フォルスタでのお話です。
あの任務の後の二人を書きたくて…←おい
*attention*
フォルスタでのお話です
ほのぼのなお話です
フィアとの任務後のお話です
フォルはたぶんヤキモチも妬くので…
変に意地悪なフォルですみませんスターリンさん
無茶をいうフォルに困らされるスターリンさんを書きたくて…←こら
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
静かな夜の自室。
そこに帰ったスターリンは僅かにヒールのある靴を脱ぎ捨てた。
ふぅっと息を吐き出して、高く結い上げた髪をほどく。
「もうこんな格好はこりごりなのだよ……」
ぼそり、とスターリンはそう呟く。
彼は任務の名残でまだ女性の格好をしているのだった。
甘い香りのする化粧。
柔らかい素材のワンピース。
可愛い可愛いとこうして飾り立てた張本人……ロゼはいっていたし、
事実任務で"成果"をあげてしまったものだから、
何だかこの格好でいる自分が恥ずかしいと同時になんだか悔しい。
「似合う何て言われても嬉しくもなんともないのだよ」
スターリンが小さく呟いた、その時。
「似合うよ。食べちゃいたいくらい可愛い」
そう、耳元で聞こえた声。
それと同時にするっと腰を撫でられて、スターリンは思わず体をこわばらせた。
「ふぉ、フォル……」
「おかえりなさい書記長様」
そういってにっこりと微笑んでいるのは亜麻色の髪の堕天使……フォル。
彼の笑みが、今は少し怖い。
というのも……
先ほど任務中にあったちょっとしたトラブル。
それから助けてくれたのは今回の任務での相棒フィアと、
どういう訳か隠れて自分達の様子を見ていたらしいフォルだった。
彼はスターリンを助けてすぐに姿を消したけれど、
その帰り際にフォルは"帰ったらお説教"と恐ろしいことをいっていた。
彼の説教……それはイコールして"お仕置き"ということになるだろう。
思わず身を強張らせるスターリンを見て、フォルはくすりと笑う。
そしてそのままスターリンの顔を覗き込んだ。
「こんなに可愛い格好して僕以外の人間とデート、ねぇ……」
なかなか妬けることしてくれるね、とフォルはいう。
そのまま彼はスターリンの体を抱き寄せた。
そんな彼の腕の強さを感じて、スターリンは更に体を強張らせる。
しかし、やられっぱなしは性に合わない。
少し身を捩ったスターリンは彼に抗議した。
「デート、っていったって、任務だし……
何よりお前の妹なのだよっ!」
「男女、って訳でしょ?
……立場は逆にしたっても」
わざとスターリンの羞恥を煽るような言い方をする彼。
明らかにからかっている。
それを感じつつ、スターリンは眉を寄せた。
「お、俺だって、好きでこんな格好……」
「でもよく似合ってるよ?采配はバッチリだと思う。
……でもねぇ……」
フォルはそこで言葉を切ると、サファイアの瞳を細めた。
そしてそのままスターリンの顔を自分の方に向けさせて、頬を撫でる。
「でも、君を危険な目に遭わせたのは許せないな……」
「許せない、って……フィアを、か?」
スターリンは恐る恐る問いかける。
フォルが割りと本気でいっているのがわかった。
せっかくある程度和解したのに、またこんなことがきっかけで険悪になってほしくない。
しかしフォルは彼の言葉に首を振る。
そしてにっこりと微笑むと、いった。
「違うよ。黒髪の騎士様」
「あぁ、ルカ……」
なるほど、とスターリンは頷く。
どうやら彼の怒りはこの任務をフィアとスターリンに任せた本人……
統率官であるルカに向かったらしい。
「任務任せる以上相手の能力知っとくのは義務でしょ?
相手が一瞬で魔力属性見破って相手の抵抗無効に出来るんなら、
それは、囮にする書記長様やフィアに知らせとくべきだよね……?」
そういってにっこり微笑むフォル。
その表情は、恐ろしい。
「ちょっとお仕置きしても良いかな、あの騎士様に」
「ダメだ。やめるのだよ」
スターリンはすかさず止めた。
今のフォルの声のトーン的に、承知しようものなら間違いなくルカが危ない目に遭う。
フォルはルカにたいしてはかなり容赦がないから、
それくらい想像するのは容易いことだった。
スターリンの言葉にフォルは唇を尖らせる。
そして、むくれたように溜め息を吐き出しつつ、スターリンの頬にキスをした。
「ん……わ、化粧品の匂いする」
「当たり前なのだよ……落とすから、退いてくれ」
スターリンはそういってフォルを押し返す。
そして洗面台に向かった。
そしてそのまま、化粧をおとしていく。
すぐに落ちるものを使ったから大丈夫、なんてロゼはいっていたけれど、
かなりバッチリメイクされている所為で、なかなか落ちない。
そんな彼を見つめたフォルはにっこりと微笑んだ。
そしてゆっくり彼に歩み寄ると、彼を後ろから抱き締める。
「っ、フォル、何……」
スターリンが小さく声をあげて振り向く。
水の滴る顔を軽く拭ってやりながら、フォルはいった。
「今度、僕ともデートしてくれる?」
フォルの言葉にスターリンはまばたきをする。
そして暫し視線を彷徨わせた後、小さく溜め息を吐き出しつつ、いった。
「……俺が仕事休みの時にな」
そっけなくそういうとスターリンはタオルで顔を拭いた。
大体落ちただろう。
あとはロゼにこの服を返して、と考えていた時。
「わぁい!じゃあ、綺麗なお洋服算段してこないとなぁ」
そんなフォルの声が聞こえた。
スターリンは思わず固まる。
そして慌てたようにいった。
「は?!服?!」
「うん。だってそれ、借り物でしょう?」
返さないといけないなら用意しないと、といってフォルはイタズラに笑う。
……どうやら、こういう格好をしてデートしろ、といっているらしい。
「なっ……ふ、ふざけんな!絶対嫌なのだよ!」
「今良いっていったじゃないか」
ぶぅ、と頬を膨らませるフォル。
スターリンはぶんぶんと首を振りながらいった。
「今回のは任務だったから仕方なく着ただけなのだよ!
普通の時にそんなの絶対……っ」
「フィアとはデートできるのに僕とは嫌なんだ……へえ……」
低くなるフォルの声。
スターリンはその声に慌てたように視線を彷徨わせる。
フォルが一度拗ねると色々厄介だ。
かといって、彼のたのみを受け入れることは出来ないし……
どうしよう。
そう思いながら困った顔をしているスターリン。
フォルはそれを盗み見て、小さく笑う。
出来れば自分の言葉にしたがってほしいけれど、
もし叶わなくてもこの困った顔でチャラにしようかな、と思いながら、
意地悪な堕天使は密かに笑っていたのだった。
―― 悪戯なお説教 ――
(少なからず嫉妬したのは事実
これくらいの意地悪は許してよね?)
(もう絶対こんな格好はしたくない
でもこの拗ねそうな堕天使はどうしたら…)