ヘフテンさんとペルのお話です。
昨夜の「隠す真実」の続き的な感じで…
知ってるよ、って答えるヘフテンさんを書きたかっただけでした←おい
*attention*
ヘフテンさんとペルのお話です
シリアスちっく?なほのぼのなお話です
「隠す真実」の続き的な
大佐殿を心配するヘフテンさんを書きたくて…
ペルは基本口が堅いのでこういう感じになります
でも多分隠し事してるのに罪悪感はあるだろうなと…
互いのことをちゃんとわかってるワルキューレお二人が好きです(笑)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
静かで穏やかな午後。
風の冷たさにはあわない陽射しの暖かさの中、ペルは中庭のベンチで一人座っていた。
親しくしているシュペーアと遊びたいと思って遊びに来たのだが、彼は仕事中。
多分、彼の傍に行って遊ぼうと声をかければ付き合ってくれると思うけれど、
そんなことをして彼を困らせたり、仕事の邪魔をしたくはない。
だから静かに彼の部屋から離れて、一人こうして中庭に出てきたのだった。
中庭ではたくさんの騎士たちが遊んでいる。
その様子をペルはぼんやりと見つめていた。
この城の騎士でもない。
どちらかといえば彼らにとっては"敵"だった彼のことを避ける騎士の方が多い。
事実、今も中庭のベンチに腰掛けて自分たちを見ているペルを見て、
やや引いた様子を見せている幼い騎士たち……
ペルはそれを気にしているのかいないのか良くわからない表情でいた。
ぼんやりと座るペル。
そんな彼に近づく影が一つ。
それは金髪の少年……ヘフテンで。
しかし自分に近づくその影に、ペルは気づいていない様子だ。
ぼうっと座ったままでいる。
ヘフテンはそっとそんな彼の肩に触れた。
そして、驚いたように顔をあげる彼に微笑みかけて彼の名前を呼ぶ。
「ペルさん」
にこりと微笑む彼。
それを見つめて幾度か漆黒の瞳を瞬かせたペルは彼の名を呼んだ。
「ヘフテン……」
自分にとっても親しい彼。
明るくて優しい彼と、静かで面倒見の良い黒髪の少年。
その二人と一緒に過ごすことも多くなっていた。
ヘフテンはこんにちは、とペルに微笑む。
ペルがこっくりと頷くと、彼は少し眉を寄せた。
一瞬、悩むような表情。
その後、彼はねぇペルさん、と彼に声をかけた。
「大佐の頬の痣、みましたか?」
その問いかけにペルは黒の瞳を少し丸くする。
彼の問いかけの意味は、理解出来ていた。
シュタウフェンベルクの頬の痣。
確かに、彼の頬には薄く痣が付いていた。
何かがぶつかったような痕。
それを見たかと、ヘフテンは彼に問いかけているのだ。
ペルはその問いかけに少し迷う。
それは先日の、シュタウフェンベルクとの約束のため。
しかし彼は結局小さく頷いた。
「……ん」
こくりと頷くペル。
それを見てヘフテンは小さく頷いた。
そして、彼に言った。
「……何か、知りませんか?」
ヘフテンはそう問いかける。
その言葉にペルは再び目を丸くした。
「え?」
「大佐、任務の時にぶつけたなんていってましたけど……
大佐がそんなドジを踏むなんて思えないんですよ」
ヘフテンはそういう。
彼の痣について疑念を抱いていることが分かった。
彼の頬の痣。
シュタウフェンベルク本人は任務中についたものだといったらしい。
しかしヘフテンはそれを信じていないようだった。
だってシュタウフェンベルクはしっかり者。
任務中にあんなところに傷を、痣をつけるほど抜けてはいない。
例えそうだったとしても彼はそうは言わないだろうとヘフテンはおもっているらしい。
ペルは彼の言葉に少し目を伏せる。
そして小さく呟くように言った。
「……シュタウフェンベルク、しっかりしてる、からね」
僕も知っている。
ペルはそういう。
ヘフテンはそれを聞いて小さく頷く。
「そう思うでしょう?
