新刊でのイイ匂いのシャンプーをネタにしたツナ骸ネタ。
まあ何時もの如く、下らないバカップルな二人です(苦笑)
「…骸って何時もイイ匂いするよなー」
――学校が終わり、骸に会いに黒曜ランドに寄った綱吉は、現在骸と二人きりでソファーに座っていた。
隣に座る骸の髪から微かに香る匂いが鼻を霞め、思わずポツリと呟いた綱吉。
「ああ…君には到底買えない高級のシャンプーを使っていますからね、当然です」
「悪かったな平凡な一般家庭で!!…ていうか何で中学生のお前が高級なシャンプーが買えるんだよ!?」
「クフフ…企業秘密です」
ふてくされる綱吉をからかう様にクスリと笑う骸。
其が面白くなくて、不機嫌に立ち上がる綱吉。
「おや?急にどうしたんですか?」
「…今日は用事があるから帰る」
「まさかこれ位の冗談で怒ったんですか?相変わらずお子様ですね」
「煩いな、そんなんじゃないよ!!とにかく今日は帰る!!」
骸に図星を付かれ、益々カッとなった綱吉は声を荒げて足早に部屋を出た。
後ろから骸の呆れた様な溜め息が聞こえたが、聞こえないフリをした。
最初は苛々していたが、歩いている内に段々自分の幼稚さに落ち込む綱吉。
(骸の人をからかう様な態度は何時もの事じゃんか…何ムキになってんだろ、俺)
しかも久しぶりに二人きりで会えたのに、下らない事で早く帰ってしまった事を後悔していた。
考え込みながら歩いていると―気が付けば、並盛商店街まで来ていた。
すると、店頭に『売れ筋No.1』と飾られているシャンプーが目に止まった。
「た…高っっ!!一本で5千円もするの!?」
こんなの誰が買うんだよと思っていると―綱吉と隣から誰かがそのシャンプーへと手を伸ばした。
「え…ク、クローム!?」
「あ…ボス」
「え!?クロームそんなに高いシャンプー使ってんの!?」
「違う…これは骸様に頼まれたの。骸様が使うシャンプー、此処にしか売ってないから…」
「そ、そうなんだ…」
(ア、アイツ本当に高い物使ってるなぁ…)
思わず苦笑いを浮かべる綱吉を見て、クロームは不思議そうに首を傾げた。
「ボス…一人なの?」
「え?う、うん。これから帰ろうと思ってさ」
「…?骸様は一緒じゃないの?」
「へ!?骸?な…なんで!?」
「今日…ボスと会うって骸様嬉しそうだったから。
だから骸様の替わりにお使いに来たの…」
「え…」
(骸…俺と会う事楽しみにしてくれてたんだ…)
其なのに、些細な事でこんな風に帰ってしまった自分を後悔する綱吉。
そんな綱吉を見て―クロームがポツリと小さな声で呟いた。
「ボス…何で骸様がこのシャンプーにこだわるか知ってる?」
「え?気に入ってる…から?」
「其もあるけど…ボスが『イイ匂い』って言ったからって…以前骸様が言ってた」
「………!!」
そう言われてみれば―前に一度、骸の髪が余りにも綺麗で触っていたらイイ香りがしたから―そんな事を言った気がする。
(でも…たった一回俺が言った事で、態々こんな高いシャンプーを使い続けてたのか…?)
クロームの話を聞いて、そんな骸が愛しくなり―無性に骸に会いたいという想いが込み上げてきた。
「クローム!!頼みがあるんだけど―」
「…うん、コレはボスが持って行って」
綱吉の言いたい事を悟り、シャンプーを綱吉に渡すクローム。
「今日は京子ちゃんの所に泊めて貰うから…骸様の傍に居てあげて、ボス」
「クローム…有り難う!!」
クロームに手を振り、綱吉は全速力で黒曜ランドに向かった。
―――バタン!!
勢いよく部屋の扉が開き、その音に驚いて振り向く骸。
「どうしたんですかクローム、そんなに慌て……!!」
クロームだと思っていた人物は、先程突然帰った綱吉で―思わず言葉が止まる骸。
息を切らしながら、骸の前まで近付く綱吉。
「…コレ、クロームから受け取って持って来た」
「…どうも。用は其だけですか?忙しいのに態々持って来て下さって有り難うございまし―」
――グイッッ!!
