ワルキューレコンビ&ペルのお話です。
映画の「ワルキューレ」の中でのヘフテンさんの待ち方が可愛い、ということで…
ペルとヘフテンさんの可愛さに悶える大佐殿も可愛いと思うのです←
*attention*
ワルキューレコンビ&ペルのお話です
ほのぼのなお話です
大佐殿を待つペルとヘフテンさん
そして相変わらず人参苦手なペル
大佐殿はペルに甘かったらいいと思う←おい
大佐殿を待つヘフテンさんの癖が移るペル
そしてその様子を見て悶える大佐殿ならいいなって
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
穏やかな朝。
賑やかな食堂で朝食をとる、クラウス、ヘフテン、ペル。
彼らは楽しそうに話をしながら、賑やかな朝食をとっていた。
「こらペル、人参を残すな」
スープの中に入っている人参をこっそり避けている弟にクラウスはいう。
それをしれっとヘフテンの方へよこそうとしていた彼はぴたりと動きを止めて、頬を膨らませる。
「……人参いや」
「嫌でも食べないと。
風邪ひいちゃいますよー?」
ちゃんとお野菜食べないと、とヘフテンはいう。
自分が人参を食べさせられるのは、まぁ別にかまわないのだけれど、ペルの身体によくない。
好き嫌いは駄目だと彼はいう。
その言葉にペルはむぅ、と唇を尖らせる。
一応ヘフテンの方へよこしかけていた人参は自分の皿に戻したけれど、相変わらずそれを口に運ぼうとはしない。
スプーンでコロコロと人参を転がす彼を見て、クラウスは小さく溜息を吐き出した。
そして、彼の皿の中に残っている人参を自分のスプーンで掬いあげた。
そんな彼を見てペルはぱぁっと顔を輝かせる。
クラウスが食べてくれるのかな、と思ったらしい。
何だかんだでクラウスはペルに甘い。
だから、何だかんだで甘やかしてくれるかな、と思ったのだけれど……――
「はい、口開ける」
「ん……んぅ」
口の中に放り込まれる人参。
ペルは反射的にそれを食べてしまう。
口に入れられた以上吐き出すことは出来ず、もくもくと人参を咀嚼して、飲み込む。
「う、ぅ……」
しょぼんとした顔をするペル。
クラウスはそんな彼を見て苦笑すると、ぽんぽんと頭を撫でた。
「ちゃんと食べて偉いな。
とりあえず、今日はこれで良いよ」
残りは私が食べるから、とクラウスはいう。
ペルはそんな彼の言葉に嬉しそうな顔をする。
クラウスがちょいちょいと人参を回収して口に運ぶと、ペルは"ありがと、クラウス兄さん"といった。
やれやれ、という表情を浮かべつつ、クラウスは言った。
「ちゃんと食べないと駄目だぞ。
嫌いなのはわかるけれど……体に悪いんだからな」
「うー……なるべく、頑張る……」
項垂れるペル。
ヘフテンはそんな彼の頭を優しく撫でてやりながら、言った。
「ペルさんはいい子ですからちゃんと食べられますよね?」
「……頑張る」
こくり、と頷くペル。
そんな彼を見てヘフテンもクラウスも優しく彼の頭を撫でたのだった。
***
朝食の後……
三人は会議室の前にいた。
「じゃあ、ヘフテンはペルと待っていてくれ。
会議が終わったら、そのあとの仕事の確認をするから」
そういうクラウス。
ヘフテンは"了解です"と微笑んで、頷く。
ペルも彼の言葉に小さく頷いた。
「わかった、待ってる……」
「頼むな?」
そういって微笑むと、クラウスは会議室に入っていく。
ペルとヘフテンはそんな彼に"いってらっしゃい"と見送ってから、傍のベンチに腰掛けた。
そしてふぅっと息を吐き出す。
「じゃあ、一緒に待ってましょうか、ペルさん」
「うん……」
待ってる、といって小さく頷くペル。
ヘフテンはそんな彼の頭を撫でて、微笑む。
「ペルさんは遊びに行っちゃってても良いんですよ?
