「・・・こうして子供たちは、無事にサンタさんからクリスマスプレゼントをもらいました・・・」
ルキアは読んでいた[絵本]をパタンッと閉じた。
ほうっと息を吐くと[絵本]を胸に抱きしめ
「[現世]とは何て素晴らしいのだ・・・。子供たちに、ただで[プレゼント]を送る[習慣]があるなんて・・・」
ルキアは"紫紺の瞳"をキラキラさせると
「一護っ!!」
ルキアはバッと顔上げ、目の前にいる一護に
「貴様の[靴下]を貸せ・・・!」
「あんっ・・・?何でだよ・・・」
一護は怪訝な表情を浮かべ訊き返した。
「貴様の[靴下]はデカイから、その分サンタさんから[クリスマスプレゼント]もらえるはずだ!・・・ 私もサンタさんから[プレゼント]欲しいぞ・・・!」
真顔で言うルキアに、一護は呆れながら
「お前、"サンタクロース"から[プレゼント]を貰う気か?サンタから[プレゼント]を貰えるのは子供だけだぞ・・・」
「何を言う!私だってまだ子供だっ!!」
文句を言うルキアに、一護は鼻で笑いながら
「どこかだよ。俺より"年上"のくせに、何〜が[子供]だ・・・!」
「そんなことはないぞ![尸魂界]では、私はまだまだ[子供]だ!」
力説するルキアに
「お前・・・、言ってて恥ずかしくねえか?」
情けなさそうに言う一護にルキアは視線を逸らすと、[ダイニングテーブル]で[ブランデー]を飲んでいる一心が助けにも出した。
「大丈夫だよーっ、ルキアちゃん!おじさんから言わせれば、まだまだルキアちゃんは[子供]だからねーっ・・・!」
「・・・!!ほら見ろっ!おじ様も、ああ言っているではないか!・・・っと言うわけで早く貴様の[靴下]を貸せっ!!」
一心の言葉に後押しされたルキアは、勝ち誇った顔をすると一護に向かいズイッと[掌]を差し出した。
ルキアはキラキラ瞳を輝かせ
「サンタさん、私のところにも[プレゼント]持って来てくれるかな・・・」
うっとりと呟いた。
そんなルキアを真剣な面持ちで一護は見つめた。
バキッ、ビシッ、ゲシッ、ドスッ、ドスドスッ。
謎の鈍い音か[黒崎家]の 裏手から聞こえてきた。
[クリスマス]12時ジャスト。
双子の部屋がバタン勢いよく開けられた。
[強盗]宜しく入って来たのは、[サンタ服]を着た一心であった。
だが何故か、その姿はボロボロで[サンタ服]は、よれよれに汚れていたり、破れていたり伸びていた。
一心自身も、目の周りに[青アザ]を作っていた。
「"Merry Xmas、My Lovely Daughters"パパ、サンタからプレゼ・・・」
「第二反抗期(思春期)の娘の[部屋]に勝手に入って来るんじゃねーっ!!」
「ゲフッ・・・!!」
[強盗]パパ、サンタ一心、[黒崎家]次女、夏梨の強烈な[ドロップキック]により退場。
夏梨の手には、飛び散った[プレゼント]が見事にキャッチされていた。
反対側の窓際では、片角がペキッと折れ、汚れたトナカイ一護が、本当の"真っ赤なお鼻のトナカイ"のように、鼻の周りを血だらけにし、[コソ泥]のように侵入して来ようとしていた。
ところが[黒崎家]長女、遊子によって遮られていた。
「・・・で?お兄ちゃんは?」
腕を組み、仁王立ちの遊子に 睨まれながら
「ルキアに[クリスマスプレゼント]を・・・」
視線を泳がせながら言う一護に
「それはわたしが、置いておいいてあげるわ。だから、"年頃の妹"の[部屋]に入ってきちゃん"メッ"でしょっ!!」
そう言うと、[ピコピコハンマー]で、ピコ〜ンと一護の額に叩きつけた。
「おうっ・・・」
[こそ泥]トナカイ一護、[黒崎家]長女によって地面にまで落下。
遊子の手には[プレゼント]が乗っていた。
「・・・にしても、よくこんな状態で寝れるな・・・・」
夏梨は苦笑いしながら言うと
「本当ね・・・。"慣れっ"て怖いわ・・・」
二人の目の前には、この騒ぎにも動じず、スヤスヤ眠るルキアがいた。
二人は優しく目を細め、ルキアの側に置いてある一護の[靴下]の横に、一心と一護、そして自分たちの[プレゼント]をそっと置いてあげた。
(おしまい)