我が家の新キャラコーラルのお話です。
槍キャラが出したかった結果です…
色々キャラふわふわなので、誰か絡んでくださる方募集します(笑)
基本チャラうざい田舎者…かな(笑)
うざったいけど愛嬌あって許される感じならいいなと←
ともあれ、追記からお話です!
降り注ぐ陽射し。
秋のそれは夏のよりやや弱く、吹き抜ける風は肌寒いほどのものだった。
そんななか、行われているのは昇進試験。
ノトの騎士はアークになる素質があるかを測られ、アークの騎士はヴァーチェになる素質を見られる。
ヴァーチェからセラに上がることはまずないため、ヴァーチェの騎士は主に審判と試験の補佐が仕事だ。
「今年は色んなやつがいるなぁ」
試験監督の手伝いをしていたアネットは周囲を見渡して、ほぉっと息をはきだした。
自分達の後輩になりうる騎士たち。
その姿を見るのは、なかなかに楽しい。
アークの騎士は今年はヴァーチェに上がれそうな騎士がいなかった。
現在のヴァーチェが揃いも揃って屈強なだけに、上がるのは苦労するだろう。
そんなことを思いつつアネットが向かったのは、ノトの騎士たちがいる方。
彼らは、各々の特技を生かし、志望の部隊の部隊長の前で戦闘を、或いは弁論を行っていた。
後者は一切興味がないアネットであるが……
「……お、面白いやつがいる」
アネットはそう呟いて目を細める。
彼のガーネットの瞳に映っているのは、自分の部隊長……アレクの前でもう一人の少年に武器を振るっている一人の少年の姿だった。
アネットが"面白い"といった理由。
それは、少年が手にしている武器が、普段自分達が使うそれとは異なっていたからである。
普段、アネットたちは魔術剣と呼ばれる持ち主の魔力に応じて変形する剣を使って戦っている。
その少年は腰にその剣を挿してはいたが……
彼が今振るっているのは剣ではなく、彼の背丈よりも大きな槍だった。
秋の光に煌めく銀色の髪。
鮮やかな、珊瑚色の瞳。
その少年は、巨大な槍をつきだしては引っ込め、相手の足元をえぐる。
流石にただの演習だから怪我をさせるようなことにはならないはずだが……
それでも、その少年は本気の表情だった。
「はい、上、上、次下からいくっすよぉ」
そういいつつ次々と槍による攻撃を繰り出す少年。
相手の少年は必死に剣でその攻撃を防いでいるが、次第に失格のラインまで追い詰められている。
と、そこで機転を利かせた。
はいあと一歩、と銀髪の少年が踏み込んだその刹那、相手の少年は素早く身を躱した。
そうすれば当然勢い余って銀髪の少年はライン外に……
そう思ったようだったのだが。
「甘いなぁ」
そう声が聞こえると同時。
びん、と木がしなる音が聞こえた。
それにはっとした少年が顔をあげると同時に、頭を軽く蹴飛ばされる。
軽い脳震盪を起こしてその場につぶれる少年を乗り越える形で、銀髪の少年は着地した。
槍を地面に刺して、棒高跳びの如く攻撃を加えた、らしい。
その行動にアネットはひゅぅと声をあげた。
「なかなかやるじゃん、あいつ」
戦ってみてぇなぁ、と声を漏らすのは炎豹の騎士としての癖。
恐らく自分の統率官も思っていることだろうと思いつつ、アネットは彼の方へいった。
「アレク様、さっきのやつすごくないっすか」
「アネットも見てたのか。そうだな、槍使いは珍しいし……戦い方もなかなか筋がいい。
とびぬけてすごい訳じゃあないがアークの騎士として俺の部隊に迎えようと思う」
アレクは迷いなくそう言う。
それを聞いてアネットはにぃっと笑った。
「よかったっす。
俺いつか、あいつと戦ってみたいなぁ……何て名前だ」
「コーラル、だと。目の色に良く似合う名前だな」
アレクはそういいつつ目を細める。
アネットはコーラルか、と少年の名前を紡いだのだった。
***
「あー。疲れたぁ」
槍を脇においた少年は息を吐き出す。
先程伝えられたばかりの"ノトからアークへの昇任"の言葉。
自分が尊敬してやまない部隊長……アレクが自分の力を認めてくれたことにほっとすると同時に、喜びを感じた。
幼い頃見た騎士。
それに憧れて、自分はここまで来た。
昔から乗馬は得意だったし、洒落た武器は使えないけれど槍の扱いは得意だった。
それをいかして騎士団に入団して……至る現在だ。
これからはアークの騎士として、任務をこなしていく。
そしてゆくゆくはヴァーチェに……
そんなことを考えていた時。
「お、ここにいたか、新入り」
不意に聞こえた声に少年……コーラルは顔をあげる。
そこにたっている赤髪の少年を見て、コーラルは珊瑚色の瞳を細めた。
「新入りってぇのはちょっと違うっすねぇ、センパイ」
「あ、俺が炎豹の騎士だって言う認識はあったんだ」
そう言う赤髪の彼……アネットを見て、コーラルは頷く。
そしてにっと笑いながら、いった。
「ずぅっと俺の方見てたっしょ。
あの視線に気づかないやついないっすよぉ。
何なんすか?俺が槍使いなのが珍しかったンすかね」
「はは、正解だよー」
アネットはそういいながらコーラルの頭を撫でてやる。
わしゃわしゃっと撫でられてコーラルは首を竦めつつ、小さく息を吐き出した。
そして苦笑混じりに言う。
「あんまりわしゃわしゃしないでくださいっすよぉ」
そういうコーラル。
アネットは笑いつつ、いった。
「かわいい後輩が出来て嬉しいんだよ。おとなしく撫でられとけ」
そういって、アネットはにっと笑う。
コーラルはそれを聞いて"わかったっすよ"と肩を竦める。
そして、小さく笑いながら、いった。
「まぁ、いいっすけど。これからよろしく、センパイ」
「こっちこそ。な、今度俺と対戦してくれよな」
その槍で。
アネットはそういいつつコーラルの横にある槍を示す。
それを聞いて、コーラルも勝ち気に笑ったのだった。
―― 期待の新星… ――
(俺たちのなかでは珍しい槍使い。
なぁ、いつか戦ってみたいって俺の気持ちわかるだろ?)
(憧れて憧れて、ここまで来た。
俺だってそうそう簡単に負けるわけにはいかないっすから…覚悟しといてくださいよ、センパイ?)