だから、何かあったんじゃないかと思うんですけど……」
そういいつつヘフテンはじっとペルを見つめる。
ペルはそんな彼を見つめ返した後、そっと目を伏せた。
「…………」
ペルは静かに黙っている。
目を伏せているのは……ペルは、ヘフテンの問いかけに対する一つの答えを持っているから。
しかしそれを口に出すことは出来ないからだった。
そのまま俯く彼を見て、ヘフテンは小さく首を傾げる。
そして彼に問いかける。
「ペルさん?」
「何も、知らない」
ペルは静かな声でそういった。
ヘフテンはそれを聞いてすっと目を細める。
そしてペルを見つめつつ、言った。
「本当に?」
やや問い詰めるようにヘフテンはペルにいう。
ペルはその言葉に小さく頷いた。
「知らない」
知らない。
彼はきっぱりとそういう。
もう彼は視線を上げていて、その瞳からは別段何か感じ取れるわけではない。
ヘフテンは暫しペルを見つめた。
その後、小さく息を吐き出して、笑う。
「……そうですか。そうですよね」
大佐の痣のことをペルさんが知っているわけないですよね、とヘフテンは言う。
ペルはそんな彼の言葉にこくりと頷いた。
しかし心の中では何だか釈然としないモノがある。
だって……
自分は、知っている。
シュタウフェンベルクの痣の、理由。
何となく、ではあるけれど。
任務なんかではない。
彼は、城の中の一室から出てきた。
その時まだついたばかりだと思われる痣が頬についていたのだ。
恐らくだが……その室内で何かあったのだろう。
もしそれを口に出したら、ヘフテンはシュタウフェンベルクを心配する。
それは、多分……シュタウフェンベルクが望んでいないことだ。
彼に心配をかけたくないとシュタウフェンベルクは言っていたから。
だから彼は……ヘフテンには秘密にしてくれといっていたのだから。
けれど、黙ったままでいるというのも何だか気が引ける。
そう思いながらペルはゆっくりと口を開く。
「……ヘフテン」
小さな声で彼の名前を呼ぶ。
それを聞いてヘフテンは首を傾げた。
「?どうしましたか?」
ペルが何か知っているとはもう思っていない表情。
それを見て、ペルは少し口を噤む。
それからゆっくりと口を開いた。
「……シュタウフェンベルクは、ヘフテンを、大事に、思ってる」
それは間違いない。
ペルは静かな声でそういう。
彼に、内緒にしてくれと頼まれたことは言えない。
けれどそれは間違いなくヘフテンのためだということはわかっている。
だから、とりあえずそれだけを言ったのだ。
ヘフテンは彼の言葉に少し驚いたように瞬きをする。
それからふっと笑みを浮かべた。
「知ってますよ」
きっぱりとそういう彼。
ペルはそれを聞いて一瞬きょとんとしたような顔をしたが、
やがてふっと息を吐き出して、呟いた。
「……そう」
そう。
それなら、良かった。
ペルは、そう思う。
ヘフテンは小さく溜め息を吐き出した。
そして呟くように言う。
「でも、大事にするのと僕にないしょで危ない目に遭うのは別物だと思うんですけどね」
シュタウフェンベルクが自分のことを大切にしてくれていることはわかっている。
けれど……
それと同時に、彼が自分を大事に思ってくれるのと同時にそれ故に彼が自分に隠し事をするのも知っている。
ヘフテンはそういった。
「危ない事に首を突っ込むなら、僕も一緒に巻き込んでくれればいいんですよ」
ヘフテンはぼそりとぼやく。
そんな彼を見て小さく息を吐き出しつつ、ペルはいった。
「……二人が、危ないことなったら、僕が、助ける」
それを聞いてヘフテンは目を細める。
そして笑いながら言った。
「アハハ、頼もしいですね」
そんなヘフテンの発言にペルは少し拗ねた様子。
ややむくれたような声で彼は言った。
「……僕、これでも、戦える、よ?
呪術、得意……武器、は……ナイフ、だけど」
一生懸命そういうペル。
どうやら拗ねた様子の彼を見て苦笑しつつ、ヘフテンは言う。
「そうですか。ちゃんと戦えるのは、凄いですよね」
何かあったら助けてもらうことがあるかもしれません。
ヘフテンはそういう。
ペルはそれを聞いてこくんと頷いた。
「僕も、頑張る……
ヘフテンとシュタウフェンベルク、いつも僕と、遊んでくれる、から」
ペルがそういうと、ヘフテンはにこりと微笑む。
そしていつもシュタウフェンベルクがするようにペルの頭を撫でた。
そんな彼の優しい手を感じながらペルは目を細める。
そして小さく"ごめんね"と呟いたのだった。
―― 伝えられないけれど ――
(やくそくしたから、ないしょはつたえられない。
でも、きみにたいするかれのおもいはつたえられるから)
(でもきみは、しってた。
しったうえでかれのことをおもっていたから、だからすこし、ごめんなさい)