃぁーん!!
もぉー、バスケ部の皆さんも何か言って下さいよぉー!!
部員A:…朱羽…それ、俺等に『死ね』って言ってる…?(失笑)
部員B:無理、絶対無理…(思い切り視線を逸らして)
部員C:槻浦達には悪いけど…ここは犠牲になって貰うしかないよなぁ…(遠い目)
部員A:………さて…と。何か色々決まってきたみたいだし、練習行くぞー。
未希ちゃんと由希ちゃんと窃夜、ヒロトの事、後はよろしくなー(←逃走)
未希:……ちょっ……先輩達…!?(待って…!!しかも男にモテるって何…?男にモテるって何…!!?)
由希:……あーあ、みんな行っちゃった…(失笑)
……つーか…何で雛宮の3-Dなんスか?張り合うなら他にも姉妹校の男バスとか…(汗)
和泉:それはぁー…雛宮の3-Dにはヒロちゃんの天敵がいるから、だよぉー。
窃夜:ブチョーの天敵っ?………バスケ部の人、って事?
宙翔:けっ、あんな奴、ただの敵ですらねぇよ。ただ…アイツがクソ生意気だから気に喰わないだけだ。文句あるか和泉(じろり、と和泉を睨み)
和泉:(華麗にシカト。←)ヒロちゃんの天敵はぁー…未希ちゃんや由希ちゃんの反対だよぉー。男女の双子ちゃんの妹さんの方………紗叶さんって言うんだけどぉー、男みたいに格好良いんだよぉーv
窃夜:………女の子ぉ!?部長の天敵が!?
由希:……部長なら、どの女の子も敵じゃないと思うけど…(だって女たらしだし…/汗)
未希:………女の人?……バスケのライバル…とかじゃないよね、部長の反応的に。…どうして天敵なの?(訝し気な表情を浮かべて、ちらり、と宙翔の方を見る)
和泉:(えへっ、と笑ってみせると、人差し指を立て)それはねぇー?中学時代のヒロちゃんがぁー、本気でアタックしても落とせなかった唯一の相手だからだよぉー☆
宙翔:………っ和泉、テメェ!!!!!
和泉:(更に華麗にシカト。←)しかも…ほら、うちの学校ってぇー…『国際社会を大切にする』ってうちの学校の方針的に、外国人とか親が外国で生活してる仔も多いけどぉー、双子とか兄弟の仔も普通より多いでしょぉー?
なんか、それって学園長が双子や兄弟について心理学の研究してるからみたいでぇー…要するに、紗叶さんもその関係で、双子のお兄さんと一緒に此処を薦められてたんだってぇー。
だからぁー、ヒロちゃんは調子に乗って紗叶さんに自分と付き合えって何回も命令したんだけどぉー…………散々シカトされ続けた挙げ句、紗叶さんはヒロちゃんが余っ程嫌だったのかぁー、志望校を雛宮に変えちゃってぇー。それ以来ヒロちゃんの天敵なんだよぉー♪
由希:………うわっ…何かそれ…。
未希:………可哀相…だよね、その女の人…(苦笑)
窃夜:え〜?でも、それと未希由希の女装は関係ないじゃんっ。
和泉:それがあるんだよねぇー…次の文化祭でぇー、紗叶さんのいる雛宮の3年Dクラスがコスプレ喫茶をやるらしいんだよぉー。
でぇー…そこでの紗叶さんの役はぁー…執事さんなんだってぇー。
しかも超似合っててぇー、かなりイケメンさんらしいよぉー。
由希:Σうわ、完全にソレ、オレ等で対抗する気じゃ…………って、明らかに対抗出来ねぇっスよ、所詮野郎の女装じゃ!!(汗)
宙翔:その点は大丈夫だ。お前等は普段から美少女にしか見えんからな、生まれてくる性別を間違えたのかと思う程に。
……そうだな。胸にパッドでも入れて、化粧すればあのナマイキな男女には負けんだろう(言いながら未希の胸を撫で回し、『………それにしても見事なつるぺた貧乳っぷりだな…流石にこれでは色気が足りん』と呟き、考え込む素振りを見せ。←)
…………。……いや、胸は他人に揉まれるとデカくなる、と言うな。生まれてきた性別を間違えてるとしたら、その可能性もない事もないか……(←真剣。死)
………よし。未希と由希。これから文化祭までの間、毎日胸を揉ませろ(←続・真剣。死)

