フィアとムッソリーニさんでSSをば…
ムッソリーニさんのうちの子らの呼び方をついったでお聞きして…
是非このペアでやりたいな、と…!
明るくて面倒見の良いムッソリーニさんが好きです(おい)
*attention*
ムッソリーニさんとフィアのSS
ムッソリーニさんのフィアの呼び方は独特?なので…
フィアは基本照れてるだけです(ぇ)
素直にありがとうが言えないフィアでごめんなさいムッソリーニさん←
お互いに仲良くやっていきたいと思ってたらいいな、って…(おい)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
「ふぅ……」
午前中の訓練を終えて、亜麻色の髪の騎士……フィアは小さく息を吐いた。
剣の位置を直しながら、食堂の扉を開ける。
昼食時の食堂は込み合うため普段は時間をずらすフィアなのだが、
今日の午後はアルと一緒に出掛ける約束をしているため、
他の騎士たちと混ざって食事をさっさととらなければいけない。
元々少食なフィアのこと。
食事をとらずにいくことも出来るには出来るが、
そんなことをすれば健康に五月蝿い医療部隊の友人の怒りを買って、
長いお説教を食らいかねない。
軽くでもものを食べてくるべきだろう、と思って込み合う食堂にきたのだった。
幸い、席がひとつ空いていてそこに座ってパンとスープという簡単な食事をとる。
食事をとるときが面倒なときは大概このメニューで終わりにしてしまう。
これでもまだ文句を言われそうな気がするが……まぁ、それは致し方あるまい。
と、そのとき。
「よお、フィアの嬢ちゃん!」
後ろからぽんっと軽く肩を叩かれて、フィアは一瞬体を強張らせる。
しかし、その独特の呼び方からすぐに相手が誰かわかったようで、
フィアは不満げな顔をして振り向いた。
「ムッソリーニ、来ていたのか……」
そう、そこに立っていたのは金髪にあおい瞳の少年。
彼はフィアの質問に元気に頷いた。
「あぁ!国での仕事も今は安定してるしさ、
ちょっと休暇がてらヒトラーたちの様子見に来たんだ!」
明るく笑いながら言う金髪の少年……ムッソリーニ。
フィアは"そうかよ"といったあと、小さく息を吐き出していった。
「でも頼むからその呼び方はやめてくれ」
「呼び方?」
フィアの言葉にムッソリーニはきょとんとする。
幾度も瞬く彼の青い瞳をみて、フィアは溜め息を吐いた。
悪意を持ってでないところがかえってたちが悪い。
フィアは顔を真っ赤にしながらいった。
「だから!その……
俺のことを嬢ちゃんなどと呼ぶな。俺は男だ」
そう、フィアがいっているのはムッソリーニがフィアを呼ぶときの呼び名。
カルフィナとの和解後、彼はこうしてイリュジアに訪ねて来ることも増えたのだが、
その途上で仲良くなって以来、彼はフィアやルカのことを変わった呼び方で呼ぶのだ。
ルカはまだいい、"ルカの兄ちゃん"だからだ。
彼は元々兄貴気質なところもあるし、
部下たちのなかには本人がいないところでではあるが、
そう慕っている者もいる。
けれど、フィアの呼び名は少々問題がある。
嬢ちゃん、はまずい。
一応否定はしているがフィアはれっきとした女性。
しかも、一部の騎士を除いてはまだ女であることを伏せているのだ。
初めてそう呼ばれたときまさかばれたのかと焦ったが、どうやら違うようで。
単に、フィアが女性っぽくみえるというだけだとか。
確かに初めて彼に会ったときにも女性と勘違い(否、それが正解なのだけれど)された。
そのときにヒトラーがあっさりと否定したため、
ムッソリーニはフィアの性別には疑惑を抱いていないのだが……
それはそれで喜んでいいやら悪いやら、である。
