ワルキューレコンビ&クヴィルンハイムさん&ペルのお話です。
こういうほのぼのなお話いいなぁと思いまして…←
*attention*
ワルキューレコンビ&クヴィルンハイムさん&ペルのお話です
ほのぼのなお話です
もしかしたらギャグ
大佐殿とヘフテンさんのやり取りを書きたくて…
そして正座でお説教される二人←
ペルにゃはクヴィルンハイムさんにも絡んでほしい←←
そして呼びにくそうにしてるペルに名前呼びOKしてくれるクヴィルンハイムさんであってほしい←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
静かな図書館。
そこでぱらりぱらりと本のページを捲っているのは黒髪の少年。
隻眼の彼……クラウスはひとり、黙々と書物を捲っていた。
珍しいその姿に周囲にいる騎士たちは少し驚いた表情。
一体どうしたのだろうと、仲間と顔を見合わせるのだった。
と、その時。
「たーいさ!」
彼に声をかけたのは、金髪の少年。
その声に少し驚いたように、クラウスは顔を上げる。
そして目を細めた。
「ヘフテン……あまり大きな声を出すな」
此処は図書館だぞ、とクラウスはいう。
ヘフテンは舌をちらりと出して"すみません"と詫びながら、言った。
「大佐が図書館にいるとは思いませんでしたよ」
その言葉にクラウスは瞬きをする。
きょとんした表情をうかべつつ、首を傾げた。
「そうか?」
割と本は読むんだがな、と呟くように言うクラウス。
それを聞いてヘフテンは微笑みながら、言った。
「いつも本読んでるにしても食堂とか自分のお部屋にいらっしゃるでしょう?」
だから図書館にいるとは思わなかったんですよ、とヘフテンはいう。
さっきからクラウスを探していたらしいのだが、図書館にいるとは思わなかったようで、探すのに苦労したようだ。
クラウスはヘフテンの言葉に少し考える顔をした後、言った。
「まぁ、そうかもしれないが……」
「しかも見てるの、ごはんのレシピ本じゃないですか。
ペルさんのためですか?」
そういって笑うヘフテン。
クラウスは自分が視線を向けていた本に視線を落として頬を赤く染めた。
そして視線を彷徨わせながら、言う。
「あ、あぁ……一応兄さんもケーキだのクッキーだのに入れようとしてるみたいだが……
やっぱり、そのうち普通の人参でもおとなしく食べられるようになった方が良いだろう」
そう。
クラウスが読んでいたのは料理本。
それも、野菜料理のページだった。
それは、弟……ペルのため。
彼は野菜の好き嫌いが激しい。
殊更人参が大嫌いで、いつも食べさせるのに一苦労するのだった。
無理矢理食べさせることはしたくない。
しかし、かといって食べなくていいとは言えなくて……
どうにか食べさせられるように良いレシピを探しているのだった。
ヘフテンは彼の言葉に小さく笑う。
そして、彼をからかう表情で言った。
「でも大佐はほんとにペルさんに対してはブラコンですよねぇ……
お兄さんたちのこと、笑えませんよ」
クラウスはいつも自分の兄たちのブラコンさに困っているという。
しかし、彼のペルに対する振る舞いその他を見ていると、どう考えても彼も似たり寄ったりだ。
クラウスはヘフテンの言葉に眉を寄せる。
そして、溜息まじりに言った。
「シュヴァイツァーにも言われたぞ、それ……
でも、私はあくまで可愛い弟の成長の様子を見守りたいだけでだな」
「うーん……お兄さんというか、お父さんっぽい?」
そういって首を傾げるヘフテン。
クラウスはがくり、と肩を落としつつ、言った。
「それもシュヴァイツァーに言われた……」
やれやれ、という表情のクラウス。
そんな彼を見て、ヘフテンは楽しそうに笑った。
「あはは、思うことはみんな同じってことですね!」
おかしそうに笑い続ける彼。
それが気に食わなかったようで、クラウスは眉を寄せつつ、言った。
「……ヘフテンよりはましだって言われたがな」
「え?僕?」
クラウスの反撃にヘフテンはきょとんとする。
彼を見て、ここぞとばかりにクラウスは反撃した。
「私の食事姿を想像して鼻血を出すようなお前よりはマシだ、と」
彼の言葉にヘフテンは固まり、大きく目を見開く。
それから、心外だと言わんばかりに言った。
「そんなことを!?失礼な……」
酷いです!というヘフテン。
クラウスは事実だろうが、というように鼻を鳴らす。
ヘフテンはそんな彼を見て頬を膨らませつつ、叫ぶように言った。
「でもそれは僕は悪くないですよ!大佐が色っぽいのが悪いんです!」
堂々とそんなことを叫ぶ彼に、今度はクラウスが焦った。
目を見開いて、わたわたしながら、言った。
「!?ちょ、ヘフテン……っ」
「だってそうでしょう?
別に何も思ってないのに普通にふるまってるだけで色っぽいってどういうことなんですか?!
そもそもの話僕だけの話じゃないんですよ大佐!
僕は大佐のことが大好きだから一層強くその影響受けちゃうっていうか……」
何かスイッチが入ってしまったようで、ヘフテンの口は止まらない。
完全に周囲の視線を集めていた。
クラウスは頬を真っ赤に染めて彼を止めようとする。
「わ、わかった、わかったからヘフテン……っ」
「事実ですよ大佐!
この際だから言わせてもらっちゃいますけど!!」
ヘフテンはばん、と机をたたく。
……もう、止められそうにない。
「大佐は普通に食事してるだけでもいろっぽいんです!