イヴ・いぶ・ぱにっく★4




…………う、わぁ…すっごい早とちり…。



「…………何だろ。ラルが悪い訳じゃないのに、凄い騙された気分…」
「なんで。そっちが勝手に誤解しただけじゃん」
「………そうだね。
…………。……もう良いや、着替えてくる…ラルも早く寝なよね」



………何か急に全てが馬鹿らしくなってしまい、早く着替えてこようとベッドから降りようとすると……先程と同じくぐいっ、と腕を引っ張られたせいで、またラルの上に倒れてしまい。
………そしてまた、さっきと同じ意地悪な表情。その後、頭を引き寄せられてカツラを取られた。



………何故だろう。何か………凄く凄く、嫌な予感…。



「………ちょっと…」
「で?サンタサンはオレがホントに欲しいモノ、用意出来たワケ?」
「ほ…ホントに欲しいものかは分からないけど。でもラル、お菓子好きでしょ?だから有名なお店の焼きが………ちょ、うわっ………何す………ん、うっ…んん…!?」



……あぁ、もう。本当に何するんだよ馬鹿…。



突然くるり、と軽い調子でラルが身体を翻したと思うと、とんっ、とボクの身体をベッドへと倒して。
………それであっと言う間に立場(?)逆転だ。いつの間にかボクの上にはラルがいて、ボクがベッドへと寝かされていた。



………挙げ句、その体制のままキスされた。しかも結構深めに。



「……っ…ちょっ、と……ラルっ…」
「オレ、別にお菓子なんかいらないよ?
今一番欲しいのはさ……………この状況なら分かるデショ?オニイチャン」
「………っ…。
……えっと。心配しなくてもボクはラルの事愛して…」
「んー…そう言うのも嬉しいけど、そんだけじゃ足りないよ。やっぱオレも男だし?
そしたら自分からこんなSexyなカッコでベッドまで来たワケで?
………=有り難くイタダキマス、って図式にもなるワケで、さ」



………いや、何言ってるの。
違うよ、有り難く頂かないで下さい。プレゼントはこっちじゃなくて、そっちの焼き菓子セットです。
………大体ラルと言い姉さんと言い………姉弟揃って何なんだよ、そのスケベオヤジさながらの思考回路は…!(…自分もその姉弟の内の一人だと思うと悲しいけど)



「…っラル…君ね……さっき自分で言ったよね?『もうすぐ13歳』だって…………だったらもっと中学生らしい態度取りなよ、エロ親父じゃあるまいし…!
大体、嫌だよボク!………その……コスプレでそんな事するのっ…」
「………寧ろ中学生なんて、頭ん中そんな事ばっかデショ?
それに、こんなカッコで挑発してくる方が悪い」
「ちょ、んっ……や、だってばっ…」


うわぁ、もう本当に腹立つ。
しかも…………同意した覚えもないのに胸の所に手を入れるな!!



「………っの…いい……加減に!!」
「ん"っ!?」
「しろ!!」
「ぐっ…!!!!」


いくらラルでも、これ以上調子に乗られるとたまったもんじゃない。
…とりあえず…鳩尾に一発拳を入れてみると、案の定うずくまってしまったので、その隙にベッドから這い出て。
………それから後頭部の少し下辺りにチョップをお見舞いしてやった。………うん。我ながら怖い位にスマッシュヒットだ(だから当然ラルは気絶しちゃったけど)



「………」



………とにかく犯行現場からは早く逃走しちゃった方が良い。
早く着替えて、メイクも落として…それから今日から暫くは、由希の部屋で寝る事にしよう。また襲われたら困るし。




………それから。



来年からのクリスマスはもう二度と馬鹿な気遣いはしない。
いくら姉さんに頼まれてもコスプレもしないし、こんな格好で自分とラルの部屋に入ったりしない。



………改めて、そんな事を心に誓わなければならないイヴの夜でした。



グダグダなまま終わる。



*…*…*…*
外国の仔って、案外大きくなるまでサンタさんを信じてるんだぜ、って話を元に
ちょっと書いてみたくなったギャグギャグな話。←
ヤまやし、オちなし、イみなしです。←
何かやっぱりグダグダ。←

