赤髪金髪コラボ(弟妹ver)のSSです。
ジークフリートさんとマリンのペアも可愛らしくて好きです←
*attention *
ジークフリートさんとマリンのSS
ほのぼのです マリンはジークフリートさんのことを慕っています
ライニさんのバイオリンネタも少し引きずってます←
こうやって手を繋いで歩く美少年&美少女の図がやりたかった(おい)
ジークフリートさん、お世話かけます
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
ディアロ城城下の広場……
そこに一人の金髪の少年が立っていた。
穏やかな風に長い金色の髪の毛が靡いている。
金髪の彼……ジークフリートはちらりと時計を見上げた。
そろそろ待ち合わせの時間だな、と思いながら。
彼の手にあるのは一通の手紙。
なかに入っている便箋には差出人からのメッセージが文字ではなく、
独特な、規則正しくならんだ凸凹で刻まれている。
その手紙はある人物から預かったもの。
そこに描いてある拙い地図を頼りにして、
ジークフリートはその送り主を此処に迎えに来たのだった。
***
―― 遡ること、数時間。
ディアロ城に訪れていたジークフリートは食堂に休憩にいった。
と、そこにいたのは赤髪の少年と、彼の双子の兄。
「兄さん、アネットさん?」
どうしたんですか、と声をかけると二人は顔をあげた。
二人揃って困ったような顔をしている。
彼らがよく一緒にいることは知っている。
彼らの仲が良いこともわかっている。
けれど、一緒にいるときに二人揃って困り顔をしていることはあまりない。
ジークフリートは不思議そうな顔をして首をかしげた。
「……何か困ったことでもあった?」
「いや、あのな……俺の妹から手紙が来たんだけど……」
そういって、アネットは手に持っていた封筒から便箋を引っ張りだす。
そしてそれをジークフリートに見せた。
ジークフリートはそれを覗き込んで、顔をしかめた。
文字ではなく点字で刻まれたその手紙は、
ジークフリートに簡単に読めるものではない。
しかしその差出人はジークフリートにもわかった。
アネットの妹であり、ジークフリートも幾度か顔を合わせたことがある、
赤髪に金色の瞳の少女……
「マリンさんから?」
「あぁ。今度此処にくるんだって。
出来ることなら安全な街まで迎えにいってやりたいんだけど……
俺、任務があって迎えにいってやれねぇんだよ」
そういって、アネットは溜め息をはいた。
安全な、とアネットがいったのには理由がある。
城下町から城に向かうまでの道は人通りが多くない。
魔獣に襲われる可能性もあるし、人さらいに会う恐れもある。
ちょっとしたことでも目が見えないマリンにとっては一大事だ。
アネットが迎えにいってやりたいというのにも頷ける。
アネットははぁ、と溜め息を吐いていった。
「最初に迎えにいくっていったんだけど急な任務でさ……
どうしようかな、と思って」
「あぁ、なるほど」
ジークフリートは二人の困り顔の理由を理解した。
アネットが落ち込んでいるのは今の説明の通り。
ジークフリートの兄……ハイドリヒが困った顔をしているのは、
そんなアネットを慰めるすべを見つけられなくて、だろう。
少し考えた末に、ジークフリートは口を開いた。
「俺が迎えにいこうか」
彼の言葉にアネットが顔をあげる。
驚いた顔をしている彼をみて、ジークフリートは微笑んだ。
「俺、今日は仕事にありませんし……
マリンさんの友達だし……顔はわかるし、
場所さえ教えてくれればいきますよ」
「本当か!もし良いんだったら……!」
"お願いするよ!"と、アネットは明るく笑って言う。
いつも通りの彼の表情にハイドリヒもほっとした顔をしていた。
***
そんなわけでマリンとの待ち合わせ場所だと言う広場に来ていたのだった。
待ち合わせの時間までは余裕があるのだが、
マリンが先について迷っても困ると思って早めに来たのだった。
それからほどなくして。
「……あ」
ジークフリートは声をあげた。
街並みの方……人通りが多い方からゆっくりと歩いてくる赤髪の少女。