もっというなら、溜息ついてる姿だって……
そもそも普通に座ってるだけで十分に色っぽいっていうか……
僕としてはそんな姿を至って普通に晒されてることがすでに気が気じゃないんですからね!
大体大佐は……」
「もういい良いから黙ってくれヘフテン!!」
クラウスが羞恥でそう叫んだ、その時。
二人の頭を何かがひっぱたいた。
痛みに頭を抱える彼らの耳に、声が響いた。
「黙るのは貴方もですよクラウス!」
聞こえた声にクラウスは顔を上げる。
そこにいたのは二人の友人でもあるクヴィルンハイムだった。
怒った顔をして二人を見下ろしている。
その手には書類を入れるファイル。
どうやら、それで二人をひっぱたいたらしい。
「っ!?メルツ!?」
驚いた声を上げるクラウスと、隣で呻いているヘフテン(心なしかクラウスより強く叩かれていた)の腕をつかむクヴィルンハイム。
彼は言い訳無用、といわんばかりに言った。
「良いから二人ともこっち来なさい!」
***
そうして図書館から連れ出された二人は廊下に正座させられた。
そしてそのまま、クヴィルンハイムの説教に突入である。
「白昼堂々なんて話をしてるんですか!
まったく……クラウスはペルさんも一緒に居たのわかっているでしょう、聞こえたらどうするつもりだったんですか!?
そうでなくても幼い騎士もたくさんいるのに……!」
そう。
クラウスは、ペルと一緒に図書館に来ていた。
ペルはペルで自分の好きな本を探しに行っていたのだけれど……
そんな状態なのにあんな話をして、とクヴィルンハイムは怒っている。
教育上よろしくない、と。
「す、すまない、でもヘフテンが……」
そう言い訳をするクラウス。
あくまで自分は悪くない、という彼にヘフテンが恨みがましげな視線を向ける。
しかし、クヴィルンハイムはそんな彼にぴしゃりと一喝した。
「止めなかったクラウスもクラウスでしょうが!
そもそも二人ともせめて場所をわきまえなさい!
何で静かにすべき図書館で大騒ぎしてるんですか!」
そう説教する彼。
その言葉にヘフテンはおずおずといった。
「じゃ、じゃあ、あの、えっと……廊下で説教するのは……」
如何なものでしょうか、といいながらヘフテンはちらと周囲に視線を向ける。
先程から廊下で正座をさせられている二人を見て、周囲は困惑した表情だ。
挙句、ヘフテンはともかくクラウスが正座をさせられている光景など珍しくて……――
出来れば、せめて部屋にしてほしい。
そんな意味を込めたヘフテンの言葉にクヴィルンハイムは眉を寄せ、首を傾げた。
「何か?」
「う……」
何でもないです、とヘフテンはいう。
自分たちが悪いのは知っている、と言いたげな彼。
クヴィルンハイムが溜息を吐き出した、その時。
「クラウス兄さん、ヘフテン?」
聞こえた声。
それにクラウスは顔を上げ、目を丸くする。
「あ、ペル……」
そう。
そこにいたのは、クラウスの弟……ペルで。
廊下に座らされている兄とその副官を見て困惑した表情をうかべている。
「な、なんで、セイザ、してるの……?」
「え?あぁ、……ちょっと彼らが悪いことをしたのでお説教を」
クヴィルンハイムはにこりと微笑みながら、言う。
彼に非はない。
彼に怒った声を上げるつもりはなかった。
ペルは彼の言葉を聞いて瞬きをする。
そしてそろそろ足がしびれてきている様子の二人を見つつ、呟く。
「悪いこと……?」
一体何をしたのだろう、といわんばかりの表情。
ともあれ、だ。
「でも、クヴィ、……クヴィル、はい……うぅ」
クヴィルンハイム、と彼の名前を呼ぶことが出来ないらしい。
そんな彼はちら、とクヴィルンハイムの様子を窺いながら、ペルはいう。
「メルツ……」
悩んだ末に、兄と同じ呼び方をすることにしたらしい。
それでもいい?と訊ねる表情のペル。
クヴィルンハイムはそんな彼の様子に微笑みながら、頷いた。
そんな彼の様子にほっとした表情を浮かべるペル。
そして彼はクヴィルンハイムに言った。
「メルツ……クラウス兄さん、足、あんまりそうしてたら、痛い……」
「勿論わかってますよ。
彼は一応私の大事な友達ですから」
クラウスが怪我の所為であちこち悪くしているのは知っている。
クヴィルンハイムは小さく息を吐き出したのだった。
「ペルさんに免じて此処で終わりにしますが……私が言いたいことはわかりますね、二人とも」
「う、はい」
「わ、わかった」
ヘフテンもクラウスもうなずく。
やれやれ、という表情を浮かべたクヴィルンハイムは"じゃあ私は仕事に戻ります"といって帰っていった。
「はぁ……」
「助かった……」
「何したの、二人とも……」
不思議そうな顔をするペル。
クラウスは"何でもないよ"といいながら、ペルの頭を撫でる。
「そう?」
ならいいんだけど、というペル。
ヘフテンもへらりと笑って"ペルさんのおかげで助かりましたよ"と笑っている。
「はぁ……」
「とりあえず、食堂に行って食事にしようか」
そういって笑うヘフテン。
ペルもまだ今一つ納得できないというような表情をしつつ、言った。
―― Play with… ――
(あれはきっとちょっとしたじゃれあい。
それは、おそらくメルツもわかっているとは思うんだけど…)
(勿論わかっていますとも。
でも話している内容が問題なんですよまったく…)