綱吉から袋を受け取り、骸が背を向けた途端―突然綱吉に後ろから抱き寄せられた。
「な…!!急に何するんですか!?離しな――」
「…ごめん、骸。俺本当にガキだった」
「………え?」
「俺さ…嫌だったんだ、お前に子ども扱いされるの。確かにお前と比べたら子どもかもしれないけど―
俺だって、好きな人には男として見て貰いたいから…つい腹が立っちゃって…」
恐らく赤くなっているであろう自分の顔を見られない様に―骸を抱き締める腕に力を込める綱吉。
―すると、骸が肩を震わせて笑い出した。
「な…何笑ってんだよ!?人が真剣に話してる時に―」
「…馬鹿ですね、男として見ていない訳無いでしょう?」
「…え?」
「何年僕と付き合っているんですか貴方は。
少しは僕の気持ちを得意の超直感とやらで悟りなさい」
力が緩んだ隙に、綱吉の腕をほどき―振り向いた骸の顔は微かに赤くなっていた。
「何時もからかうのは、君と居ると…緊張するからですよ。
先程言った事も、君が急にイイ匂いだなんて言うから…反応に困るんです」
「え!?き、緊張!?嘘だろ!?だってお前何時も余裕そうな顔してるじゃん!?」
「そう見せてるだけで、此でも緊張してるんですよ!!悪いですか!?」
(ぎ、逆ギレえぇ!?)
真っ赤な顔で怒る骸は、全く迫力が無く寧ろ可愛くて―思わず吹き出す綱吉。
「笑うな!!…だから君には言いたくなかったんですよ!!」
「ゴメン、違うって!コレはおかしくて笑ってるんじゃなくて―嬉しいんだよ」
「…嬉しい?」
クスリと笑い、骸の腕を引き寄せ―ソファーに座らせ、骸の耳元へ唇を寄せた。
「骸が高級なシャンプー使い続ける程、俺の事好きだなんてさ」
「………!!ク、クロームが何か言ったんですね!?違いますから!!コレは単に僕が気に入って……っ!!」
綱吉の発言に、真っ赤になって必死で言い訳をしようとする骸の唇を―綱吉の唇で塞がれた。
「…ごめん、今日の骸可愛い過ぎて余裕ないかも」
「…何時も余裕無い癖に今更謝らないで下さい」
「はは…うん、そうだね。骸が好き過ぎて何時も余裕なんて無いや」
「……!!全く…君って人は…無自覚ですか、ソレ…」
「…何が?」
(そうやって真顔で恥ずかしい口説き文句言う所ですよ!!)
心でそう思っても、口には絶対出してやらないと固く口を閉ざす骸。
其を言うと、綱吉の言葉に照れていると自ら白状する様なものだ。
――でも振り回されてばかりは僕の性に合わない。
「…もういいです。其より早く続けないと―気が変わってしまいますよ?」
そう言って、誘う様に自らソファーに横たわり――妖艶な笑みを浮かべて綱吉の腕を引き寄せる骸。
「全く…お前ソレ確信犯だろ。どうなっても知らないからな」
「クフフ…お手柔らかにお願いしますよ」
骸の誘いに乗り、引き寄せられるままに上に覆い被さる綱吉。
更に離すまいと綱吉の首に腕を回す骸。
骸の髪に顔を埋め、その香りを堪能する綱吉にクスリと笑う。
「本当に好きですね、この香り」
「んー…まあ確かにイイ匂いだけどさ、俺の為にこの匂いにしてくれてると思うと、益々イイ匂いだなーと思ってさ」
「……!!も、もうその話は止めて下さい!!」
「…其もそうだな。今は骸に集中したいし」
「ん……っ」
これ以上からかうと、本気で骸が怒ってしまいそうなので、再び骸の唇を奪う綱吉。
――本当はシャンプーの香りより、骸が俺の為にと使ってくれてた想いが愛しいと伝える為に……。
「…なぁ柿ピー、俺らいつまで外で待ってればいーんだびょん?」
「…仕方ないな。めんどいけど今日は野宿だよ、犬」
骸と綱吉の情事が終わる気配が無いと悟った千種は、文句を言う犬を引きずり黒曜ランドを後にしたのだった(苦笑)
(END)
新刊の骸がイイ匂いのシャンプー使ってるという犬の発言で浮かんだツナ骸ネタでした(苦笑)
クロームがこんなに活躍する予定じゃなかったんだけど…何でだろ(知るか)
こんな下らない長文を読んで下さった方、有り難う&お疲れ様でしたm(__)m