003.教室【学園的な100題】



向き合うように並べられた机に座って、お向かいの君を盗み見る。

小さい部屋の中で、誰かが論じている声が遠くに聞こえていた。

ふてぶてしく座った君の、視線の先を知っている。





たぶん、きっと
私ならそんな顔をさせないよ。





そっと囁いてみたら君の不機嫌は直るかなと、バカバカしいことを考えた。

私の隣に座ったあの子が別の男と話す度、君の眉間にシワが寄っていくのを伺い見るしかできない自分なのに。





あの子の声に重なる自分以外の声を、苛立ちながら聞く君を内心でせせら笑った。

あの子の声に重なる別の声を聞いて安堵する私は、もしかしたら君と同じくあからさまだったかもしれない。





早くこっちを見なよ。

子供じみた君の嫉妬に、安堵を少し分けてあげるから。





早くこっちを見てよ。

そしたらきっと、あからさま過ぎる自分の滑稽さに気付くはずだから。





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