2012-2-24 12:21
向き合うように並べられた机に座って、お向かいの君を盗み見る。
小さい部屋の中で、誰かが論じている声が遠くに聞こえていた。
ふてぶてしく座った君の、視線の先を知っている。
たぶん、きっと
私ならそんな顔をさせないよ。
そっと囁いてみたら君の不機嫌は直るかなと、バカバカしいことを考えた。
私の隣に座ったあの子が別の男と話す度、君の眉間にシワが寄っていくのを伺い見るしかできない自分なのに。
あの子の声に重なる自分以外の声を、苛立ちながら聞く君を内心でせせら笑った。
あの子の声に重なる別の声を聞いて安堵する私は、もしかしたら君と同じくあからさまだったかもしれない。
早くこっちを見なよ。
子供じみた君の嫉妬に、安堵を少し分けてあげるから。
早くこっちを見てよ。
そしたらきっと、あからさま過ぎる自分の滑稽さに気付くはずだから。
2012年作成。
大学時代、ゼミの講義は決まって机をロの字形に設営してた。
向かいに座った子が何してるのかよく見えたから、友人キムユン(♂)はいつもゼミ生観察してたようだ。
ある日、キムユンが飲み会の席で、観察の際に知り得たゼミ生の癖について話し始めた。
●●さんは焦ると髪を触るとか、●●さんはいつも居眠りしてるとか、最初はその程度のことだったけど、突然真剣な顔で言った。
「この前、いつもスカート着てる××さんがヒョウ柄のタイツ履いてたんだ。講義中ずっと机の下で足組んだり、机の外に足投げ出したりしてたから、よくよく見ちゃったんだけど…」
ここまで聞いて、私は思った。「コイツ、恋してんな。しかも足フェチときたかフヒヒ」と。
しかし、次の瞬間。私の女の直感をキムユンは打ち砕いた。
「そしたら気付いたんだ。ヒョウ柄なんじゃなくて、処理してないムダ毛がストッキングからボーボーに突き出てるだけだって」
なんとも言えない気持ちになった。
あの時からちゃんとムダ毛の処理はしないとダメなんだなと強く意識することになった。
いい思い出。