リレー設定でのシュタウフェンベルク四兄弟のお話です。
一緒に故郷に帰る四人を書きたくて…
シュヴァイツァーさんも書きたかったのでした←
*attention*
シュタウフェンベルク四兄弟のお話です
ほのぼのなお話です
シュヴァイツァーさんもちらっと
メインはペルと大佐殿
ペルは空を見上げるのが好きな子なので…
こうして四人で一緒に居るの、楽しそうだなと
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
がたごとと揺れる、大きな馬車。
その座席に腰掛ける四人の少年たち……
彼らが向かうのは、彼ら自身の屋敷。
いつもは三人だったこの座席に、人数が増えていた。
長い黒髪の少年……ペル
彼は嬉しそうな表情を浮かべていた。
彼が一緒に馬車に乗っているのはシュタウフェンベルク家の三兄弟。
彼らはペルを可愛がっている。
それこそ、本当の兄弟のように。
だからこそ、今日は彼も連れて此処……
カルフィナの彼の屋敷にやってきたのだった。
馬車が止まる。
馬の嘶きから少しして、馬車のドアが開いた。
「どうぞ、着きましたよ」
そういってドアを開けたのは、シュタウフェンベルク家の運転手……シュヴァイツァー。
一番外側に座っていたベルトルトとアレクサンダーが先に降りる。
そして、片腕と片目を失くしている弟と、一番背が低い"弟"に手を差し伸べた。
「クラウス、気を付けて降りてね」
「ペルもな」
兄二人は弟たちの手助けをする。
クラウスは"ありがとう"と言いながら馬車を降り、
ペルは半ばアレクサンダーに抱きかかえられるように降りた。
以前馬車から降りた時に思ったより高さがあったようで落ちたのが原因だ。
そうして四人とも馬車から降りると、ぐっと伸びをした。
そしてベルトルトが目を細めつつ、言う。
「久しぶりに帰ってきたね」
「そうだなぁ……
兄弟そろってってのは久しぶりだ」
アレクサンダーは双子の片割れに同意してから、にっと笑ってペルを見る。
そんな彼の視線に、ペルは幾度か瞬きをした。
それから、小さく呟く。
「兄弟……」
「勿論、ペルもだよ」
そういって、ベルトルトもにっこりと微笑んだ。
クラウスもその言葉にこくりと頷く。
ペルは彼の言葉にふわりと笑みを浮かべた。
そして嬉しそうに言った。
「!ありがと……」
嬉しい、というペルは頬を赤く染めている。
どうやら、照れているらしい。
そんな彼を見てにっこりと微笑んでから、ベルトルトは視線をシュヴァイツァーに向けた。
「シュヴァイツァーも、迎えありがとう。
イリュジアからカルフィナまで帰るには時間がかかるから」
四人で移動となると大変だし、とベルトルトはいう。
そんなベルトルトの言葉にペルも顔をあげる。
そして、呟くように言った。
「空間移動使ってもいい、けど……
四人一緒に空間移動術は、使えない……」
ペルは空間移動術が得意だ。
しかし、流石に兄達三人を連れて空間移動術を使うだけの魔力も体力もない。
一緒に帰ろうと思ったら、馬車に頼るしかないわけだった。
彼ら兄弟の言葉にシュヴァイツァーはにこやかに言った。
「でしょうね。
まぁ、そういう時のために私が居るわけですから」
「それは、確かにそうだな」
クラウスが小さく頷く。
運転手が馬車を運転するのは当たり前か、と思いながら少しおかしくなる。
彼は住み込みでシュタウフェンベルク家の手伝いをしている。
運転手、というよりは家政婦、という風になっている彼が、
まともに"運転手"らしい仕事をしているのは久しぶりだな、と思ったのだった。
「ま、ともあれ久々の我が家に帰ってきたところで……
夕食にしようか、準備しないとね」
ベルトルトはそういう。
そんな彼の発言に、クラウスはふっと微笑んで、言った。