イヴ・いぶ・ぱにっく★3

「………」


こっそり、とベッドまで近付いてみると……すぅすぅ、と規則正しい寝息と………ラルの可愛らしい寝顔がそこにあって。



………とりあえず、起きる心配はなさそうだし………早くプレゼントを置いて、逃げちゃおう…。



…………。
………にしても…



……冷静に見てみれば見てみる程、やっぱり変だ。



………何でこんなに、いつも通りなんだろう…。



ベッドの脇にプレゼント用の靴下が吊されている訳でもなく…………勿論、サンタさんへの手紙が用意されてる訳でもなく。



………それに…。



「……………」



………どうして普通に寝てるの、ラル…。



サンタさんを信じてる子どもが、イヴの夜にこんなにもあっさりと眠りにつくものなのかな…。



………いや。ボク等が小さい頃は確か、由希と凪亜ちゃんは大はしゃぎで「サンタさんに会うんだ!!」って言ってた気がするし、姉さんに「夜更かししてる悪い仔の所にはサンタさんは来ないのよ」って脅されるまで、寝ようとすらしなかった気がする。



………やっぱり考えれば考える程、変。




「……………」




………まぁ、良いや。
ボクだってラルの事とやかく言える程、イヴの日にサンタさんに必死になってた訳じゃないし(勿論小さい頃はサンタさんを信じてたし、プレゼントも嬉しかったけど………少なくとも由希達程は必死じゃなかった)。
だったら、こう言う風にサンタさんに会う事への執着のない子どもも珍しくないのかもしれない。




早くプレゼント置いて………



「捕まえた」
「………っ!?」



…………まずい…。
………ぼんやり、と考え事をしていたその手を真下から引かれて…どさり、とラルの上に倒れ込んだ時、とっさにそう思った。



………寝てたんじゃなくて………タヌキ寝入りだったんだ…!!



「…っ……」
「ホント………勉強、とか言いながらいきなり出ていくし、なんな………………え?
…………」



……ああ、そうだった。
大丈夫、姉さんに別人みたいにメイクされてるし、どうにか声も出さなかった。
まだ正体まではバレてないだろうし、声を出さないように逃げ………



「…ミキ。
ナニそのカッコ…」
「……っ…!」



………バレてる…どうして…!?



「………ちょっと…ミキ?何してんの、って」
「…………」



…………あぁもう、最悪だ。
空気読んでよ馬鹿、どうしてタヌキ寝入りなんかするの。
………なんて…ラルを責めても仕方ないけど…。



「………ぼっ…………私、は…えぇと…未希じゃなくて………」



……あぁ、しかもさ。
こんなのでごまかせる訳ないでしょ…ボクの馬鹿。




「…………。
……ふーん?じゃあナニ、誰アンタ」
「…………。
……さ…サンタ、さん…かな」
「……へー。サンタさん、ね?
凄いね、こんな若くてキレーなサンタさんもいるんだ。
でもどうやって家に入ったの?………答えによっては不法侵入で訴えるけど」



もうホントやだ。
真下のその顔は、物凄く意地悪な笑顔を浮かべてるし。



…………何かムカつくし…こうなったら鳩尾でも殴って気絶させて、逃げちゃおうかな…。
……うん、それ凄く良い考え。
ボク、常々自分がラルを甘やかしてる事は自覚してはいたんだよね。それ位やった方が甘えも治るかも。



「………あ。でも気絶させるなら鳩尾じゃなくて後頭部の方が………ラル、ちょっと俯せになって寝てみて?」
「……いやいやいや……。
………なる訳ないデショ、そんな不穏な事言われてんのに…」



………ちっ。やっぱり、そう上手くはいかないか…。



「ねぇミキ。こんな夜中にそんなカッコで人の寝込み襲うとか……ホントどう言うつもり?
……こっちとしては誘惑されてる様にしか思えないんだけど…ねぇ。襲って良いワケ?」
「違っ………ボクだって、好きでしてる訳じゃっ…」
「そうなの?………またアヤ姉に無理矢理させられた?」
「……っそうだけど…でも、原因はラルなんだから…」
「………はぁ?オレ?」



サンタさんを信じているらしいラルには悪いけど、もうこっちだってヤケだ。
大体、タヌキ寝入りなんかする方が悪いんだし。多少は仕方ないでしょ?



