ワルキューレコンビ&ペルのお話です。
大佐殿とペルの共闘を書いてみたくて…
普段あまり見られませんが、戦う時のペルはかなりすばしっこいです←
*attention*
ワルキューレコンビ&ペルのお話です
ほのぼのなお話です
大佐殿とペルの共闘ネタ?なお話です
ヘフテンさんと大佐殿の共闘もですがそれ以外との共闘も好きです(^q^)
戦う時のペルはかなり素早いです(笑)
そういう風にして共闘する大佐殿とペルもいいかなって…
ヘフテンさんが大佐殿を気遣う描写も入れたかった←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
静かな森。
漆黒の闇に包まれるそこ。
月明かりが微かに射し込む。
その光は明りと呼ぶにはやや頼りない。
その中でシュタウフェンベルクは戦っていた。
森の中を飛び回る魔獣。
それを打ち抜くシュタウフェンベルクの武器であるマスケット。
魔力がはじける度、魔獣の断末魔が響く。
その死を確認しつつ彼は戦っていた。
一息つく。
魔獣の数は、まだ減らない。
今回の討伐対象である魔獣はかなりの数がいた。
それを副官であるヘフテンと一緒に倒しに来ているのだ。
二人で一緒に戦うよりも、分散して戦った方がいい。
そう判断したシュタウフェンベルクはヘフテンにもそういう指示をだし、
魔獣を引きつれてヘフテンから離れた場所で戦っているのだった。
「飛ぶ魔獣は、厄介だな……」
シュタウフェンベルクはそう呟く。
額を伝う汗を軽く拭った。
魔獣は飛び回り、シュタウフェンベルクを襲う。
ヘフテンも、同じ目に遭っているだろうか。
彼は、無事だろうか。
シュタウフェンベルクはそう思いながら魔獣と戦っていた。
けれど、だいぶ数が多い。
このまま魔術を使い続けていたら途中で魔力が尽きてしまって、余計に危険な目に遭いかねない。
どうしたものか。
シュタウフェンベルクがそう悩んでいた時……
頭上から、数匹の魔獣が急降下してきた。
シュタウフェンベルクははっとする。
避けるか。
魔術を使うか。
否、どちらも間に合いそうにない。
怪我をするのを覚悟した。
シュタウフェンベルクはそれでも極力傷を浅くするべく逃げようとした。
しかし。
それより先に魔獣が断末魔を上げて堕ちる。
それを見てシュタウフェンベルクは目を見開いた。
「な……」
何が起きた。
そう思うと同時にひゅっとすぐ近くを何かが飛んでいった。
それは正面からシュタウフェンベルクに襲い掛かろうとした魔獣に突き刺さる。
ナイフ。
恐らく、そう。
そうシュタウフェンベルクが認識するのと同時に彼のすぐ傍に誰かが降りてきた。
ヘフテンか、と思ったが彼とは魔力が違う。
それに彼は物理攻撃はあまりしない。
手製の爆弾か、小銃で戦うのだから。
誰?
そう思ったシュタウフェンベルクは隣を見た。
長い、黒髪。
ふわりと紫のマフラーが夜の風に揺れる。
その姿にシュタウフェンベルクは少し驚いて目を見開いた。
「!ペル……」
そこに居たのはペルだった。
長い袖口から出した小さな手には小型のナイフが握られている。
恐らく今魔獣を貫いたのと同じものだ。
「……シュタウフェンベルク、助ける」
彼はぼそりと呟くと幾つものナイフを取り出した。
シュタウフェンベルクと同じように空間移動術で取り出している様子だ。
「ナイフ……お前だったのか」
シュタウフェンベルクがそう呟くとペルが小さく頷いた。
そして、ナイフを牽制のために投げつつ、言った。
「……ヘフテン、もうすぐ、合流、出来る。
怪我、してない。
シュタウフェンベルク、心配、してた……
だから僕、先に来て……シュタウフェンベルク、助ける」
大体、納得した。
ペルは此処に来るより先にヘフテンにあったらしい。
そしてそこで彼の様子を見てきた。
彼も怪我なく戦っていたようだ。
そんな彼に加勢しようとしたらしいけれど、おそらくヘフテンに言われたのだろう。
自分は平気だからシュタウフェンベルクの方へ行ってほしいと。
自分ももうすぐ行くからと。
シュタウフェンベルクはそれを聞いて幾度か瞬きをした。
そして再び武器であるマスケットを取り出しつつ、ペルに言った。
「……ありがとう、助かる」
一人で戦えないわけではない。
けれど魔力のことを考慮したら彼の補助はありがたい。