大佐が帰ってきたら僕たちが探しに行きますし」
此処で待つのは退屈でしょう?とヘフテンはいう。
ペルはそんな彼の言葉に小さく首を傾げる。
「ヘフテンは、いつも此処で待ってる、の?」
そう訊ねるペル。
ヘフテンは幾度か瞬きをした後、言った。
「そうですね、僕は大体此処で待ってますね。
仕事がたくさんあれば先に戻ってお仕事片付けたりはしてますけど……」
「そう、か……
じゃあ、僕も一緒に待つ……ヘフテンと、待ってる」
そういってペルははにかんだ表情を浮かべた。
いつもヘフテンはそうして待っているという。
だったら、自分も彼と同じように兄の帰りを待っていたい、と彼はいう。
それを聞いて、ヘフテンは穏やかな表情を浮かべる。
「そうですか、じゃあ一緒に待ってましょうか」
そんなに遅くならないでしょうし、とヘフテンはいう。
ペルは彼の言葉に穏やかな表情を浮かべて頷いたのだった。
***
それから暫く、クラウスは会議に参加していた。
いつも通りのやり取り。
話を聞いて、発言をして……
退屈、といえば退屈だけれどこれも仕事だ。
―― ペルはおとなしく待っているだろうか?
そう思いながらクラウスはちらとドアの方へ視線を向ける。
ああしてペルをヘフテンと待たせるのは最近いつものことではあるのだけれど、毎度心配というか、気にかかる。
ペルが良い子に待っていることは予想できているのだが、退屈していないかが心配だった。
と、その時。
小さな咳ばらいが近くで聞こえてクラウスははっとする。
視線をそちらへ向ければ皆が片づけをしている。
「挨拶をして終わりにしたいんだが?」
そういうのカイテルだ。
クラウスは気まり悪そうな顔をして、言った。
「も、申し訳ありません」
そのまま挨拶をして解散になる会議。
ドアが開いて、クラウスはほっとする。
そのまま外に出ていこうとして……クラウスの足が止まった。
そのままくるりと後ろを向いてしまう。
そんな彼の様子を見て、周囲はきょとんとした顔をした。
しかし廊下に視線を向けた一同は納得した顔をした。
それから、各々呆れたような顔をしたり苦笑を漏らしたりだ。
「あぁ、また大佐の発作か」
やれやれ、と呟くカイテル。
そんな彼はちらと廊下のソファに腰かけている二人を見た。
つややかな金髪の少年と、長い黒髪の少年。
彼らは、二人そろってまったく同じ体勢で座っていた。
クラウスが帰ってくるのを待っている様子の彼。
それを見て、クラウスは固まっている。
というか、もはや悶えている。
"何だ、あの可愛い生き物"とでも言わんばかりの表情だ。
「あれ?大佐?」
「クラウスにいさ、会議、終わったの?」
気づけば二人が彼の方へ来ていた。
クラウスははっとして体を起こすと、小さく咳払い。
「あ、あぁ、終わった……
待たせてすまなかったな」
「どうした、の?」
きょん、と首を傾げるペル。
クラウスはヘフテンとペルがまったく同じ体勢で座っていたのを思い出して、ふるふると首を振った。
「いいや、何でもない……さ、部屋に戻ろう」
「?変な大佐ー」
ね、とペルと顔を見合わせて笑うヘフテン。
ペルも不思議そうに頷いている。
そんな彼らの様子を見て、再びくらりとなりつつ、クラウスは二人の背を押して自室に向かったのだった。
―― Cute boys ――
(可愛い副官と、可愛い弟。
そんな彼らがまったく同じ様子で座っている姿はあまりに可愛くて)
(普段クールで冷静な少年。
しかしどうにも、彼らを見た時の様子はいつもと違うよな)