「…………っだから………うちの家には、もう随分前からサンタさんは来ないんだよ!」
「…………。
……はぁ?」
「……っ〜〜知ってる?サンタさんってね、家族の人に頼まれて子どもの所に来るんだよ?
でもボク等は随分昔にサンタさんにプレゼントを頼む事をやめちゃったから、姉さんは今年も頼んでないの。
でも、昨日ラルがサンタさんのプレゼントの事言ってたから………姉さんが代わりに、って………ら、来年はちゃんと姉さんが頼んでくれるよ!」



………少し、夢壊すような事を言ったかもしれないけど…これ位は仕方ないよね。
……でも…『流石にマズいかな』と思いそっ、とラルの顔を見上げてみるけど………その表情は何故か、ショックを受けた様子もなく
相変わらずボクの腕を掴んだまま、怪訝そうにこちらを見上げていて。



「………え、ごめん…言ってる意味がワカンナイんだけど…つまり、ナニ?
昨日の話…ってアレの事?サンタがいるかいないか、ってやつ…」
「………?
う、うん…サンタさんからのプレゼント、ちゃんと届くか心配してたでしょ…?」
「………。
…ぶっ…!!……ふ、くっ…くくっ…あっはははは!」
「っ!!」



…何でそんな、お腹抱えて大笑いされなきゃいけないんだろう…こっちはごまかす事に必死なのに。



「っくっ……ふっ…サンタ…ねぇ?
そう。サンタはいるよ?グリーンランドとか……あと、こっちは正式なサンタじゃないらしいけど、フィンランドの山奥とかにね。
………勿論ソリで空飛んだり、煙突から不法侵入してきたり、そんな犯罪紛いのサンタではないんだけど」
「…………は?」
「知らない?フィンランドのサンタ教会にあらかじめ申し込んでお金を払っておくと、贈りたい相手にサンタからのプレゼントと手紙が届く、ってやつ。
リオ、そう言うRomanticな事好きだし………今年のオレからリオへのChristmas presentはソレにしたんだよ」
「……リ、オ……お姉ちゃん…?…………従姉の?
じゃあ…別にサンタさんを信じてるとかじゃ…」
「なワケないじゃん。もうすぐ13歳だよ、オレ?」

イヴ・いぶ・ぱにっく★2

「………うん、そうだよね。
じゃあ当然ラルだって、そう言うサンタさんを想像してると思わない?………少なくとも兄が女装したミニスカートのサンタさんなんて、普通は想像もしないよね」



大体、そんなサンタさんが自分の枕元にプレゼントを置いている所を目撃するよりは、普通に身内がプレゼントを置いている所を目撃する方がショックも少ないと思うんだよね…。



…だってボクなら嫌だもん。そんなサンタさん。



「あら。彼女?がサンタさんの格好でプレゼント、だなんて、男としては夢のシチュエーションだと思うけどねー…。
まぁ良いわ。あたしのメイクアップ技術、ナメんじゃないわよ?
あんたは元々その辺の女の子より可愛いから………それならバレない様に、もっと可愛く仕上げてあげるわ…♪」
「…………。
…………い…………いやいやいや…どっちにしろ喋ったら声でバレるよ。いくら一緒に暮らしてる期間が短くても、相手は弟で恋人なんだから…」
「じゃ、見つかったら喋らず笑顔でごまかして逃げなさい?
戻ってきたら、ちゃんとここに隠してあげるから」



そう言いながら相変わらずのにっこり笑顔。………やっぱり絶対面白がられてる。
………ついでに言うと、OKするまでここ(姉さんの部屋)から出してくれる気はないらしく、ドアの前では姉さんがさっきのワンピースを広げたまま立ちはだかってるし。




………さらに輪をかけて、空手やテコンドーの有段者であり、他の弟二人から『猛獣』扱いすらされているこの姉に力付くで勝つ事は不可能だ。
……と言うか、もし勝てたら自分が人間じゃなくなる気がする、本当に…。