フィアは女性扱いされるのが苦手だ。
もっとも、十歳の頃からずっと男として生きてきたためなのだけれど。
ルカやシストが彼のような呼び方をしたならば問答無用でけりが入るところだが、
しかしムッソリーニは一騎士団のトップでもある。
本来敬語様付けで話すところなのだが、
それはムッソリーニ本人に止められて、やめた。
現在はいたって普通に呼び捨てタメ口で話しているが……
流石に、そんな相手を早々簡単に蹴飛ばしたりは出来ない。
ムッソリーニは暫しまばたきをしていたが、やがてあっけらかんと笑っていった。
「いいじゃんか、可愛らしいって意味でいってるんだし!」
「そういう問題じゃあないって……」
誉め言葉だからよいという意味ではないのだけれど、とフィアはつぶやく。
彼が貶す意味でいっていないことくらいはフィアにもわかっている。
(否、若干のからかいは含まれているのかもしれないけれど)
フィアがこうして拒む理由はもうひとつあって……それは、単純明快だ。
フィアは可愛いだのなんだのといわれるのにも慣れて等いない。
だから、可愛い等と言われてしまうと羞恥で顔が真っ赤になるのを感じる。
そんなフィアを見てムッソリーニはにかっと笑った。
「照れてるのか、嬢ちゃん?」
悪戯っぽい笑顔が眩しい。
フィアは弁解のすべをさんざん模索したが……
やめろといったところでやめないだろう。
呼び名というのは早々簡単に変えられるものではない。
事実、アネットはアルにやめてくれと頼まれても、
未だに"フィアの小さな騎士(ナイト)"と呼ぶのだから。
フィアは諦めたように溜め息を吐くと、精一杯の妥協案を提示した。
「……じゃあせめて大声で呼ぶのをやめてくれ。
周りの奴等が真似したらどうする」
これは真剣に困る。
元々さして弄りやすいポジションではないフィアだが、
一応彼をからかうのが好きという騎士はいる。
そういう連中に呼ばれる度に蹴りをいれるのは疲れそうだ。
しかし。
「え、俺そんな大きな声で呼んでねぇよ?」
これまたきょとんとするムッソリーニ。
フィアまでつられてきょとんとする。
しかしすぐにああ、そうか。とフィアは理解した。
周りにいる騎士……
シストやアルが比較的声が小さい人間だからだろう。
ムッソリーニの明るい声は大きく聞こえるのだ。
……事実、声が大きいのかもしれないのだけれど。
「……もういい」
拗ねたように呟いてパンをかじるフィアを見て、ムッソリーニは首をかしげる。
「なんだよー、どうして拗ねてるんだ?」
「もういいといってるだろう……
食事をとりに来たのなら早くいけ。
俺はもう席を立つから此処を使えば良い」
もう好きに呼んでくれ、と思い始めた。
ムッソリーニの明るさや性格は大分理解してきたつもりだ。
これ以上否定したってこの呼び方が定着している以上は、
そうそう簡単に直るものじゃないだろう。
……それに、今まで他の騎士にあだ名で呼ばれたことなどそうそうない。
時折アネットがふざけて姫だの王子だの(大概アル関連だ)と呼ぶくらいで、
外部の騎士に此処まで親しく呼ばれたことはない。
それも少なからず嬉しいのかもしれないな、と思いつつフィアは席をたった。
「お、どっか行くのか?」
「あぁ。これからアルと出掛ける約束をしていてな」
「そっか。気を付けてな!」
明るく笑って手を振る彼をみてひとつ息を吐き出すと、
フィアは微かに笑みを浮かべて"ありがとう、いってくる"と返したのだった。
―― Nickname ――
(決して嫌という訳ではないんだ
照れ臭いだけで。恥ずかしいだけで。
お前のことも嫌いじゃあない)
(せっかくこうして出会えたのだから親しくしたいじゃないか
例え国は違えども。所属する騎士団は違えども)