大佐殿とペルのお話です。
前の話の続きで…
助け出されたあとでこういうこと考えてるの、萌えると思うのです…(^q^)
*attention*
大佐殿とペルのお話です
シリアス後のほのぼの?
基本シリアスです
前の「Experiment」の続き的な
助け出された後になぜか落ち込んでる様子の大佐殿
ペルはそれにも気づくだろうな、と…
珍しく弱いところ見せる大佐殿を書きたくなったのです←
どうして自分が、って思ってたら萌えるなと(^q^)
口下手ペルが珍しく頑張ってます(笑)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
研究所からシュタウフェンベルクを助けだし、ペルと彼は城に戻ってきていた。
医療棟で軽く検査と傷の手当てをした後で、
シュタウフェンベルクは自室で休みたいと申し出た。
無論、彼の体を心配したジェイドは渋ったのだが、
自室の方がゆっくり休めるから、という彼の言葉に納得して、
ゆっくり休みなさいね、といって彼を部屋に返したのだった。
ペルも一緒に戻ってきた。
ひさしぶりに一緒に寝るね、という言葉にシュタウフェンベルクは微笑んで頷く。
そして、ベッドに腰かけて一息吐いた。
と、ペルがじっと見つめてきた。
その瞳にシュタウフェンベルクは不思議そうに首をかしげる。
それを見つめたまま、ペルは口を開いた。
「……シュタウフェンベルク、どうしたの?」
「え……?」
彼の問いかけにシュタウフェンベルクはきょとんとする。
ペルは少し心配そうな声色で、いった。
「元気、ない……何処か、痛い?」
その言葉に彼はまばたきをした。
そして、何故ペルがそんな問いかけをしてきたのかを理解する。
恐らく……自分が暗い顔をしていたからだろう。
鏡を見なくても、それくらいはわかる。
自分の心理状態は自分が誰よりよくわかるのだから。
しかし、シュタウフェンベルクは首を振った。
ペルに、余計な気遣いをさせてしまったことを申し訳なく思いながら。
そしてふわりと微笑み、いった。
「いや、違う……大丈夫だ」
「大丈夫、は嘘……」
すかさずペルにつっこまれた。
シュタウフェンベルクはそれに一瞬面食らったが、すぐに苦笑する。
そして隣に座ったペルの頭を撫でつつ、いった。
「……ペルには敵わないな」
あまり顔に出さないつもりでいたのに。
シュタウフェンベルクがそういうと、ペルはこっくりと頷く。
そして、静かな声でいった。
「うん。だって、わかる……
シュタウフェンベルク、僕見たら僕がなに考えてるか、わかる……
それと同じこと、僕も同じように、わかる」
シュタウフェンベルクはいつもペルが考えたことを読み取ってくれる。
口下手な彼が、言いたいことを言えないときにも。
それと同じだと、ペルは言う。
自分もシュタウフェンベルクの傍にいるから、考えていることがわかる、と。
その後、シュタウフェンベルクを見つめたまま、ペルはもう一度口を開いた。
「元気ない、なんで……?」
その言葉にシュタウフェンベルクはふっと息を吐き出す。
そして、優しくペルの頭を撫でてやりながら、いった。
「……おまえに、悲しい思いをさせたから」
だから、表情が暗くなっているんだ。
シュタウフェンベルクはそう答える。
それを聞いて、ペルはきょとんとしたように瞬きをした。
「え?」
自分が?
いつ?
