久々にフォルスタ&フィアでのお話です。
夏だし、ということでこういうネタを…
勇ましいスターリンさんも好きですがこういうところがあるのに萌えます←
*attention*
フォルスタ&フィアでのお話です
本家Laurentia!(学パロ)設定でのお話です
ほのぼのなお話です
皆で心霊番組を見よう!なお話
スターリンさんはその手の話が苦手な方です
楽しみ方が間違っているオーフェス兄弟
フォルは調子に乗りすぎる悪い癖があります
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
穏やかな夜の街。
その中の一軒家……
フィアとフォルの家に、スターリンは遊びに来ていた。
恋人であるフォルの家にスターリンが遊びに来るのは良くあること。
しかしここ最近はあまりそういうことが無かったために、フォルは嬉しそうに笑っている。
彼の妹であるフィアが作った料理を一緒に食べた後、
フォルは隣に居るスターリンに抱き付きながら、言った。
「久しぶりだねー、書記長様と一緒にご飯食べるの!」
嬉しかった、と笑うフォル。
スターリンもそれに頷いた。
此処に居るのはフォル自身と彼の妹。
妹の前でべたべたいちゃいちゃされるのは流石に逃げるが、
こうして抱き付かれるくらいはいつものことで慣れてきたのか、スターリンの抵抗もやや弱い。
「そうだな……って言うか、本当に良かったのか?」
スターリンはフォルを引きはがそうとしつつフィアの方を見て、言った。
お世辞にも裕福な暮らしをしているとは言えないスターリンにとって、
こうして一緒に食事を食べさせてもらえるのはありがたいし、フィアの料理は美味しい。
何より自分とは別の学校に通う恋人であるフォルと一緒に居られるのだから、
こうして一緒に連れてきてもらえるのはありがたいのだけれど……
料理を作ってくれるフィアに迷惑をかけてはいないだろうか?
面倒をかけてはいないだろうか?
そう思うのだ。
しかしフィアは食器を片付けようとしながら、スターリンに答えた。
「構わんよ。二人で食べるのも三人で食べるのも同じだ」
作ることは苦にならないしな、とフィアは言う。
スターリンはそんな彼女に小さく笑いつつ、"ありがとう"という。
フィアは礼を言われて照れ臭くなったのか、ぷいとそっぽを向いた。
そして、テレビの電源を入れる。
番組表を表示したフィアは"あ"と小さく声をあげた。
「ん……あ、今日ホラー特集やる日か」
番組表に表示された番組名。
"真夏の心霊映像特集!"なんて、良くありがちなタイトルだ。
それを見ながらフィアは呟いた。
ちょうど、この時期だ。
真夏にありがちな心霊番組という奴。
そんな妹の発言を聞いてぱっと顔を輝かせた。
「え?本当?」
視線をそちらに向けたフォルは"あ、本当だ!"と楽しそうな声を上げる。
彼はその手の番組が好きらしい。
スターリンはそんな彼らの話を聞いて一瞬きょとんとした顔をする。
それから小さく声をあげた。
「あー……そういう時期だったな……」
ちょうどそういう時期か、スターリンはぼやく。
そんな彼の反応に、フォルは苦笑を洩らす。
「なんか他人事だねぇ、書記長様」
言い方が何処となく他人事だった。
大体こういう番組がやることはスターリンも知っているだろうに、とフォルは言う。
そんな彼の言葉にスターリンは少し唇を尖らせる。
「だって俺んち、テレビねぇし……」
スターリンの部屋にはテレビがない。
だから番組の変遷なんかわからないし、そもそもそこまで興味もない。
スターリンがそう答えると、フォルはぱぁっと顔を輝かせた。
そしてぎゅっとスターリンを抱きしめながら、言った。
「あー、そうなんだ。じゃあ、一緒に見ようよ!」
今からやる番組!とフォルは言う。
スターリンはそれを聞いて琥珀の瞳を大きく見開いた。
そしてあちこちへ視線を彷徨わせる。
「え……あー、まぁ、いいのだよ」
構わない、とスターリンは言う。
しかし視線をきょろきょろと彷徨わせている彼。
フィアはそれを見てきょとんとした顔をしていた。
スターリンはそんなフィアの視線には気が付かない様子で、フォルの方を見た。
そして小さく首を傾げつつ、訊ねる。
「って言うか、フィアとフォルはこういう番組好きなのか?」
さっきから反応が楽しそうだけど、と彼は言った。
先程からフィアはともかく、フォルは楽しそうな顔をしている。
それはつまり、この手の番組が好きだということだろうか。
スターリンがそう問いかけると、フォルは少し悩むような顔をする。
「うーん……好きって言うか……面白い?」
そんな感じかな?とフォルは妹の方を見る。
フィアは小さく肩を竦めつつ、食べ終わった食器を片付けに向かう。
「私は別に好きなわけではない。
ただこの時期になると嫌というほどその手の番組がやっていて、
そこに居る馬鹿が楽しそうに見ているからついでに見てるだけだ」
「へ、へぇ……」
そうなのか、とスターリンは言う。
