久しぶりのアズルとイオのお話です。
アズルの将来をどうするか悩んだ末に一度書いてやろうと思いまして…←おい
アズルとイオは主従関係で、かつ昔馴染みなので距離感が難しいなぁと思いつつ…
こういう二人でのペアも好きなんですけどね(笑)
誰と一緒にいるのが一番似合いかしらと悩みつつ、
アズルもちょいちょい書いてやりたいと思ってます←
そしてミラジェリオの子達もコラボでおいおい絡ませていただけるようになれば良いなぁと願望抱いてたり…
そのうちTwitter辺りで募集するかもしれませんね←
ともあれ、追記からイオとアズルの話です!
静かな月明かりが降り注ぐ、夜のミラジェリオ城。
その一室……
少し豪奢な家具が置かれたその部屋は、子の国の国王の部屋。
そこに一人でたっているのは、紫髪の国王、アズル。
彼は誰かを待っているかのように立っていた。
と、その時。
とんとん、とドアがノックされる音が響く。
それを聞いて、アズルはぱぁっと顔を輝かせて、ドアの方へ振り向く。
「どうぞ」
彼がそう返すと、ドアが開いてなかに一人の少年が入ってきた。
白い制服を身に付けた、この国の騎士……イオ。
彼はアズルの前まで歩み寄ってくると、一度跪いた。
「お久しぶりです、アズル様」
「久しぶりだね、イオ。あんまりかしこまらなくて良いよ」
アズルはそういって微笑む。
そして、彼の言葉に従うように顔をあげたイオの体を一度ぎゅっと抱き締めた。
「わ……」
イオは当然驚いた顔をした。
アズルはすぐに彼の体を離すと、にっこりと笑いながら言う。
「久しぶりにあえて嬉しいんだよ。
僕の可愛い騎士(ナイト)に……」
アズルはそういう。
彼にとってイオはある意味特別な存在だった。
幼い頃から知っている、騎士。
正式に言えば、幼い頃の騎士をアズルが助けたのだった。
悪魔に魔術をかけられた天使。
死にかけていた彼を、アズルが助けたのだ。
その恩義故、イオは騎士となり、アズルを助けるようになった。
忠実に任務をこなし、彼を守り、支える存在となった。
アズルはそんな彼のことを特別に思っている。
無論、他の騎士と明らかに違う扱いをすることはないのだけれど……
それでも、兄弟のようなとにかく親しい存在に思えるのだった。
今日は、彼は定期連絡に来たと言う。
数人の騎士でイリュジアに遠征にいっているのだ。
「特に変わったことはありませんでした。
あと、……これ」
イオはそういいつつ、アズルに何かを差し出した。
それは一冊の本のようで、アズルはきょとんとしたようにまばたきをする。
「?これは何?」
「医学書です。向こうのお医者様……ジェイド殿にお借りして来ました」
分かりやすいと思うから、と。
イオがそういうと、アズルは嬉しそうに笑ってそのページをめくった。
アズルは国王でありながら、癒しの魔術を学ぼうとしている。
そんな必要はないと先代に言われているのだけれど、
戦闘が一切出来ない自分にはそれくらいしか出来ることがないからと、
アズルは独学で一生懸命治癒魔術や医術に関して学んでいるのだった。
イオも、そのことはよく知っている。
何より、彼もその技術で助けられたのだから。
だからこそ、そうして遠征で出掛けているなかでも、
ちょうどよい資料を探してくるのである。
少しでもアズルの役に立てれば。
少しでもアズルが喜んでくれれば。
イオの中にあるのは、その思いだ。
アズルもそれをよく感じ取っている。
彼はにっこりと微笑みながら、イオにいった。
「ありがとう、イオ。
大切に読ませてもらうね……返却は?」
「次の定期連絡で良いそうです」
「そうか、助かるなぁ」
ありがとうね、と言いつつ、アズルは本を机の上におく。
そして、微笑みながら彼にいった。
「今日はいつまでいてくれるの?」
「もう、帰らなければ……」
仕事もありますから、とイオは言う。
そんな彼の言葉にアズルは露骨にがっかりした顔をする。
「そっか……また、来てね」
報告楽しみにしてるから。
そういって、アズルは微笑む。
イオはそんな彼を見て、かける言葉を探した。
彼の表情をぬぐう方法が、思い付かない。
「……また来ます」
そういって、イオは微笑む。
彼が滅多に見せない笑顔……
それを見たアズルの表情は綻んだ。
「うん、楽しみにしているよ」
ありがとうと彼がいうと、イオはアズルの手をとって、その甲にキスを落とす。
そして微笑みながら、部屋から出ていった。
アズルは一人になった部屋で小さく溜め息を吐き出す。
そして髪をかきあげながら、呟くようにいった。
「いってらっしゃい、僕の騎士……」
君はどんな風に成長していくだろう。
そう呟くアズルは子の成長を喜ぶ親の表情のようでもあり、
離れていくことを寂しがっているような表情でもあった。
―― My knight ――
(幼い頃に出会った、可愛い僕の騎士
僕にとって彼はきっとある意味特別な存在で…)
(いってらっしゃい。置いてきぼりになるのは寂しいのだけれど…
見送った彼が今度帰ってくるのが、楽しみなんだ)
2014-8-28 22:48