ヘフテンも無事なのだとわかればさっさと魔獣を倒して帰りたい。
シュタウフェンベルクはそう思った。
ペルはシュタウフェンベルクの方を見た。
そして彼の武器を見て、目を細めた。
「シュタウフェンベルク使うの、マスケット……?」
彼の手にある武器。
それはマスケット銃。
投げナイフという物理とも遠距離とも言い難い武器を持つ自分とは違うなとペルは思う。
撃ちだすのは魔力。
そう思ったペルは若干不安げな顔をした。
普通に戦うだけならばいいのだけれど、彼のマスケットの攻撃もよけながらとなると辛い。
そんなペルの想いを感じ取ったのだろう。
シュタウフェンベルクはペルに言った。
「あぁ……大丈夫だ、お前には当たらない」
ちゃんと当てる相手は選べる。
シュタウフェンベルクがそういうとペルはほっとしたように頷いた。
そして投げナイフを構えて、呟くように言う。
「わかった……じゃあ、戦う……
飛んでるの、落とす……
シュタウフェンベルク、とどめ、さして」
ペルはそういうとひらりと木の枝に飛び乗った。
木の上に居る彼の姿は見えない。
しかし、問題はない。
ペルが上に居る魔獣を落としてくれるというのなら、ありがたい。
シュタウフェンベルクはそう思いながらマスケットを構え、自分の視界に入ってきた魔獣は片っ端から打ち抜く。
言葉通り、ペルは頭上で戦っているらしい。
時折悲鳴のような声が響いて、魔獣が落ちてくる。
息絶えているものもあるが、仕留めそこなったらしく地面でもがいているものもある。
シュタウフェンベルクは自分に向かってくる魔獣を倒すと同時にその瀕死の魔獣も仕留めた。
「身軽なものだな……」
シュタウフェンベルクはそう思う。
姿は見えないが時折頭上の枝が軋んだり木の葉が落ちて来たりという彼がいる証は感じる。
普段は随分とスローなペルだが、戦闘時には素早く動けるらしい。
と、ペルが頭上からひらりと降りてきた。
シュタウフェンベルクが驚いていると彼はぼそり、といった。
「ヘフテン、来た……上にはもう、魔獣、居ない……
大体、片付いた……だから、降りてきた」
そういったペルはナイフを周囲に投げる。
それで残りの魔獣も飛び出してきた。
周囲の様子を確実に把握しているのはおそらく、彼だろう。
そしてペルの言葉の通りにヘフテンも駆け寄ってきた。
「大佐、無事ですか!」
「ヘフテン、平気だ。
お前も、怪我はないか?」
周囲に視線を巡らせつつシュタウフェンベルクはヘフテンに問いかける。
ヘフテンは彼の問いかけにこくりと頷いた。
「大丈夫です。
ペルさんも大丈夫なようで、良かったです」
シュタウフェンベルクはそんなヘフテンを見てほっとした顔をする。
そして手にしたマスケットで残った魔獣を全て撃ちぬいた。
そしてふぅ、と小さく息を吐き出す。
「これで全部、か?」
「そうですね……
ペルさんが確認して、もういないってことですよね」
ヘフテンの所でもペルはそうして周囲確認をしたらしい。
ペルは彼の問いかけにこくんと頷いた。
「もう、居ない。
お仕事、終わり……お疲れ、さま」
ペルは二人にそういう。
彼なりに、手伝いたかったと見える。
シュタウフェンベルクはありがとう、と彼にいって……ふっと、表情を緩めた。
そして彼の頭の上に乗っていた葉っぱをとる。
「……頭についてた」
「……ありがと」
恥ずかしそうにマフラーに顔を埋める。
格好良く決めたかったようだが、上手くいかなかったらしい。
ヘフテンとシュタウフェンベルクは彼の様子に小さく笑った。
「この前いってた通りにしてくれましたね、ペルさん」
ヘフテンはペルにそういう。
ペルはきょとんとした顔をして彼を見た。
にこり、と微笑みながらヘフテンは彼にいった。
「僕や大佐が危ないときは助ける、っていってくれたでしょう?
その通りにしてくれて、ありがとうございます」
ヘフテンがそういうとペルは頬を赤く染めた。
どうやら、照れているらしい。
どういたしまして。
小さな声でそういう彼に褒美に飴でもあげようかと思いつつ、
シュタウフェンベルクは二人に"帰ろうか"と声をかけたのだった。
―― その言葉を本当に… ――
(助ける。困ったことがあればいつでも。
それが僕が、彼らに対して誓ったことだから)
(大切な友達、助ける。
そういって勇ましく戦う幼い少年の助けは確かに頼もしくて)