フォルの"楽しい"だの"面白い"というリアクションが、何だか恐ろしい。
そんなことを思いながら、スターリンはとりあえずフィアの片づけを手伝いに行ったのだった。
***
二人が食器を片付けて戻ってきたころ、ちょうどその番組が始まった。
フォルとスターリンはソファに寄りかかり、
フィアは食事をとっていたテーブルに頬杖をつきながらテレビの方を見ていた。
内容的には良くある類のものだ。
薄暗い寺やら、廃病院、廃校になった学校……
そこで起きる怪現象やそこでとったビデオや写真に写りこんだ人ならざる者……
スタジオにカメラが戻り、それを見てきゃあきゃあと声を上げるタレントたち。
それを見て、フォルは小さく息を洩らした。
「うーん、今日のは合成が多いかなぁ……前に見たことあるのも多いしなぁ」
そう声を洩らすフォル。
フィアも頬杖をつきながら"確かに退屈だな"といった。
フォルに付き合わせてこの手の番組を見ているためにか、慣れているらしい。
普通の女子生徒のように悲鳴を上げたり、"怖い!"と声をあげたりはしない。
フォルは小さく息を吐き出すと、笑いながら自分の隣で見ているスターリンの方を見た。
「退屈だよねぇ、書記長様……あれ?」
フォルは自分の隣を見て目を丸くした。
スターリンが居たはずのそこ。そこにあるのは、大きな毛布の塊だ。
あれ?と声を洩らしてから、気づく。
その毛布の塊は、ほかでもないスターリン。
彼はかたかたと小さく震えていた。
フォルはそれを見て幾度か瞬きをする。
「え?あれ?書記長様?」
「嫌……」
小さく聞こえたのはそんな声。
フォルはそんな彼のくるまっている毛布を剥がそうとした。
しかしスターリンが小さく声を上げて、それを拒む。
そんな彼の様子を見て何度か瞬きをした後、フォルはふっと笑った。
「ねぇ書記長様……怖いの?」
その問いかけに、スターリンはびくっと肩を跳ねさせた。
それは明らかに、肯定の反応。
フォルはそれを見て笑みを浮かべると、もう一度毛布を剥がそうとしながら、言った。
「そんなに寒いの?書記長様……冷房切ろうか?」
フォルはそういって笑みを浮かべる。
フィアはそんな彼と、毛布に包まったままのスターリンを見て、溜め息を吐き出した。
フォルの言葉にスターリンは毛布から少しだけ顔を出す。
そして少しだけむくれた顔をして、言った。
「煩いのだよ……」
「あぁ、案外平気なの?……あぁ、CM中なのか」
だから顔を出したんだね、と言って笑うフォル。
スターリンはそれを恨めしげに睨んだ。
と、ちょうどCMが終わって、再び恐ろしい画面が映る。
大きな叫び声のようなものが響いて、フィアも驚いたような顔をした。
スターリンは小さく息を飲むと同時に、毛布の中に戻った。
しかし怖いもの見たさなのか、ほんの少しだけ顔を出している。
フォルはそんな彼の反応を見て楽しそうに笑った。
スターリンのことを誰よりも大切に思っているフォル。
彼が怯えたり怖がったりするようなことは極力しないようにしているが、
今こうして心霊番組を怖がっているのは、別にトラウマや何かで怖がっているわけではない。
だから、こういう反応を見られると楽しいと、そう思ってしまう。
そう思いながら、フォルはそっとスターリンの傍を離れた。
そして足音を殺しつつ、リビングの隅にある電気のスイッチに歩み寄る。
そして……――
カチッと音を立てて、明かりが消えた。
無論犯人はフォルだ。
「っ!?」
「な……っ!?」
肩を強張らせるスターリンと、驚いた顔をするフィア。
フォルはそんな彼らの反応を見て、"あっ"と声を上げた。
スターリンは、暗闇が苦手だ。
心霊番組はともかくとして、こうして明りを消すのはまずかっただろう。
そう思ってフォルは慌てて明りを付け直す。
「ごめん、書記長様!」
フィアはすぐに顔を上げて明りのスイッチの方を見る。
そこに立っている兄を見て、すっと青の瞳を細める。
そしてゆっくりと立ち上がると……思い切りフォルに蹴りを繰り出した。
「この馬鹿兄!いい加減にしろっ!」
馬鹿か!と怒鳴るフィア。
フォルはその場に転んだ。
しかしすぐに体を起こして、スターリンの方へ駆け寄る。
「書記長様ごめん!」
「ふざけんなフォル……っ!」
スターリンは毛布から顔を出していた。
半泣きで、琥珀の瞳を涙で潤ませながら。
「ごめん、書記長様、君の反応が可愛くてつい……」
「煩いっもうお前なんか知らないのだよ……」
ぷいっとそっぽを向いてしまうスターリン。
完全に拗ねてしまった様子の彼を見て、フォルは苦笑を洩らす。
彼を完全に怒らせてしまったらしい。
どうやったら機嫌を直してもらえるだろうか?
そう思いつつフォルは毛布に半分包まったままの彼を突いていたのだった。
―― 夏の風物詩? ――
(こういったホラー番組は夏にはつきもの
それに怯える愛しい恋人……――)
(思わずやりすぎるのはお前の悪い癖なのだよ。
本気で怖いんだからな…絶対許さないのだよ!)
2014-7-31 12:16