クビツェクさんメインで未来篇なお話です。
クビツェクさんは将来くせ毛を直して大人っぽくなるので…
可愛いです←
*attention*
クビツェクさんメインのお話です
ヒトラーさん、フィアもちらっと
未来篇なお話です
ほのぼのなお話です
かっこよくなりたいクビツェクさん
フィアはちょっとビックリしそう
そしてヒトラーさんの反応がこうなら良いなと
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKと言うかたは追記からどうぞ!
鮮やかな青空が広がる。
小さく雀が囀ずる声で、クビツェクは目を覚ました。
んんっと伸びをして、ベッドから降りる。
そして、顔を洗いに向かった。
まだ、親友は夢の中だ。
まだ起こさなくてもいいような時間だし言いか、と思いながら彼は一人、洗面所に向かう。
顔を洗って、タオルで拭いた。
それから、鏡を見る。
そして、小さく息を吐き出しながら自分の紙を軽く摘まんだ。
亜麻色の、短い髪。
それは少し癖があって、跳ねている。
昔からの癖毛なのだが……これが、少し気になっていた。
幼い頃からそうだからなのか、跳ねた髪型がそう見せるのか、少し見た目も子供っぽく見える。
もう、大分成長したんだけどなぁ、と思いながら、彼は苦笑を漏らした。
毛先が外に跳ねる。
それを水につけた櫛で撫で付けるが、やはりそれだけではまっすぐにはならなくて。
「んー……」
そう悩む声をあげるクビツェク。
幾度か、仲間や友人にどうしたら良いだろうと相談したのだけれど、お前はそのままでいいだろうといわれた。
それもアイデンティティのひとつ、とでも言いたげに。
「ん……グストル、おはよう」
ちょうど、親友……ヒトラーが起きてきた。
珍しく自分で起きてきたな、と思いながらクビツェクは笑う。
「おはよう、アドルフ」
髪跳ねてるよ、といいながらクビツェクはヒトラーのウルフヘアをそっと撫で付ける。
彼の髪も癖毛だが、寝起きだと跳ねなくていいところが跳ねている。
クビツェクが幾度かそれを撫でてやれば、ある程度落ち着いた。
「これでよし……アドルフ、先に食堂いっててくれる?」
「え?」
顔を洗って多少目が覚めた様子のヒトラーはクビツェクの言葉に少し驚いた顔をする。
いつも二人は一緒に朝食をとっていたし、食堂にいく。
それなのに先に行けなんて言うから、心配そうな視線を向けられたほどだ。
「大丈夫だよ、アドルフ。ちょっと髪を整えたいだけだから」
そんなに心配そうな顔をしないで?
クビツェクがそういうと、ヒトラーは空色の瞳を幾度か瞬かせた。
それから"それならいいが……"と呟きながら、クビツェクの方を見る。
そして、小さく首をかしげながら、言った。
「そんなに、乱れているとは思わないが……」
「んー、まぁ、そうなんだけどね」
クビツェクはそう言いながら、曖昧に笑う。
ヒトラーは彼を見て目を細めつつ、"まぁ、グストルが良いようにすればいい"といって、先に部屋を出ていった。
「僕がいいように、か」
クビツェクはそう呟いて目を細める。
そして鏡をもう一度見た。
相変わらずに跳ねている髪。
見慣れた、癖毛の少年の姿。
このままでも、いい。
似合っている。
それは、わからないでもない。
けれど、せっかくなら……
「大人っぽく……格好よくなりたいよなぁ」
クビツェクはそう呟く。
そして、一度毛先を濡らし、まっすぐにしてみた。
やはり、その方がどこかしっくり来ると言うか……
"グストルがいいように……"
そんなヒトラーの声がよみがえる。
……彼も、少し大人っぽくなった。
綺麗な空色の瞳も長い黒髪も変わらなかったけれど、雰囲気が大人っぽく、素敵になった気がする。
……そんな彼に、似合いでありたかった。
きっと、そんな話をすれば彼もそのままでもいいと言うだろう。
けれど、クビツェクだって男だ。
殊更"好きな人"の前で、かっこよくありたい。
「……よし」
クビツェクはそう声を漏らす。
そして、何かを決意したような表情を浮かべたのだった。
***
それから、数日。
「久しぶりに帰ってきたな……」
