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お題ー!

『台詞二つでショートショート』なお題バトンL



小説(ショートショート)用の、ちょっと特殊なお題バトンです。

文中のどこでも構わないので

「お前運悪いな。」

「主にお前が原因なんだが…。」

を入れてショートショートを創作して下さい。ジャンルは問いません。口調等の細部は変えても構いません。





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乾いた音が響く。
同時に、左頬に痛みが広がった。
目の前にいる女が、今までに見せたこともない瞳で睨みつけ、なにも言わない俺に最後の一瞥をよこして去っていった。
先ほどまでは、好きだの離れたくないだのと言葉を並べていたのにだ。
まだ少し痛む頬に手を添えた途端、地面にぽつりと小さな黒いシミができた。
それは急速に勢いを増していき、傘を持たない俺をずぶ濡れにさせていった。
傘を買おうにも今更という気持ちの方が強く、結局そのまま歩いて帰路につくことにした。
家もそろそろというところで、傘をさす黒い人影が見える。

「…傘持ってないの?」

玄関の明かりに照らされて浮かび上がった顔は、近くに住む幼馴染みのものだった。

「見りゃわかるだろ」

無愛想にそう言い放つと、彼女はつかつかと目の前にまで寄ってきた。

「やっぱり。ほっぺ赤くなってるよ。またフラれたの?」
「うるせェな」
「フラれてぶたれるわ雨に降られるわ、運悪いね、本当」

傘の中に俺を入れてくれる彼女が、同情したように小さく笑う。
狭すぎる空間で見つめるその顔が、俺の胸を強く締めつけた。
彼女は、気づいているのだろうか。

「…主に、お前が原因なんだがな」
「え?」
「俺がなんでフラれ続けるか、知ってるか?」

彼女はかぶりを振った。
俺は、そんな彼女の濡れたような瞳をじっと見つめて言った。

「…結局、俺にはお前しかいねェってことだよ」

大きい目が更に大きくなったとほぼ同時に、俺は彼女を抱きしめていた。
彼女の手から傘が離れ、いつの間にか弱まっていた雨がふたりに優しく打ちつける。
まるでこびりついた泥を洗い流されていくように、奥底にしまってきた想いが姿をあらわにしていく。
やがて、彼女の腕が遠慮がちに俺の背中へと回ってきた。
彼女は額をぐりぐりと胸に埋めて呟く。

「ふふ…冷たい」

そして、胸には雨とは違う温かいなにかがじわりと染み込んでいった。

***

「風邪ひいちゃうから、とにかくこれで拭いて!」
「俺んちすぐそこだから別に構わねぇのに」
「………ばか」

耳まで赤くしてむくれる彼女の腕を引き寄せ、バランスを崩してよろめいた彼女を抱き止める。

「冗談だよ。俺も、お前ともっと一緒にいたい」

顔を上げた彼女の唇に、すかさず自分のそれを重ねる。
今にも泣き出しそうな目をして微笑んだ彼女は俺の首に腕を回し、再び唇を合わせた。
服が濡れていようが髪が貼りついていようが、今は彼女の唇を存分に味わいたかった。
体がしなるほどに彼女を抱きすくめながら、長いキスを何度も何度も繰り返した。


fin.


思ったより長くなっちゃった(^ω^;
言葉ちょっと変えちゃったけど…
幸せなお話を書きたくて、突発的にお題をやっちゃいました!
満足満足。
お題ってたまにやりたくなる。
今日はちょっと時間あるので、もしかしたらまたお題やるかも。
長編を進めたいけど、違うものをやることでまたいいアイディアが出たりするから息抜きにたまにお題やっていきます(^ω^)

リクエストページ

先日TOPに設置いたしました企画リクエストについてのページですが、設置した日から1週間、皆さまからリクエストを募ろうと思っていました。
ですが、締め切りが私の間違いで1週間よりも短い日にちになっておりました。
ですので、締め切りの日にちを改めて書き直し致しました。
大変失礼致しました。

まだまだ日にちはありますので、皆さまお気軽にご参加くださいね(^ω^)
お待ちしております!
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