その姿を見つけると、ジークフリートはゆっくり歩み寄った。
「あ、でも……」
ジークフリートは少し困ったことに気がついた。
どうやって声をかけようということだ。
目が見える相手ならば手をふれば良いのだが、マリン相手ではそうもいかない。
いきなり声をかけたら驚かせてしまうだろうか、と一瞬躊躇するも、
彼が口を開くより先に少女……マリンがぱっと笑顔を浮かべた。
「ジークフリートさん!こんにちは!」
明るく笑ってそう挨拶をする彼女の顔はきちんとジークフリートの方を向いている。
ジークフリートは少し驚いたが、すぐにその理由を理解した。
「あ、こんにちは……魔力でわかった?」
「うん。一回あったことがある人の魔力は覚えるよ!」
マリンは得意気に頷いた。
そう、マリンは目が見えない代わりに周囲の魔力の察知が得意だ。
歩き回るときにも魔力を周囲に巡らせて危険がないように歩いているという。
なるほど、それならば声をかけるより先に気づいてくれるか、と
ジークフリートは笑った。
「じゃあ、そろそろいこうか。
君のお兄さんもそろそろ帰ってくると思うし」
ジークフリートはそういうと、マリンの手をしっかりと握った。
マリンは嬉しそうに笑って、こくんと頷いた。
***
二人で歩く、城までの道。
マリンとジークフリートは色々な話をした。
ジークフリートの仕事のこと、ディアロ城や、騎士たちの話。
マリンは自分が読んだ本のことなどを話していた。
特に、部屋からあまり出ないマリンにとっては外の世界……
騎士として生きるジークフリートの話を聞くのが楽しくて仕方ないらしい。
殊更戦闘部隊の騎士である兄とは違う彼の話に楽しそうに笑ったり、
驚いたように金色の瞳を見開いたりしていた。
「ふふっ、ジークフリートさんのお話、楽しい」
「そう?そういってもらえると嬉しいな」
ジークフリートは微笑む。
そして顔を前に向けた。
もう、城はすぐ傍だ。
と、その時。
不意にマリンが足を止めた。
ジークフリートは怪訝そうな顔をして首をかしげる。
「?マリンさん?」
「音楽が聞こえる。弦楽器の……」
マリンはす、と城の方を指差しながらいった。
そっちから音楽が聞こえる、といって。
ジークフリートも耳をすますが……魔だ、音楽等は聞こえない。
恐らく、優れたマリンの聴力だけがそれを拾えているのだろう。
けれども、近づいていくにつれてジークフリートの耳にもその音は届いた。
そして、その音楽を彼は瞬時に理解した。
「あ、これ……」
「?どうしたの?」
ジークフリートは思わず、そう声を漏らす。
マリンはキョトンとして隣を歩くジークフリートの方へ視線を向ける。
彼女の問いかけにジークフリートはふっと笑った。
久しぶりに聞いたな、と呟いて、マリンに説明する。
「これ、多分僕の兄さんが弾いてるんだ」
「え?ジークフリートさんの、お兄さんが?」
「うん。兄さんはバイオリンを弾くのが好きだから」
ジークフリートはそういいながら目を細めた。
綺麗な旋律が流れてくる。
優しい音楽は次第に大きく聞こえるようになってくる。
恐らく、任務が早めに片付いて、部屋で弾いているのだろう。
マリンはその音を危機ながら嬉しそうな顔をしていた。
「もうすぐつくね!」
音が彼女にとっては大切なものだ。
世界と彼女を繋ぐ架け橋……
目の見えない彼女には道のりはわからずとも、
近づいて来る音でもうすぐ目的地だとわかって嬉しいらしい。
「ジークフリートさん、早くいこう!
あとね、私もっと近くでジークフリートさんのお兄さんのバイオリン聴きたいな!」
無邪気に笑う彼女をみて、ジークフリートも微笑む。
「そうだね。アネットさんに合流したら兄さんに頼んでみようか。
……兄さんも喜ぶと思うよ」
楽しみ!といってマリンは笑う。
いこうか、といって少しだけ足を進める速度を速くした。
少しずつ近づいてくるバイオリンの音色が二人の道しるべのようになっていた。
―― 見えない道導 ――
(嬉しそうに笑う少女の小さな手を握って歩く道)
(自分の兄が紡ぐ旋律が導いてくれる)