「……もう…姉さんの馬鹿。…姉さんなら頼れると思って相談に来たのに」
「何よー。そこまで拗ねる事ないでしょう。
良いじゃない。ラルの事、大好きなんでしょ?ラルの喜ぶ事、してあげたいでしょ?」
「…………。……そ、そりゃあ…してあげたいけどさぁ…」
「ほらね?じゃあ我慢なさい、そろそろ腹括るのよ。男の子でしょ?」



………いや、寧ろ男だから凄く嫌なんだけど…どうして解らないかな。
でも…どうやら、NO、と言える雰囲気ではない。到底ない。



………何か…本当に腹を決めるしかないらしい…。




「……………。…わ……………………分かったよ……やるよ、やれば良いんでしょう…」



…………あぁ、もう。
姉さんの、馬鹿。







───翌日、夜



………準備は、此処までは完璧だった。
学校の帰りに姉さんとこっそり会って………ケーキ屋さんで焼き菓子のセットを買ってきたし、ラルに買い物の内容がバレない様に…姉さんの車のトランクにプレゼントは隠したし。
ついでに言うと逃げたりわざと失敗すればもっと酷い目に合うに決まっているし………姉さんの作戦に乗るしかないボクには、既に覚悟だって十分にある。



………後、問題があるとすれば……



………今からをどう切り抜けるか、だ。




「………ミキ。寝ないの?」
「…………」



………時刻は、夜の11時半。
普段なら明日の朝の事もあるし、既にベッドに入り、眠る準備をしている所だ。



………でも…



「ご…ごめんね、ラル。
ボク、ちょっと宿題しなきゃだから………先に寝てて?」
「………。…宿題って……明日から冬休みなのに?」
「う………うん。
早めに、終わらせておきたいし…ね」
「………明日の朝から、やれば?
別にわざわざ今からやらなくても…」
「…………。…えーっと…。
明日はクリスマスパーティーでしょ?用意も大変だし…今から、少しでも片付けとかなきゃ、ね?」
「…………」



………あぁ、ほら。凄い変な顔してる。
なんとか笑顔を向けて、「先に寝てて?」と促してみると…諦めた様に溜息を吐いて、ラルはベッドに入った。



「………」



………それから十数分後、聞こえてきた小さな寝息。


………眠った…かな…。



「…………姉さん。ラル、寝たよ」
「あら、そう?
…じゃあ……早速、こっちも済ましちゃいましょうか…♪」



そう言ってメイク道具やカツラなんかを取り出すと……がしっ、と肩を捕まれて、そのまま椅子に座らされて。



あぁ、目にも止まらぬ早業、ってこう言うのを言うんだろうなぁ…と言う位に素早く、ヘアバンドを着けられた後に顔中を弄られた。



…………そして20分後、姉さんの部屋の鏡の前には見知らぬ『女の子』にされたボクが座っていた…。



「…………」
「よし、これでメイクは完璧♪
やっぱ良いわー、あんたの肌。普段はメイクとかしないから肌荒れとかしてないし、そのくせきめが細かくてサラサラで、メイクがノリ易いのよねーvV」
「………うん、ごめん姉さん。
ぶっちゃけ知らねぇよ、って感じなんだけど」
「あら、何よ失礼ねー。
大体、女の子は『知らねぇ』なんて言葉、使っちゃダメよー?ラルの為に頑張るんでしょvV」



………大体、女の子じゃないし。それに少しくらい口も悪くなるよ。



「………はぁっ…もう良いよ。
服、着替えるから髪纏めてよ」
「はいはーい。
やだー、しかも未希の髪、すっごいサラサラ!!あぁもう、何でこんな可愛い仔が妹じゃなくて弟なのかしらっ。
妹なら着せ替え人形にして遊んでも文句言わないでしょうに…」
「…………これでも8割は我慢してるよ、文句」
「そんな風に言わないのー。
ホント外見に反比例して中身が可愛くなくなるわねぇ、こう言う時のあんた…」



だってもう…ホントに何かムカつくんだもん…。



「……ほら!ウイッグも着けたし、服も完璧♪
しっかりプレゼント、置いてきなさい★」
「……………」




その言葉と共に渡されたプレゼントに…………小さく、溜息。
でも………とにかく早く終わらせたい一心で、ラルとボクの部屋へと向かった。
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