信号機トリオ&フランコさんなSSです。
ふときいたカナリスさんをフランコさんが呼ぶときの呼び名に関する話をやりたくて…←
愛称呼びって大好きです(おい)
*attention*
信号機トリオ&フランコさんなSS
ほのぼのです
カナリスさんの呼び名のお話
アネットもカナリスさんのこと愛称呼びでいいかな、ってやらかしてます←おい
前半は元気っ子コラボ&カナリスさん、後半は信号機トリオな感じ
何だかんだで信号機トリオも仲良かったらいいなぁ、と思いまして(ぇ)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
「暇ー……」
窓枠に頬杖をつきながら、赤髪の少年……アネットは小さく呟いた。
午前中に任務を終えて帰ってきた彼は完全に暇をもて余していた。
いつもならば愛しい人……ハイドリヒの部屋に向かう彼なのだが、
今日は彼も仕事があってまだ帰ってきていない。
夕食までには帰るといっていたがいつ帰ってくるかはわからない。
元々人好きで一人でいることが嫌いなアネット。
誰か絡めそうな相手はいないかな、と思っていたのだが、
生憎各々仕事や訓練があるらしい。
仕方がない、外で剣でも振ってるかな、と思ったとき。
アネットは窓の外にあるものをみつけた。
「あれ?ん?」
窓から見えたのは、鮮やかな赤色と、艶やかな黒色。
見慣れた二人の姿にアネットは瞬きをする。
「ヴィル、とフランコ……だよな」
アネットは小さな声で自分の友人たちの名前を紡いだ。
一時はカナリスのことを敵視していたアネットなのだが、
親しくなってからは彼のことを愛称で呼ぶほどに仲良くなっている。
カナリスとフランコ。
今まで一緒にいるところを見たことがない二人だ。
珍しいな、と思いつつ……
「行くっきゃないっしょ」
完全に暇をもて余しているし、いっしょにいるのが楽しい友人たちが外にいる。
あの様子ならば任務ということも無さそうだし、
せっかくならばいっしょにいたい。
アネットはそう思ってにっと笑うと部屋を駆け出していった。
***
暖かな日差しが降り注ぐ中庭。
周りにはちらほらと剣術の練習をしている騎士もいる。
その間をすり抜けるように走って、アネットは二人の元へいった。
「フランコ!ヴィル!」
アネットに呼ばれて、二人は振り向いた。
アネットの大きな声に少し、驚いたように。
フランコがぱっと顔を輝かせる。
見慣れたライバルに久しぶりに会って彼も嬉しいのだろう。
「おぉ、アネット!久しぶりやな!」
「久しぶり!ヴィルも仕事終わったのか?」
アネットはフランコと笑顔を交わしあってから、カナリスの方をみていった。
カナリスはこくりと頷いて答える。
「えぇ。そうして帰ろうと思っていたらちょうど此処で彼に会いましてね」
カナリスはそういいながらフランコを見る。
明るく笑うフランコは"ほんまに偶然やったなぁ!"といっている。
からからと明るく笑う様は太陽のようだ。
ふとカナリスは首をかしげつつ、アネットに訊ねた。
「アネットさんは何故此処に?」
「んー?俺は午前で任務終わっちまって暇でさぁ。
部屋の窓から外見てたらお前らがいたから降りてきたんだ!」
「ははっ、アネットらしいなぁ」
フランコもアネットの性格はよくわかっている。
一人でいるのが嫌いな彼らしい、といって太陽のように少年は笑うのだ。
「それにしても……珍しいな。
ヴィルとフランコがいっしょにいるの。
お前ら仲良かったのか?」
どちらかと言えば賑やかなタイプのフランコと物静かなカナリス。
この二人のペアというのは正直意外だった。
アネットの言葉にカナリスとフランコは顔を見合わせる。
フランコはアネットを見ると小さく首をかしげて訊ねる。
「意外か?」
「あぁ、意外だった」
フランコの問いかけにアネットが頷くと、カナリスはふっと笑っていった。
「親しいと思いますよ。将軍とは関わりはありますしね」
そんなカナリスの反応にフランコは若干不服そうな顔をする。
「関わりあったってそんだけ?冷たいなぁ、キーカ」
フランコはそういいながらカナリスの背中をばんばんと叩く。
カナリスは"痛いですよ"といって軽く彼の腕を躱した。
アネットはそんな彼らをみて笑う。
珍しい組み合わせではあるが、彼らの間にぎこちなさはない。
先程部屋から見たときにも彼らの楽しそうな様子はよくわかった。
恐らく親しいのだろうな、ということはアネットでも理解出来た。
とフランコは思い出したように時計を見た。
「お、俺そろそろいくわ。
パベリッチ迎えにいかんと!」
いっしょに来ていた幼い騎士を迎えにいかなければいけないらしい。
恐らく、彼が慕う夜鷲のトップのもとだろう。
じゃーな!といってフランコは帰っていく。
カナリスとアネットは遠ざかる彼の姿を見送った。
フランコの姿が見えなくなると、
アネットは不服そうに頬を膨らませながら"遊ぼうと思ったのに"と呟く。
大概フランコがイリュジアに遊びにくるといっしょに剣術をしている。
その度に遠慮のない決闘を繰り広げてアレクを困らせていることは、
カナリスもよく知っていた。
カナリスはそんな彼をみて苦笑する。
喧嘩っぱやくて戦闘好きな二人はさぞかし気が合うだろう、と思いながら。
と、アネットは"あ、そうだ"といった。
「なぁなぁヴィル。
さっきフランコがお前のことキーカって呼んでたろ?