亜麻色の髪にサファイアの瞳の青年騎士……フィアは城の前にたって、目を細めた。
彼は、暫く城を離れていた。
王女からの命令で、少し城下町を離れていたのだ。
そこでの任務が終わったために、戻ってきたのである。
ほんの数ヵ月だったが、ずっと此処で働いていたのだから、その空白は大きく感じる。
フィアは少し緊張したように息を吐き出すと、城のなかに入っていった。
見慣れた、城の景色。
戦闘訓練をしているノトの騎士たちを横目に中庭を横切っていくと、"あ、フィアさん!"と明るい声が聞こえた。
聞きなれた、他国の騎士の声だった。
彼に会うのも久しぶりだ。
彼の親友であり……恋人である一部隊長は、元気だろうか。
そう思いながら、フィアは顔をあげる。
「……あれ?」
その声の主を見たフィアは、少し驚いた声をあげた。
というのも、かけよってきた青年の姿が、記憶の中にあるものと少し違っていたからで。
「クビツェク、だよな?」
少し驚いた声をあげるフィア。
それを見て、クビツェクはクスクスと笑いながら、言った。
「ふふ、それ以外に誰がいると思う?」
そういって人懐っこく笑う姿は間違いなくクビツェクだ。
しかし、その姿は少し、違っていた。
「髪、どうしたんだ?」
「ん?ちょっと落ち着かせてみたんだ」
フィアの問いかけに答えながら、クビツェクは自分の髪に触れる。
そんな彼の髪は、大分落ち着いて、緩くカーブを描きつつ、肩に下がっていた。
前にあったときのような跳ね方は、していない。
「ずいぶん、スッキリしたな……誰かと思って驚いた」
そう言い出すフィア。
彼の言葉に、クビツェクは苦笑を漏らしながら、言った。
「僕ももう大人だよ?いつまでも、あんな子供っぽいままじゃあ、ね」
そういって、クビツェクは笑う。
柔らかな風が吹いて、彼の髪を揺らしていった。
フィアはそれを見て、目を細める。
そして、おずおずと彼の髪に触れた。
「なるほど……でも、大人っぽくて素敵だ」
ふ、と微笑みながらフィアが言うと、クビツェクは嬉しそうな顔をした。
そして、自分の紙を指先でいじりつつ、言う。
「アドルフも、そういってくれたんだ。大人っぽくて似合うって」
少し照れながらだけどね、といってクビツェクは微笑む。
その時のことは、今もはっきり覚えている。
クビツェクが髪を落ち着かせて戻ると、その姿を見て一瞬固まった。
彼の反応が一番気になっていたクビツェクは彼の反応を待って、じっと見つめる。
すると彼がプイとそっぽを向いた。
あれ、と思いながら彼の顔を覗き込んで……クビツェクは目を細めた。
ヒトラーの頬は少し赤く染まっていた。
どうしたの、アドルフ?と問えば、彼は視線をあげて、小さく呟くように言った。
―― すごく大人っぽくなっててびっくりした。
それと同時に、照れたらしい。
友人、という見方が強かったのが少し、"恋人"としての見え方が、強くなったのだろう。
もっとも、それを口に出しはしなかったのだけれど。
頬を赤くしているヒトラーを見て、クビツェクは楽しそうに笑ったのだった。
フィアはそんなクビツェクの話を聞いて笑って、いった。
「ヒトラー様はさぞ驚いたでしょうね」
「ふふ、驚いてたよ。
でも、似合うっていってくれて嬉しかった」
クビツェクはそういってから、フィアを見る。
そして目を細めながら、いった。
「フィアさんは髪が伸びたね」
そう。
クビツェクがよく知るフィアはショートカットのよく似合う"少女"だったのだが、今の彼は少し髪を伸ばしている。
切る暇がなくて放置した、という風ではなかった。
「……どこぞの従兄の趣味だ」
伸ばせとうるさいから、といいながらフィアはプイとそっぽを向く。
そんな彼の行動と赤い頬は、雰囲気を変えてきた自分を見たヒトラーの反応とよくにていて、クビツェクはおかしそうに笑ったのだった。
―― その理由は… ――
(身綺麗にしたい理由、かっこよくしたい理由。
それは、ひとつに決まっているでしょう?)
(大事な人に似合うっていってもらえると嬉しい。
僕だって、いつまでも子供じゃないんだよ、アドルフ)