大佐殿とペルのお話です。
ペルのお兄ちゃんだ、ってどやっとする大佐殿が可愛いなぁと思いまして…(^q^)
こういう兄弟の絡みって好きです…♪←
*attention*
大佐殿とペルのお話です
本家Laurentia!(学パロ)設定のお話です
ほのぼのなお話です
ペルを迎えに行く大佐殿
ペルのお兄ちゃんだ、って宣言する大佐殿が書きたくて←
大佐殿が兄であることをペルも喜んでると思います
心配性なお兄ちゃん萌えます
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
少し冷え込む、冬のグラウンド。
その隅から、体育の様子を見つめる隻眼の少年……クラウス。
彼は片腕、片目を失っているため、体育は全て見学の扱い。
今日は、外での体育の授業。
しっかりと上着を着込んだ状態で、彼は授業を見学しているのだった。
と、その時。
ポケットの中に忍ばせておいた携帯が、小さく震えた。
今日は、何だか朝から弟……ペルのようすがおかしかった。
体調でも悪いのかと声をかけたのだが、何でもないといって普通に学校に行った。
もしかしたら……
そう思って、携帯を持っていたのである。
「……やっぱり、か」
携帯の画面をちらとみたクラウスは小さく呟いた。
そして視線を一度グラウンドに向けると、そっと離れていく。
後から体育倉庫の片づけをしておくように言われていた。
それに行ったと、先生は思うことだろう。
そう思いながら、彼は裏門から学校を抜け出した。
そこで改めて携帯を見る。
そこに表示されたのは、ペルからのメール。
熱があって帰れと言われた、迎えに来てくれる?という短く簡潔なメールだった。
「だから言ったのに……まったく」
呆れというよりは心配の色を濃く灯した声でそう呟くと、
クラウスは"今から行く"と返事を返した。
そして早足でペルの学校を目指したのだった。
***
授業中故に、ペルの学校はしんと静まり返っている。
中等部の校舎に入ったことはない。
彼はペルが居るであろう保健室を目指した。
「此処、だな」
クラウスは小さく呟く。
そして軽くドアをノックしてから、ドアを開けた。
「失礼します……」
中に入ると、ベッドに腰掛けているペルと目が合った。
黒の瞳がぱちぱちと瞬く。
「あ……クラウス兄さん……」
力なくそう呼ぶペルの声。
彼の頬は心なしか赤く、朝見た時よりも体調が悪そうだ。
クラウスは心配そうな顔をしつつ、彼の方へ歩み寄った。
「大丈夫か、ペル」
「うん……」
小さく頷くペル。
クラウスはそうか、と小さく呟きながら、優しくペルの頭を撫でてやる。
「あら、ペル君の保護者さん……でいいのかしら」
養護教諭がクラウスに気づいて声をかけてきた。
見るからに学生の、クラウス。
ペルには保護者を呼べ、といったのだが……
そう言いたげに困惑している教師。
クラウスはペルの頭を優しく撫でてやりながら、教師に応えた。
「兄です、ペルの」
きっぱりとそういってのけるクラウス。
その言葉と表情に、ペルは嬉しそうな顔をした。
そしてぎゅっとクラウスの服を掴む。
「あら、そうだったの。
良かったわね、ペル君……
誰もお迎えに来られないようなら送っていこうと思っていたの」
そういう教師。
クラウスは"お手数おかけしました"と彼女に挨拶をして、ペルの手を取り、立ち上がった。
そのまま、外に出て行く。
「大丈夫か、ペル」
一緒に歩きながら、クラウスはペルに問いかける。
しっかりと手をつないでやっているが、その足取りはふらついている。
繋いだ手も、やはり熱い。
抱いてやるなり負ぶってやるなりできれば良いのだが、
クラウスではそれは難しい。
すまないな、と思った。
「うん……歩けないほど辛いわけじゃ、ない……
一人で帰ると危ないから、誰か呼べるかって言われた……」
ペルはそう答える。