「ありがとう、ベルトルト兄さん」
「手伝う……?」
ペルがちょこり、と首を傾げて訊ねる。
その言葉に少し悩んでから、ベルトルトは小さく首を振って、言う。
「ありがとうペル、良いよ。
ペルはクラウスと荷解きしてて」
クラウス一人じゃ大変だろうし、とベルトルトはいう。
今回は少し長めに大罪する事になっているため、少し荷物があるのだった。
それを部屋まで運ばなければならない。
「わかった……いこ、シュタウフェンベルク」
ペルはそういいながら、クラウスの荷物を持った。
少し重かったようでふらつく。
そんな彼を見て小さく笑うと、クラウスが代わりにもった。
「大丈夫だ、私にはそこまで重くないから」
「……ん、ごめんね、シュタウフェンベルク」
そういうと、ペルはクラウスと一緒に歩いていく。
そんな二人を見送りながら、ベルトルトはアレクサンダーに言った。
「アレクサンダーは手伝い頼むね」
「了解」
わかったよ、と頷く彼。
そんな双子を見ると、シュヴァイツァーも言った。
「では私は馬車を片付けて参ります」
そういって各々の仕事に向かう。
久しぶりの大きな屋敷には、夕日が降り注いでいた。
***
クラウスとペルは二人で部屋に戻っていた。
ディアロ城に居る時にも一緒に寝ているペル。
この屋敷に来るときにも、クラウスと一緒に寝るのだった。
「……久しぶりだね」
ペルはクラウスにいう。
その言葉にクラウスはこくりと頷き、青の瞳を細める。
「そうだな……
ペルも、だいぶこの屋敷に慣れてきたみたいだな」
そういってクラウスは微笑む。
はじめてこの屋敷に来た時には、その大きさと雰囲気に委縮していた彼。
しかし今は大分リラックスして、クラウスやアレクサンダー、
ベルトルトやシュヴァイツァーとも親しく話が出来るようになっていた。
「此処も、家だと思えばいい」
そういいながら、クラウスはペルの頭を撫でた。
ペルは彼の言葉に嬉しそうに笑って、頷く。
そして、荷物が入っていた鞄をパタン、と閉じた。
「片付け、出来た」
ペルがそういう。
クラウスもその言葉に小さく笑いながら、言った。
「ありがとう、じゃあ兄さんたちの所にいこうか」
「うん」
ペルはクラウスの言葉に頷いてから、彼と手をつなぐ。
広い屋敷の中で迷子になることがありうるために、いつもこうしているのだった。
二人は一緒に歩いて、リビングルームに向かった。
既に夕食の支度にとりかかっているようで、良い匂いがする。
今日の夕飯何だろうね、とペルはいう。
「少し散歩にでも行くか?」
クラウスはペルにそう声をかける。
まだ夕飯までは時間があるだろう。
恐らくキッチンにいっても手伝いは出来ないだろうし……
そんなクラウスの言葉に、ペルは嬉しそうに頷いた。
そして、二人で一緒に外に出て行く。
既に沈みかけた太陽。
空は綺麗なグラデーションに染まっている。
「綺麗、だね」
ペルはそんな空を見上げながら微笑む。
そして、クラウスもその言葉に小さく頷いた。
「綺麗だな。
あと少しで、星が出る」
今日は綺麗に見えそうだ、とクラウスは呟く。
ペルはその言葉に頷いて、嬉しそうな表情を浮かべて、言った。
「星……綺麗、だよね。
僕、好きだよ……」
目を輝かせながら、ペルは嬉しそうな声を上げる。
昔から、良く空を見ていた。
一人ぼっちで。
でも、今は違う。
一緒に空を見上げてくれる人が、居る。
それが堪らなく嬉しいのだった。
「クラウス、ペル、夕飯だよー」
ベルトルトの声がする。
二人は振り向いてから、顔を見合わせた。
そして、穏やかに笑いながら頷いたのだった……――
―― Look up… ――
(美しい空を見上げる。
かつては一人で、今は…)
(大好きなお兄ちゃんたちと一緒に過ごせる。
それは堪らなく幸せなことだって、今は思ってるよ)