あれお前の愛称か何かか?」
―― そう。
さっき、フランコがそう呼ぶのを聞いてからずっと、
アネットは疑問に思っていたのである。
フランコがカナリスを呼んでいたときのキーカ、という呼び名。
それはカナリスの名前にかすってもいない気がするのだが……
自分では理解できないような理由があるのだろうか、とアネットは訊ねる。
彼の質問にカナリスは事も無げに答えた。
「あぁ、あれですか。
あれは僕が彼の国で使っていた偽名ですよ」
その返答にアネットは目を丸くした。
「ぎ、偽名?」
「えぇ」
こくん、とカナリスは頷く。
なにかおかしなことが?と言いたげな彼。
無論偽名等そうそう使う者は周囲にいない。
殊更そういった事案には疎いアネットは唖然である。
カナリスは事も無げなのはきっと、
彼らのような仕事の場合決して珍しいことではないからだろう。
他国にいったりしたときに本名で活動してはまずいことがあると言うことくらいは
アネットでも辛うじて理解出来る。
「なるほど……
だから本名にかすってもないわけだな」
納得、といってアネットは息を吐く。
偽名ならば本名に重なってなくとも理解はできる。
先程カナリスがいっていた"関わり"というのもその事だろう。
偽名を使ってとはいえフランコの国にいたとなれば親しくなるのもうなずける。
外の人間とも関わりがもてるのが少し羨ましかった。
と、そのときちょうど門の方から歩いてくる金髪の彼の姿が見えた。
美しく長い金髪は遠目にもよく目立つ。
「あ、ラインハルトだ!」
アネットはぱぁっと顔を輝かせ、嬉しそうに声をあげる。
そして歩いてくる彼に向かって手を振った。
金髪の彼……ハイドリヒもアネットに気づいて、
遠くから小さく手をふりかえしてきた。
ほんの少し足を進める速さをあげるハイドリヒをみて、カナリスは目を細めた。
彼も彼なりにアネットをきにかけていることはよくわかった。
ハイドリヒが二人のもとにたどり着くとアネットは彼に抱きついた。
その勢いに負けて転びそうになるも、ハイドリヒはギリギリ持ちこたえる。
そしてほぅっと息を吐き出すと、彼はいった。
「アネットさん、此処にいたんですね」
「おう!外出てきてた!
ラインハルトも仕事終わったんだな!」
お疲れー、とアネットは明るく笑う。
ハイドリヒは軽く頷いて首をかしげた。
「何故二人とも外に?
特にアネットさん、貴方の任務は午前中だったでしょう?」
彼の問いかけにアネットはハイドリヒに抱きついたままで答えた。
「ん、おぅ。今フランコが来ててさ。
窓からみて此処に俺も降りてきたんだよ。
それで、ヴィルの衝撃的事実知ってビックリしてた」
「……はい?カナリスの……?
というか、とりあえず離してください、アネットさん」
意味がわからない、という顔をしつつ、
ハイドリヒは自分に抱きついているアネットを剥がそうとする。
此処が中庭であることを思い出したらしい。
カナリスはそんな二人をみて小さく肩を竦めると、いった。
「ほら、部屋に戻りましょう。
ライニも任務で疲れたでしょうし」
カナリスの助け船にこれ幸いと頷くと、
ハイドリヒは"離れてください、これでは歩けません"とアネットに言う。
アネットは渋々といった様子でハイドリヒの体を離す。
「じゃ食堂行こうぜー!喉乾いた!」
「はぁ……そうですね、お茶にしましょうか」
やった、と子供っぽく笑うアネットはさっさと駆け出した。
ハイドリヒはカナリスと顔を見合わせて、肩を竦めて彼を追いかける。
彼らの間に流れている空気も、暖かくて明るいものだった。
―― 共に過ごす時間は ――
(流れる楽しい時間
明るくて楽しい空気が大好きで)
(さぁ、三人で過ごす休憩時間。
何を話して何をしようか?)