そして、クラウスを見上げながら、すまなそうな顔をした。
「ごめん、ね……クラウス兄さん、学校……」
「いや、いいんだ。
今はちょうど体育の時間で……私はどうせ受けないんだから」
そういって微笑みながら、クラウスはペルを連れて帰る。
繋いだ手が離れることが無いように、しっかりと握ってやりながら。
小さく咳き込むペル。
その姿を見て、クラウスは心配そうな顔をした。
「寒いか、ペル……
上着、貸そうか」
クラウスはそういいつつ、体操着の上に着ている上着を脱ごうとする。
しかしペルはそれを止めた。
「平気……それ脱いだら、クラウス兄さんが寒い……
それに、僕はコートも着てるし、平気」
大丈夫だよ、とペルはいう。
クラウスはその言葉に"そうか"と小さく呟いた。
そして優しくペルの頭を撫でてやった。
「なら、早く帰ろう。
暖かくして休まないといけないな」
クラウスはそういいながらそっとペルの手を握り直す。
そして彼が歩くのに辛くないだろうかと歩幅を調整しながら歩いていく。
家までそこまで遠くないのがせめてもの救いだと思いながら。
***
そうしてクラウスはペルを連れて家に帰った。
彼に手を洗わせて、部屋着に着替えさせる。
そしてきちんと暖かい格好をさせると、ベッドに入らせた。
熱は高熱というほどではないが、うつらうつらしているあたり、やはり多少は体も辛いのだろう。
彼のベッドのサイドテーブルにスポーツドリンクのボトルを置いた。
そして、そっと彼の頭を撫でてやった。
「すまないな、一緒に居てやれなくて」
クラウスはあくまで体育の時間に少し抜けてきただけ。
他の授業は受けなくてはならない。
だから、もう学校に戻らなければならないからだ。
「大丈夫……ごめんね、学校……」
戻るのも大変なのに、とペルはいう。
クラウスはそれを聞いてふっと笑みを浮かべると、そっと首を振った。
そして、優しく彼の頭を撫でてやりながら、言う。
「気にしなくていい。
でも、あまり無理をしてはいけないぞ……
辛かったなら、朝からちゃんと休まないと」
辛くなるだろう?とクラウスはいう。
ペルはその言葉に苦笑を洩らすと、小さく頷いた。
そして、布団に潜る。
クラウスはそんな彼の体に優しく毛布を掛けてやりながら、言った。
「ちゃんと暖かくして休んでいてくれ。
何かあったらメールしてくれ。
今日は、なるべく早く帰るようにするからな」
そういいながらクラウスは優しくペルの手を握ってやる。
ペルはその手を握り返しながら、黒の瞳を細めつつ、頷いた。
「うん……ありがと、クラウス兄さん……」
そういうペルの頬は赤い。
呼吸は少し浅くて、辛そうだ。
クラウスはそんな彼の頭を優しく撫でながら、小さく呟くように言った。
「他に必要なものはあったかな……
あ、何か果物とか食べたければ帰りに買ってくるが」
そういう彼。
ペルはそんな兄を見てくすり、と笑うと、言った。
「ありがと……大丈夫、だよ。
ごめんね、クラウス兄さん……
そろそろ戻らないと、学校遅れちゃう……よ」
ペルはそういう。
クラウスはそれを聞いてはっとしたように時計を見た。
それから、少し慌てたように立ち上がる。
「そ、そうだな……
そろそろ帰らなければならないな……」
すまない、と言いながら、クラウスはペルの頭を優しく撫でた。
そして、彼をおいて学校に戻っていった。
家を出てから、後ろへ振り向く。
そして、小さく息を吐き出した。
本当は傍に居てやりたい。
けれど、そういうわけにも行かない……――
「……なるべく早く家に帰ろう」
クラウスはそう呟くと、急ぎ足で学校へ戻っていったのだった。
―― Your my brother ――
(そうだよ、彼は僕の大切なお兄ちゃん。
僕をいつでも守って、優しくしてくれるんだ…)
(大事な弟だから、体調を崩したと聞いて気が気じゃなかった。
なるべく早く帰るようにするからな…)