科学者道化師コラボでのお話です。
先ほどの「すべての始まりは…」の続き的なノリで。
恋人の帰りを待ちながら寂しがってるのってかわいいと思うのです…
*attention*
科学者道化師コラボのお話です(軽くBL注意です)
甘め&深夜テンションなお話です
「すべての始まりは…」の続き的なお話です
カルセの帰りを待つムッソリーニさん
カルのことを思い出しながら…とか萌えるな、と←おい
タイトルは「貴方じゃなきゃだめ」です(ぇ)
カルセ、色々発言自重して←←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
じりじりと照りつける日差し。吹き抜ける風が申し訳程度にカーテンを揺らす。そんな静かな、医療棟の一室……そこに、ムッソリーニはいた。大きな白いベッド。その上に寝転がって、白い天井を見上げる。子の部屋の主……カルセは不在。まだ国外に出張に行ったままだった。あれから何週間経つだろう?まだ数週間……けれどいつも一緒にいただけに、二、三日離れているだけでも寂しさが募っていった。早く帰ってきてほしい。そう思うけれど、仕事なのだからどうしようもない。我儘は、言えなかった。と、その時。開いた窓からふわりと白い何かが飛び込んできた。ばさばさと羽ばたく音。それを聞いて、ムッソリーニはベッドの上に体を起こす。そんな彼のすぐ傍に、一羽の白い鳥が留まった。オウムくらいの大きさの、真っ白な鳥。少し長い尾が、カルセの髪を思い出させる。
ムッソリーニはその鳥を見て、青い目を細めた。
「リュミエール」
その鳥は、カルセのペットの妖鳥リュミエールだった。その足には小さな革の袋がくくりつけられている。それをはずしながら、ムッソリーニはリュミエールに問いかけた。
「カルセさんからのお手紙だよな?ありがとう」
―― そう。リュミエールが運んできたのは、異国で調査研究をしている恋人からの手紙。妖鳥は頭がよく、また翼も強い。だからこうして、彼らの手紙のやり取りを手伝ってくれているのだった。初めてカルセからの手紙が届いた時には驚いたが、そうして彼とやり取りが出来ることは嬉しくて、ムッソリーニはすぐに手紙の返事を出していた。人間の言葉をある程度理解するリュミエール。手紙の返事を書くからまた明日来て、と言えばその通りに訪ねてきてくれる。
その白い頭を撫でてやりながら、ムッソリーニは問いかけた。
「お前のご主人様は元気だった?」
無論それはカルセのこと。
ムッソリーニの問いかけに、白い鳥は小さく囀り、
その頭をムッソリーニの頭にすり付ける。
その返答は、恐らくYESだろう。
ムッソリーニはほっとしたように笑みを浮かべながら微笑んで、
優しくリュミエールの頭を撫でながら、いった。
「そっか……良かった」
元気なら良かった、とムッソリーニは言う。
しかし彼の表情はやはり、少し寂しげだった。
リュミエールはそんな彼にもう一度頭をすり付けると、
開いた窓から再び飛び立っていった。
恐らく、また明日来てくれるのだろう。
そう思いながらムッソリーニは彼からの手紙を取り出して読む。
もしかしたら、もうすぐ帰れると言う知らせが書いてあるかもしれないと思って。
しかし、その手紙に目を通したムッソリーニの表情は落胆したものになった。
そして彼は再びベッドにごろりと寝転がる。
「……もう少しかかる、か……」
カルセの手紙にはそう書いてあった。
思いの外研究が長引いている。
もう暫く帰れないかもしれない。
暑い日が続くから体調に気を付けて過ごすように、と。
傍にいればムッソリーニが恥ずかしさで顔を背けてしまうほど、
たくさんたくさん甘い言葉を口にするのに、手紙は質素。
自分を気遣うような文面はあるが、それ以上の恋人らしい言葉はない。
それが少し……ほんの少し、物足りなかった。
ベッドに転がったまま、ムッソリーニは小さく息を吐き出す。
そして自分の手で目を覆いながら、溜め息を吐き出した。
「早く帰ってきて……ほしい、な」
ぽつりと、小さく呟く。
一人きりの部屋だ。
無論応える人間はいない。
これで、何日目だろう。
そう思いながらムッソリーニは溜め息を吐き出した。
こうして自分の手で顔を覆っていると思い出す。
出掛ける前に自分の部屋で、体を重ねたあのときを。
彼はムッソリーニの目を手で覆い、耳元に優しく囁いた。
自分の感覚を覚えていろ、と。
優しく柔らかく、その肌に触れながら。
彼の大きな掌。
長い指。
低くて甘い声。
耳元に吐きかけられる柔らかな吐息……
それを思い出しているうちに、びくりと体が強張った。
かぁっと体が熱を持つ。
吐き出した呼吸は熱く……
ムッソリーニはそろそろと、自身の手を自分の服に伸ばした。
ボタンに手をかけて、ぷち、ぷち、とはずしかけて……
そこではっとしたように青い瞳を見開いた。
さあっと彼の頬が赤くなる。
「!だ、ダメ、ダメだって……っ
