唐突に思いついたネタでのジェイドのIFネタ話デス。
シリアス通り越して死ネタです。
たまにジェイドはこういう虐め方をしたくなる←
でもこの状況がないと言い切れないからあれです。
ジェイドはぶっちゃけ、こういう事態に陥りうるというかなんというか…
好きでもない相手と結婚させられる、っていうのはアリですからねうん(笑)
ただ、思うより精神的に強い人ではないのでこういう状況になったら…
…案外自分で死を選ぶんじゃないかなぁ、とか。
相手の女性にも失礼だし、とか思いながらね(^q^)
ま、パロですけどね!!
ジェイドは基本幸せにしてあげたいんです、恋人と幸せにしててほしいんです!!
…ともあれ謎テンションですが追記からどうぞ!
目を覚まして、窓の外を見る。
うつくしい青空が広がっている。
いつもは緑の木々が茂る、この街。
しかし冬だと、どうにも枯れ木のような葉の落ちた木ばかりが目立ってしまう。
其の景色を見つめたジェイドは小さく息を吐き出した。
白い手で窓に触れる。
血色の悪い、手。
細い指先。
この手を握ってくれる人は、いない。
隣で寝ていた"妻"はすでに起きている。
おそらく、キッチンに居るだろう。
そして、自分を起こしに来るだろう。
もうすぐ仕事だ、と。
そんな日が始まってから、もうすでに数か月だ。
一応、円満な"夫婦生活"を送っているつもりだった。
……否。
つもりというよりは、外にはそう振舞っていたというか。
父が勝手に纏めた縁談。
ジェイドは相手の顔も何も知らぬままに、無理矢理結婚させられた。
「笑って、しまいますよね」
彼はそう呟いて自嘲気味に笑う。
固く拳を握れば爪が脆くなった皮膚に突き刺さって、血が流れた。
政略結婚。
愛のない結婚。
それって普通、強制されるのは女性の方だと思っていた。
だから、ジェイドはリンのことを心配していた。
しかし……
実際、ふたを開けてみれば自分の方だった。
本人の感情は抜きに、結婚を纏められて。
無論、ジェイドだって抵抗した。
嫌だ、と。
自分には決めた相手がいるのだ、と。
しかし全て無駄だった。
無駄な、ことだった。
拒否権なんてなくて……――
ジェイドは小さく溜息を吐き出す。
そして目を伏せながら、思った。
この結婚の決め手になったものは何だったのだろう。
もっというなら、"彼女"が自分を選んだ理由は何?
容姿の美しさ?
家柄?
それとも優秀な医療技術か、優秀な騎士であるという経歴か。
……いずれにせよ、"自分"のことを好いた訳ではないのだろう。
……別にそれでもかまわないと思っていた。
愛してほしいなんて、思ってなかった。
家のために、父親の糧となれば良い。
家を守るためだけに生きれば良い。
そんな人形で良いと思っていた。
でも、それはもう違う。
違うというのに……
望んだのは、こんな婚礼ではなかった。
この腕に抱きたかったのは、この人ではない。
守りたい人がいた。
傍で笑っていたい人がいた。
それなのに……
ジェイドはベッドに座り直す。
そしてポケットから何かを取り出した。
それは、青い小瓶。
正式に言えば小瓶に入った青い液体。
それを見つめながら、ジェイドは目を細めた。
騎士団をやめた時、これは王女に返すつもりだった。
これは、王女に託された"研究"だから。
返しに行った。
しかし、彼女はジェイドにその小瓶を託したままだった。
―― 貴方との繋がりを切りたくないの。
ディナは悲しげにそういっていた。
赤と緑の瞳に涙が滲み、溢れていった。
唐突に騎士団をやめることになった。
その時、幼い騎士たちは必死に引き留めてきた。
でも、その手もふり払わざるを得なかった。
友人と離れ離れになった。
自分が仕えるべき人との絆も失った。
部下との絆も失った。
……愛しい人のことも、失った。
そうして、自分に残ったものは?
そう考えた時何一つとして、頭に浮かぶものはなかった。
家族との絆は守れた?
守れた、かもしれない。
けれど……
「それに対する対価が、大きすぎた……」
ジェイドは力なくそう呟く。
そして、自嘲気味な笑みを浮かべて、ふっと息を吐き出した。
寂しそうな部下たちの瞳が忘れられない。
悲しげな恋人の瞳が忘れられない。
彼らだって、知っていたはずだ。
自分が結婚しても幸せにならないことは。
知っていた。
知っていたけど、口出しなんて出来るはずがなくて……
ジェイドは何度目になるかわからない溜息を吐き出す。
それから、ベッドに座った。
そして、青の小瓶を開ける。
香りのない液体。
しかしそれは微かに甘い香りがする気がした。
魅惑の、禁断の、……死の匂い。
あと少し、あと少しできっと"彼女"が、呼びに来る。
だから、実行するなら今だった。
父は、自分を恨むだろうか。
母は、自分の死を悼んでくれるだろうか。
妹は、泣いてしまうだろうか。
……"妻"は、何を思うだろうか。
色々なことが頭を巡る。
けれどもう、迷いはなかった。
小瓶の中身を一息に呷る。
思ったより、苦しくない。
静かに静かに、意識が消えていく。
頭に浮かんだのは懐かしい景色。
まだ城を離れてからそんなに経っていないのに"懐かしい"と感じた。
大切な友人。
可愛い部下。
……愛しい人。
魂だけになったなら、自分は彼らの傍に居られるだろうか。
どんなしがらみに囚われることもなく?
そんなことを思いつつ、美しい緑髪の魔術医は、最期の息を吐き出す……――
―― 紺碧に沈む ――
(全てを終わりにしたかった
ただの人形としてこれから先の未来を歩むことは出来なかった)
(例え地獄に堕ちても構わない。
けれどどうか、最期に愛しい人に別れと懺悔の言葉を告げさせて)
2015-3-10 01:05