シレーネ兄妹のSSです。
短めですが、この二人を久々に書きたくて(笑)
リンはジェイドが大好きで、ジェイドもリンが大好きです。
ただ、二人とも口下手なのでこうなるわけで…
ともあれ、兄妹っていいですよね!←おい
では、追記からお話ですー!
ログイン |
主に創作について語ります。 バトンをやったり、 親馬鹿トークを繰り広げたりします。 苦手な方は、どうぞ戻ってやってくださいませ! (私のサイト「Pure Rain Drop」) → http://id35.fm-p.jp/198/guardian727/
シレーネ兄妹のSSです。
短めですが、この二人を久々に書きたくて(笑)
リンはジェイドが大好きで、ジェイドもリンが大好きです。
ただ、二人とも口下手なのでこうなるわけで…
ともあれ、兄妹っていいですよね!←おい
では、追記からお話ですー!
―― ある日のこと。
医療棟は騒がしかった。
部屋で書類をまとめていたジェイドだが、廊下の騒がしさに溜息をついてペンを置く。
一体何を騒いでいるのだろうか?
切羽詰った雰囲気はないため、さして心配はないのだと思うけれど。
「何の騒ぎですか、皆……」
「あ、ジェイド様!」
騒いでいたのはアークの騎士たち。
ぱっと顔を輝かせて、ジェイドの服を握る。
「?一体何を」
「ジェイド様、来てください!」
え?とジェイドが問う間に、その騎士はジェイドの手を引き歩き出す。
彼がジェイドを連れて行ったのは、草鹿の講義室。
騎士は事情を説明しようとしない。
ジェイドは戸惑いつつ、彼に腕をひかれるまま歩いていくことになった。
「ちょっと、事情を……!」
そう訊ねかけたジェイドは驚いたように目を見開いて固まった。
と、言うのも……
講義室にたっていたのが、見慣れた緑髪の少女だったからで。
「り、リン?何故貴女が此処に……!?」
そう、そこにいたのはジェイドの妹、リン。
リンはジェイドの姿を見ると決まり悪そうに視線をそらす。
「わ、私は……お兄様のお邪魔にならないよう、
一目お兄様の姿を見たらそのまま帰ろうと思っていたのですが……
皆様が、お兄様を呼んでくるとおっしゃって……」
彼女いわく。
久しぶりに兄の顔が見たくて、ディアロ城まで一人で訪ねてきた。
しかし、ジェイドが多忙であることは充分よく知っている。
だから、少しだけ兄の様子を見たら帰ろうと思っていたのに、
今此処にいる騎士たちに姿を見つけられ、せっかくだからあっていけばいい!と、
此処に通され至る現在。
ジェイドを呼んでくる、という言葉通りにジェイドを連れてきたのだった。
リンはしゅんとする。
そしてそのまま、消え入りそうな声でいった。
「……申し訳ありません、お兄様」
「何故謝るのですか?」
「お邪魔、だったでしょう?」
ちらり、と自分と同じ翡翠の瞳を見上げるリン。
ジェイドは少し困ったように溜息をついてから、笑う。
「邪魔ではありませんよ。少し、驚いただけです」
そういうと、リンの帽子を外して長い髪を撫でる。
自分と同じ緑髪を見て、愛しげに笑った。
「よく来ましたね、リン。遠いのに、大変だったでしょう?」
「!ありがとうございます、ジェイドお兄様……!」
兄の言葉を聞いて嬉しそうに笑う、リン。
そのままジェイドに抱きついた。
ジェイドはそれを抱きとめて、微笑みながら言う。
「今日はもう遅いですから……フォレーヌに帰るのは明日になさい。
お父様やお母様にはちゃんと言ってから出てきたのですよね?」
ジェイドの問いかけに、リンは頷く。
そして、不安げにジェイドを見上げて、訊ねた。
「しかし、ご迷惑では……?」
「このまま一人で帰らせるほうがよほど心配ですよ。
明日の朝、明るくなってから帰るのでも遅くはないでしょう?」
そういった、ジェイドはもう一度リンの頭を撫でる。
その瞳に宿っているのは限りなく優しい色。
"いいですね?"とジェイドが問うと、リンは嬉しそうに微笑んでから頷いた。
***
―― その夜のこと。
リンはジェイドの研究室に泊まることになった。
ジェイドは未だ机に向かっている。
ベッドは、リンが使っていた。
「あの、お兄様?」
「何ですか?リン」
「……やはり、ご迷惑では」
不安だった。
一部隊長として働く兄、ジェイド。
彼に会いたい、傍に居たい、その思いは強い。
けれど……
こうして会いに来たことが、兄にとって負担となるなら。
こうして、顔を見せ、挙句部屋に泊めることになったのが迷惑であるのなら。
はっきりと、言って欲しかった。
妹の問いかけに、ジェイドはペンを止めた。
そして、小さく溜息をついて、振り返る。
「リン、僕が迷惑がっているように見えますか?」
「え……」
ベッドに寝ているリンにジェイドは歩み寄る。
軽くかがむと、ジェイドはリンの額にキスを落とした。
「純粋に、嬉しいのですよ。
妹がこうして自分のところへ来てくれて、
こうして、同じ部屋にいることができる……
幼い頃はできなかったことを今で来ていると思うと、
僕は純粋に、嬉しいのです」
ありがとうございます、と言いながらジェイドは微笑んだ。
そう、嬉しかった。
大切な妹が傍にいる。
共に居たいと願っても出来なかった、してやれなかった幼少期。
その頃の溝を埋めるように、ジェイドは彼女に優しさを注ぐ。
罪悪感だけではない。
彼がリンに向けるのは、愛おしい妹への兄としての愛情。
リンは驚きで翡翠の瞳を丸く見開く。
しかし、直ぐに嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます、お兄様」
「ふふ……さぁ、眠りなさい。
今日は、疲れたでしょうからしっかり休んで」
ジェイドは妹の体にかかった布団を直してやってから自分の仕事机に戻る。
リンは兄の背を見送ってから小さく微笑み、目を閉じた。
―― 大好きです、お兄様……
―― Dear my Brother ――
(貴方に会いたいと思ったのはあなたが愛おしいから)
(貴女の想いが僕は純粋に嬉しかったのですよ)