そんな表情を浮かべるペル。
シュタウフェンベルクはそれを見つめた後、視線をはずして、呟くようにいった。
「人間ではない、なんて言わせたくなかったけれど……
それは、それをペルが口に出さなければならなくなったのは私の所為だ」
自分があんなところに捕まったから。
自分があんな形で助けられざるを得なかったから。
自分が……――
「……すまない」
言葉にしきれない思い。
それを込めた、謝罪。
ペルはそれを聞いてもう一度ゆっくりと瞬きをした。
それから、シュタウフェンベルクの左手にそっと自分の手を重ねて、いった。
「……気にしてないよ、僕」
さっきの、あの発言。
あまりきにしてはいない、とペルは言う。
「確かに、他の人にそういわれるの、悲しいけど……でも」
「事実だから、ともいってほしくはない……ペルは、人間だといっただろう」
シュタウフェンベルクはペルの言葉を遮って、いった。
ペルは、確かに傍から見れば人間ではないかもしれない。
それでも……シュタウフェンベルクにとっては大切で、可愛い弟だ。
それに、ペルが自分が人間でないことをコンプレックスに思っているのも知っている。
だからこそあんなこと、自分からでも言わせてくなかった。
言わせる状況を作ってしまった自分に呆れた。
シュタウフェンベルクはそういった。
ペルはそれを聞いて言葉を飲み込む。
先程の言葉を気にしていないのは事実だったが、
ペルを傷つけたと思っているシュタウフェンベルクがそういう以上、
これ以上この話を長引かせるのもな、と思う。
「……うん。ありがとう」
シュタウフェンベルクがそういってくれるのが嬉しい、とペルは言う。
その言葉にシュタウフェンベルクは穏やかに微笑んだ後、
少し目を伏せて、呟くような声で、いった。
「ペル、ひとつだけ……いいか」
その弱々しい声にペルは少し驚く。
しかし戸惑いつつ、こくりと頷いた。
「?何?」
どうしたの。
そう問いかけるより先に、ぎゅっと抱き締められた。
ペルは驚いて固まる。
「……少しだけ、こうさせてくれ」
シュタウフェンベルクは弱い声でそういった。
ペルはそんな彼の様子にまばたきをした後、頷いて、そっと彼の背に腕を回した。
「うん……」
そういいながらペルはいつもシュタウフェンベルクがしてくれるように、背をさする。
彼の肩は弱々しく震えていた。
顔は見えないけれど、泣いているのかもしれない。
ペルはそう思いながら、小さな手でシュタウフェンベルクの背を撫でる。
「私も、普通の人間では、ないからな……」
そう呟く声は、やはり若干涙声。
彼だって、普通の人間ではない。
フラグメントというこの世界ではイレギュラーな存在だし、
何より……魔力が、特殊すぎるのだ。
「どうして、私なんだろう……」
シュタウフェンベルクはぽつり、と呟いた。
どうして自分なのか、と。
ペルはそんな彼の言葉を黙って聞く。
「私に、こんな力があっても……」
使いこなせない。
大切な仲間を守りうる力のはずなのに、この力の所為で逆に迷惑を……
そう思うと、どうして自分にこんな魔力があるのかと、思ってしまった。
シュタウフェンベルクのその言葉にペルはゆっくりとまばたきをする。
その後、そっと彼の背を撫でながら、ペルはいった。
「シュタウフェンベルクが、持つべき力、だったから……だと、思うよ」
「え……?」
シュタウフェンベルクは涙に濡れた瞳を瞬かせる。
ペルは少し言葉に悩むように間を空けてから、いった。
「シュタウフェンベルクは、優しくて強いから、
その力を駄目なことに使わないから……
だから、シュタウフェンベルクなんだよ、きっと」
僕は、そう思う。
ペルはそういった。
シュタウフェンベルクはそれを聞いて彼の体を離した。
自分を見つめる漆黒の瞳。
それを、見つめ返す。
「ペル……」
「カミサマは、たぶん、シュタウフェンベルクなら正しく使うって、わかってた、んだよ」
きっとそうだと彼は言う。
そして大丈夫だよ、といった。
シュタウフェンベルクはそれを聞いて瞬いた後、一度目元を拭って、微笑んだ。
「……そう、ならいい、かな」
そうだったらよい。
そう、思える。
彼がそういうとペルはこくりと頷きつつ、いった。
「でも、その所為で、シュタウフェンベルクは、悪い人に狙われる……
それは、悲しい」
「仕方ないさ……」
ペルの言葉にシュタウフェンベルクは苦笑気味にそういった。
それは致し方ないと思う。
運命だと思って、あきらめる。
ペルはそんな彼の手をもう一度強く握った。
そしてまっすぐに彼を見据えつつ、言う。
「でも、大丈夫……
何かあっても、僕が、守る……
僕だけじゃなくて、シュタウフェンベルクを助けたいひと、たくさんいる……
一人じゃ、なくていい」
一人で戦わないでほしい。
ペルはシュタウフェンベルクにそういった。
彼がすぐに無茶をすることを知っているから……
シュタウフェンベルクは彼の言葉にふと微笑む。
そしてもう一度、優しく彼の小さな体を抱き締めたのだった。
―― その力を託された理由 ――
(どうして私ばかりが?
どうしてもそう思ってしまうことはあるけれど)
(もしも、この力がいつか、仲間を守るために役立つならば。
私はその時のためにこの魔力を磨いていきたいと思う)
(優しくて暖かいあなただからきっとこの力を託された。
大丈夫だよ、重すぎる運命なら、僕も一緒に背負ってあげる…)