何、しようと……俺……っ」
顔を真っ赤にして、ムッソリーニは首を振る。
自分で自分の体に触れようなんて。
自分で、自分の体に点った熱を冷まそうなんて……
考えただけで羞恥で頬が赤くなる。
しかし一度体に点った熱は、消えなかった。
甘く切なげな吐息を漏らしながら、ムッソリーニはそっと手を動かす。
そして、自分の服のボタンを外して、そこから手を差し入れる。
おずおずと自分の肌に触れると同時、ぴくりと体が跳ねた。
「ん、……っ」
ぎゅっと目を閉じて、その上から片手で自分の目を覆った。
そしてそのまま、ゆっくりと自分の肌に触れる。
カルセが、そうしてくれたように。
しかし自分の目を覆うその手は彼のそれよりずっと小さく、
不器用に肌をなぞる自分の指は体を苛むもどかしさを増すばかりで熱は冷めない。
「ふ……、はぁ……」
甘い息を漏らしながら、ムッソリーニは服から手を引き抜いた。
羞恥ともどかしさで、続けられない。
「カルセ、さん……」
ムッソリーニは上ずった声でカルセを呼ぶ。
そしてそのまま、彼の布団を抱き締めた。
微かに、彼の匂いが移っている気がする。
大概重症だな、と思いながら、ムッソリーニが苦笑を漏らした時。
「そんなに待ち遠しかったですか?」
不意に聞こえたのはそんな声。
ムッソリーニははっとして、体を起こす。
声がした方に視線を向ければ、他でもないカルセの姿があって……
「!カルセさん……」
「先に貴方の部屋に行ったのですけどね。
まさか私の部屋にいるとは思いませんでしたよ」
そういいながらカルセは彼に歩み寄った。
ムッソリーニはそれを見つめる。
そして、カルセが十分に近づくと、彼にぎゅっと抱きついて、いった。
「おかえりなさい、カルセさん……」
少し震える、涙声。
それを聞いてカルセは藍の瞳を細めながら、問いかける。
「待ち遠しかったですか?」
「うん……でも、どうして?」
そう訊ねながら、ムッソリーニはカルセを見た。
ついさっき、リュミエールが届けてくれた手紙。
それにはもう少しかかると書いてあったのに……
ムッソリーニがそういうと、カルセはくすくすっと笑った。
そして優しくムッソリーニの頭を撫でながら、いった。
「リュミエがいつも言ってたんですよ。貴方が寂しがってる、って」
「え……」
その言葉にムッソリーニは青い目を見開いた。
しかしすぐに納得する。
あれだけ頭の良い鳥。
なおかつカルセは"彼女"の飼い主だ。
ある程度言葉を感じ取れても納得はいく。
カルセは笑いながら、ムッソリーニにいった。
「そのわりに手紙には全然平気だなんて書いてあるものですから、
少し意地悪をしたくなったんですよ」
わざと帰りが遅くなると言う手紙を持たせた。
そしてそれがつく頃に、こうして帰ってきたのだと言う。
それを聞いてムッソリーニは頬を膨らませた。
「もう……」
「許してくださいな。こうしてちゃんと帰ってきたんですから」
そういいながら、カルセはそっとムッソリーニの唇を塞いだ。
久しぶりに感じる、甘いキス。
びくり、と体がこわばる。
「は……ぁ、は……」
いつもよりも早く息を速くする彼を見てカルセは目を細める。
そして、悪戯っぽく囁いた。
「ついでに言うのならば……
貴方はあまり、"そういうこと"が上手くないようですね?」
「な……っ」
カルセの言葉にムッソリーニは大きく目を見開く。
そして慌てて自分の姿を見た。
そういえば、中途半端に服は肌蹴たまま。
これを見ればある程度……ムッソリーニが何をしていたか、想像がつくだろう。
カルセはくすりと笑って彼の耳元に囁く。
「熱を高めるばかりなのでしょう?体が熱いと思いました……
上手なやり方、教えてあげましょうか?」
悪戯っぽいその言葉。
ムッソリーニは顔を真っ赤にしつつ、首を振る。
そしてカルセにぎゅっと縋りながら、いった。
「い、いいですよ……それに……
カルセさんじゃないと、多分、無理……」
貴方の手じゃないと感じられない。
貴方の声がないと気持ちよくなれない。
ムッソリーニがそういうと、カルセは大きく目を見開く。
そしてそれをすっと細めると、そのまま彼の体をベッドの上に倒した。
「……無意識だとしたら、恐ろしい人ですねぇ、貴方は……」
「ふぇ……?な、カル……」
カルセさん?と問いかけるより先。
ムッソリーニの唇を、カルセはやや強引に塞ぐ。
そしてそれを離すと彼はムッソリーニの耳元に囁いた。
―― 久しぶりだからと手加減すると思ったら大間違いですからね?
そういって囁いたカルセの頬も微かに赤い。
ムッソリーニはそれを見て幾度かまばたきをした後、
恥ずかしそうにうなずいたのだった。
―― It has to be you. ――
(全く貴方という人は……
"貴方じゃないと駄目だ"なんて…
どこで覚えてくるのですかそんな殺し文句)
(久しぶりに感じた愛しい彼の腕、声…
嗚呼、愛しい。大好きなんだって、改めて感じたんだ)